クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

【書評】『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』 来るべき未来に備えて正しい理解を

ゲノム編集の衝撃―「神の領域」に迫るテクノロジー:NHK「ゲノム編集」取材班 著


「今、もっともエキサイティングなバイオテクノロジーは何か」。この質問に対し、多くの生命科学者は次のように答えるだろう。「それはゲノム編集だ」、と。本書は、ゲノム編集がどのような技術で、この技術がいかに未来を変えうるかについて解説した良書である。


ゲノム編集とは、遺伝子の本体であるDNAの狙った位置を切り貼りするなどして「編集」し、その生物のすべての遺伝情報、すなわちゲノムを改変する技術である。ゲノム編集により、有用な農作物の作出や、遺伝性疾患の治療ができるようになると期待されている。ゲノム編集技術のひとつであるCRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムの確立により、この技術が爆発的に普及するようになった。


以前、むしブロでゲノム編集について解説した記事を公開したところ、大きな反響があった。ただ、これまでに国内で出版されたゲノム編集関連の書籍は研究者向けのものばかりで、一般向けに書かれた入門書のような存在は皆無だった。本書は生物学についての専門知識がなくても容易に読み進められるように書かれており、ゲノム編集を「いろは」から知りたい読者にとって良好な解説書となっている。


入門書といっても、書かれている内容は本格的だ。国内外の専門家たちへの丹念なインタビューからは、ゲノム編集技術についての具体的な最新の研究例を知ることができる。とくに巻末に掲載された広島大学の山本卓教授による Q&A形式の解説では、最先端のゲノム編集研究の動向がうまくまとめられている。


ここで、本書で紹介されているゲノム編集の応用例をいくつか紹介しよう。まずは、家畜への応用。もし一頭あたりの食肉用家畜の筋肉を増量することができれば、資源をより効率的に生産することができる。現在、この目的でゲノム編集技術を用い、筋肉が増量したマダイやウシの作製が進められている。


筋肉が増量したこのような家畜は、ミオスタチン遺伝子をゲノム編集で破壊することによって作り出される。ミオスタチン遺伝子がコードするミオスタチンタンパク質は、筋肉細胞を適切な数に抑える役割がある。ミオスタチン遺伝子が破壊されれば、ミオスタチンタンパク質が作られず、抑制が効かなくなる。よって、筋肉の細胞数が正常の場合よりも増加するわけだ。


また、ゲノム編集技術の医療方面への応用例のひとつとして、疾患モデル動物の作製がある。現在まで、医学研究で用いられる疾患モデル動物としてはマウスが主流だ。特定の疾患をもつマウスを遺伝子ノックアウト技術で作り出し研究することで、ヒトへの治療法を探ることができる。だが、マウスとヒトでは生理学的特性が異なる部分もあり、マウスで得られた知見がヒトでも一致するとは限らない。


そこで開発されつつあるのが、マウスよりもヒトに近い、サルの疾患モデルの作製である。遺伝子ノックアウト技術では、サルに対して遺伝子改変を行うことが困難だった。だが、ゲノム編集はサルの遺伝子を改変することができる。国内でも、実際にゲノム編集を使って、免疫不全のコモンマーモセットというサルの作製に成功している。本書では、この他にもゲノム編集の応用例が多岐に渡って紹介されている。


ところで、本書はNHKの「ゲノム編集取材班」により製作され2015年夏に放映されたNHK『クローズアップ現代』の「“いのち”を変える新技術 ~ゲノム編集最前線~」の内容が土台となって書籍化されたものである。だが、番組の放映から一年後に出版された本書には、ゲノム編集の新技術や、各国政府と研究者コミュニティによる本技術への見解など、多くの新情報が追加されている。ゲノム編集は文字通り日進月歩の技術であり、この技術に対する社会の反応も刻一刻と変わり続けているのだ。


ゲノム編集技術はヒトへの応用も可能だ。機能拡張のために好ましい性質を持った子ども「デザイナーベイビー」の設計にもつながりうる。このため、ゲノム編集については生命倫理の議論を避けて通れない。ゲノム編集に対して、漠然とした不安や恐怖を抱く人もいるだろう。ゲノム編集について冷静な議論を進めるためには、この技術への正確な理解が不可欠である。本書のような媒体が、少しでも多くの人に届くことを願う。


ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影 (イースト新書Q)

ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影 (イースト新書Q)

ヒトの遺伝子改変について、生命倫理学の専門家による深い洞察が記された一冊。クマムシ博士のレビューはこちら。

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生物学の知識がある研究畑の人にはこちらもおすすめ。


実験医学 2014年7月号 Vol.32 No.11 ゲノム編集法の新常識! CRISPR/Casが生命科学を加速する


今すぐ始めるゲノム編集〜TALEN&CRISPR/Cas9の必須知識と実験プロトコール (実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ)


※本記事は書評サイトHONZに寄稿したものです


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【書評】松尾芭蕉マニアもいる?!等身大の北朝鮮がみえてくる『実録・北の三叉路』

実録・北の三叉路:安宿 緑 著


本書は北朝鮮系の人々を描いたノンフィクションである。北朝鮮、といっても、日頃の報道番組が扱うような、政治的な話にフォーカスしたものではない。スポットライトが当てられているのは、北朝鮮に暮らしていたり、北朝鮮にルーツをもつ、いたって普通の人たちだ。ふだん知られることのない彼らの日常が、本書では実にいきいきと語られている。


ベールに包まれている北朝鮮系の人々にアクセスし、取材をすることは容易ではない。本書が日の目を見たのは、著者の生い立ちと経歴によるところが大きい。
本書の著者は朝鮮北部の父と在日韓国人2世の母をもつ、いわゆる在日コリアンである。日本の朝鮮学校に通い、あの朝鮮総聯で働いていたこともある。北朝鮮に親類がいるため、90年代から訪朝を繰り返し、現地の人々との交流も続けてきた。現在は日本で雑誌のライターをしつつ、北朝鮮情報を自身のブログで発信している。著者のどこかとぼけた筆致のせいだろうか、やや深刻な話題であってもなぜか笑いを誘ってしまうことも。


朝鮮学校時代の著者は、使命感に燃えて朝鮮労働党員になる夢を抱く。だが、著者のようなタイプの生徒は稀で、クラスメメイトはいわゆるヤンキーが多く、「祖国愛」に拒否反応を示すタイプが大半だったという。著者はそのままの調子で模範生として成長し、朝鮮総聯にも務めることになる。


朝鮮総聯在任中のある日、拉致被害者が帰国することになった。それまで「いない」と信じ込んでいた拉致被害者の存在を突きつけられた、著者を含む朝鮮総聯関係者。当時の彼らの反応も実に生々しく、人間らしさが漂う。

北朝鮮に住む中学生、案内人、軍人など、さまざまな人々と交流したエピソードも、写真とともに紹介されている。笑顔でおどけている北朝鮮人の姿は、それだけで新鮮に感じてしまう。これも私たちがふだん、ネガティブ一色の北朝鮮報道に馴れきっているためだろう。


北朝鮮に住んでいる一般人が日本をどのように思っているのかも興味深い。北朝鮮は国家をあげて日本を敵対視しときに激しく罵倒するが、一般市民が日本のことを深く憎しんでいたりすることはないようだ。むしろ、日本製品や日本食が好きだったり、ポジティブなイメージすらあるという。松尾芭蕉マニアの作家もいるくらいだ。


ただ全体的には、北朝鮮人は日本に対してそれほど高い関心はないらしい。その一方で、韓国の話題になると皆すごい形相になるという。隣国に対する高いライバル意識がうかがえる。


本書を読み終えた後には、北朝鮮という国が単なる記号ではなく、そこに暮らす、私たちとかわらない普通の人々が一体となったひとつのコミュニティーであるという、当たり前のことに気づかせてくれる。マスメディアでは知ることのできない北朝鮮を知りたい人に、本書を強くおすすめしたい。


BBCが行った世論調査によると、2012年時点で北朝鮮に対してポジティブな印象をもつ日本人の割合はわずか1パーセントだったのに対し、ネガティブな印象ををもつ割合は88パーセントだった(日本を除く21カ国の北朝鮮への印象は、ポジティブ19パーセントに対してネガティブ49パーセント)。依然として、日朝の間に横たわる溝は深い。国単位の外交だけではなく、市民ベースでの相互理解が、両国の関係改善につながるのだろう。


※本記事は書評サイトHONZに寄稿したものです

【書評】我々は特別な存在か。宇宙的バランス感覚を養う一冊『生命の星の条件を探る』

生命の星の条件を探る:阿部 豊 著


生命の星、地球。都会のようなコンクリートジャングルにおいても雑草が茂り、アリたちが闊歩する。足下をふと見れば道路の片隅にコケが生育していて、そのコケの中にはクマムシがいる。朝晩の電車に乗り込めば、無数のホモ・サピエンスと接触する。生物はそこに居て当然。そんな風に私たちは感じてしまう。だが、地球以外の天体に由来する生命体は、現在までまだ見つかっていない。はたして、生命を育んでいる惑星は、この広い宇宙で地球だけなのだろうか。


生命体が棲息する環境がどのようなものかを考えるとき、もっとも参考になるのは、私たちを育んでいるこの地球の環境である。ある惑星が地球と同じような環境であれば、そこには生命体が居てもおかしくない。もちろん、地球型の生命体とはまったく異なるタイプの生命体も、宇宙のどこかにいるかもしれない。だが、そのような生命体はあくまで空想上の産物にすぎず、実際の探査や検出を行なおうにも、その手段がない。地球生命体という格好のお手本がここにある以上、同じタイプの生命体がいそうな環境を推定するのが合理的である。


生命が棲めるような環境範囲をハビタブル・ゾーンとよぶ。これは具体的には、「液体の水」が存在できる環境範囲のことである。液体の水がある星は、どのような条件を備えているのだろうか。これこそが、本書のテーマである。本書の著者である東京大学理学系研究科の阿部豊准教授は、なぜ地球が生命を培う惑星となったのかを、多角的な視点で検証している。地球の成り立ちにかかわる役者がリレーのように登場し、本書は一冊が壮大なミステリー小説の様相を呈している。


本書を通してわかるのは、我々が想像する以上に、地球が絶妙なバランスで成立してきたということだ。微惑星や原始惑星どうしの衝突を繰り返し、46億年前に地球ができあがったと考えられている。このときに地球が水を獲得できたことが、生命の惑星となるための最初のステップである。太陽からの距離も、地球表面の水が液体で存在できる範囲内に、ちょうどおさまっている。さらに、地球のサイズが適度に大きかったため、重力により大気をとどめておけたのも幸運だった。


太陽からの距離が同じだとしても、もし太陽が現在よりも大きすぎたり小さすぎたりすれば、太陽放射の強度が変化して地球上に液体の水が維持されなかったかもしれない。地球が小さすぎれば大気は宇宙空間へと逃げてゆき、温室効果が失われて凍てつく惑星となってしまうだろう。また、太陽系の他の惑星が今よりも大きければ、重力の影響で地球が太陽系からはじき飛ばされていた可能性もある。とてもではないが、生命が生まれるような惑星にはなっていなかった。


さらに意外なことに、地球上が水一面で覆われていても、生命にとって不都合な環境になるという。


二酸化炭素は温室効果ガスとして地表を暖める効果があるが、この二酸化炭素の循環もほどよい具合に保たれている。火山活動により地中内部から大気に放出される二酸化炭素と、大気中から炭酸塩に固定される二酸化炭素が釣り合っているのだ。地表を現在の気温に維持するのに重要な働きを担うのが大陸の存在であると、著者は主張する。もしも地球に陸地がなく、一面が海に覆われていたとしよう。大気中の二酸化炭素は陸地で炭酸塩に固定されるため、大陸がなければ地中から放出されて大気にとどまる二酸化炭素の量が増え、温室効果により気温は60〜80ºCになるかもしれないという。現存の微生物の中にはこのくらいの温度でも生きられるものもいるが、少なくともヒトが生きられるような環境ではない。


現在の地球は、この惑星の内外の奇跡的なバランスのもとに成立し、我々はおだやかな環境の恵みを享受できているのだ。だが、著者は地球を「奇跡の星」と呼びたくないという。たしかに、銀河系だけでも恒星が1000億個あると言われており、確率論でいえば生命を育む惑星が存在しないほうが不思議である。もっと言えば、知的生命体を宿す惑星だって存在しうる。ケプラー宇宙望遠鏡の活躍により、太陽系の外にある系外惑星の発見も相次いでいる。観測技術の発展により、実際に液体の水を有する惑星が近いうちに発見されるかもしれない。いや、その前に、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンセラドゥスへの探査で生命体が見つかるのが早いだろうか。地球外生命体をめぐるロマンは尽きない。


ところで、この地球とて、いつまでも我々にとって都合のよい惑星であり続けることはできない。10億年後には太陽の温度が上昇し、地球への太陽放射が10〜15%増大することが予想されている。そうなれば地球上の温度はなんと1000ºCを超える高温になってしまう。太陽とのバランスが少し崩れることで、この生命の星もいずれは終焉を迎えるのである。こうして宇宙に思いを馳せながら読書を愉しみHONZにレビューを書けるのも、いまの地球がハビタブル・ゾーンにあるからこそ・・・。なんだか感慨深くなってしまった。いずれにしても、本書は宇宙的バランス感覚を養うのに絶好の一冊である。


地球外生命を求めて:マーク・カウフマン 著


人類による地球外生命体探索のこれまでを綴った良書。宇宙生物学者への取材も豊富になされており、臨場感が伝わってくる。


生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る:高井 研 著


こちらは微生物学者による生命の起源についての考察。最近、この著者はエンセラドゥスへの探査も画策しているようだ。


※本記事は書評サイトHONZに寄稿したものです

【書評】昆虫研究者に囲われた、セクシーすぎる愛人たちの図鑑『きらめく甲虫』

きらめく甲虫:丸山 宗利 著


「これまでの昆虫図鑑の概念を覆した」。本書のことを、こう紹介しても過言ではないだろう。従来の昆虫図鑑では体現できなかった、圧倒的な質感と光沢。本書では、各ページがひとつの標本箱、いや、宝石箱になっている。その中にそっと指を入れれば、掴めてしまいそうな、きらめく虫たち(実際に、本書に印刷された虫を本物だと勘違いし、一生懸命に指でつまもうとしていた幼児がいた)。


ページをめくるごとに、たしかな質量をそなえた昆虫たちが浮き出る。虫たちの容姿は、リアルを通り越して、セクシーな領域にまで達してしまっている。これだけのクオリティーにもかかわらず、本書は驚愕の1300円(税抜)。私は書店で本書を見て、購入を即決した。


これらの艶かしいモデルたちをコレクションし、撮影したのが、ベストセラー『昆虫はすごい』(光文社新書)や『アリの巣をめぐる冒険』(東海大学出版会)の著者でもある丸山宗利氏だ。九州大学総合研究博物館で昆虫分類学研究に従事する、新進気鋭の研究者である。


生物学の分野で大学教員になるのは難しい。昆虫分類学のように博物学的な要素を含む研究分野では、用意されているポジションはとりわけ少ない。競争を勝ち抜いてプロの研究者になる難易度は、さらに跳ね上がる。それを承知で、昆虫分類学研究者として一旗揚げようとする著者のような人間は、尋常ならざる昆虫愛を抱いていなければ、とてもではないが、この世界ではやっていけない。言い換えれば、著者は誰よりも昆虫を愛しすぎた人物なのだ。


昆虫研究者にとっての昆虫とは、すなわち愛人に等しい。誰も邪魔の入らない密室の中で、自らが囲う愛人たちをファインダー越しに愛しながら、慎重にシャッターを切ってゆく昆虫研究者。そんな著者に撮られたからこそ、被写体の虫たちからは性的魅力すら立ちのぼってくるのだろう。撮影機材に特殊なもの使ったのかと思いきや、そういうことはなく、撮影時に光の当て方を工夫して立体感が出るようにしたそうだ。なるほど、地道に培ってきたそんなテクニックも、被写体にさらなる性的魅力をもたせる秘訣だったのである。


もちろん、昆虫たちの迫力ある質感を体現したのは、印刷技術による貢献も大きい。昆虫に取り憑かれた著者と、高度な印刷テクノロジー、そして、出版社の熱意が合わさって、奇跡的な一冊が生まれたのかもしれない。本書はいずれ電子版でもリリースされるかもしれないが、おそらく、紙版のクオリティーには及ばないだろう。本書は、紙の本のさらなる可能性をも感じさせてくれる。


さて、タイトルにある通り、本書は昆虫の中でも甲虫のみを収録している。ご存知の方も多いと思うが、昆虫は地上で最も繁栄している生物群である。その昆虫の中でも甲虫はとくに栄えており、約37万種が知られている。甲虫にはカブトムシやクワガタムシを含むコガネムシ上科をはじめ、オサムシ上科、タマムシ上科、ゾウムシ上科、そして、カミキリムシ上科が含まれる。甲虫が栄えた大きな要因として前翅の硬化が挙げられる。昆虫の他のなかまは二対四枚の羽を使って飛ぶが、甲虫では硬化した前翅二枚は飛翔には使わず、後翅二枚のみで羽ばたく。前翅は後翅を収納・保護する。これにより、天敵から身を守ったり、土の中を潜ることが容易になり、地上の様々な環境に適応することができた。


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プラチナコガネ


種数の多い甲虫だけあり、形態のバリエーションも豊富だ。とりわけ、熱帯地方にはメタル感あふれるきらびやかな色彩を放つ種類が多い。これらの金属光沢は構造色といい、光が当たると発色する。表面の微細構造によって異なる光の波長を反射するため、部位によってさまざまな色に見えるわけだ。人々を魅了してきたこれらのきらめく甲虫たち。種類によっては、高値で取引されることもある。中南米に棲息するプラチナコガネなどは個体数も少なく、重量あたりの取引金額は金よりも高いとか。

ここで、本書に収録されている200種類のうち、私の独断と偏見で選んだかっこいい甲虫ベスト5を発表したい。


第5位 サザナミマダガスカルハナムグリ
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マダガスカル産だが、まるで北斎の作品のようなさざ波模様が粋。


第4位 ニジモンカタゾウムシ
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いきいきとした水玉模様がグッド。


第3位 キラキラアラメムカシタマムシ
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正真正銘のキラキラネーム甲虫。渋くて重厚な色合い。


第2位 イボカブリモドキ
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背に施された突起物がグロ・クール(グロくてクール)で素敵。


第1位 ヤマトタマムシ
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やっぱり日本人にとってヤマトタマムシは永遠のあこがれ。

みなさんも、ぜひ本書の甲虫たちを堪能し、マイベスト甲虫を選定してみてほしい。


ところで著者によると、甲虫の新種は毎年何千も記載されるらしい。それだけ、まだ多数の虫たちが人知れず地上のどこかに潜んでいるわけだ。生物分類学は未知だった生物を全人類に紹介し、さらに科学の俎上に乗せるという、大事な役割をもつ。この学問を蔑ろにすると、そこから先の基礎研究と応用研究は立ち行かなくなる。我が国の現政府は実利的研究以外の分野に冷や水を浴びせようとしているが、著者のような研究者が今後育たなくなれば、我が国の科学研究は土台がもろく先細ったものになってしまうだろう。人類が集合知を作り上げていく上で、今後も著者のような存在は欠かせないのである。

ツノゼミ ありえない虫:丸山 宗利 著


さて、著者によるツノゼミの図鑑もおすすめだ。生存に必要なさそうな、極端な形。こんなありえない形態がなぜ進化したのかを想像するのも楽しい。


昆虫はすごい:丸山 宗利 著


※本記事は書評サイトHONZに寄稿したものです


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クマムシ研究所がMaker Faire Tokyo 2016に出展します

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直前の告知になってしまいましたが、8月6日(土)と8月7日(日)に東京ビッグサイトで開催されるMaker Faire Tokyo 2016にクマムシ研究所が出展します。


クマムシ研究所:Maker Faire Tokyo 2016


ブースでは私たちが普段研究しているヨコヅナクマムシの展示や、乾眠状態のヨコヅナクマムシを復活させる実験も行います。クマムシや研究の解説についても随時行います。




Maker Faire Tokyoでは工作をテーマとした出展者がほとんどですが、バイオ系の出展もけっこうあります


クマムシ研究所のブース番号は「C-04-03」。ご来場をお待ちしています。

クマムシさんベレー帽

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7月23日と24日に開催される博物ふぇすてぃばる!3に「クマムシさんのお店」が出展します。


一点ものの限定販売として、ひよこまめ雑貨店さんに作製していただいたクマムシさんベレー帽も今回特別に出品することになりました。


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クマムシさんベレー帽を作成中のひよこまめ雑貨店さん


価格は36000円とけっして安いものではないですが、クマムシ博士とお揃いになれるというありがた迷惑な特典があります。興味のある方は、ぜひ。

NHK『サイエンスZERO』に出演します。

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昨年末のNHK『サイエンスZERO:プレゼンスタジアム2015』に出演して優勝したのですが、そのときの副賞として本番組への出演権をもらいました。そしてこのたび、晴れて本番組に出演することになりました。


サイエンスZERO:水の生態調査の大革命! 環境DNA


放映日時は7月17日(日)23:30から。今回の特集は、生態学研究に革命を起こしつつある環境DNA。環境DNAにちょっとクマムシの話にも絡めて話をしました。ぜひご覧ください。


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【満員御礼】クマムシワークショップ開催のお知らせ

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※追記:本ワークショップは満員になりました。


アメリカを中心に広がるDIYバイオのムーブメントですが、ついに日本でも本格的にこの動きが出てきました。2016年に株式会社ロフトワークが中心となり、「BioClub」というDIYバイオのコミュニティが発足。渋谷にある同社が運営する「FabCafeMTRL」の一角にオープンバイオラボスペースができるそうです。


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Image credit: BioClub


そしてこのたび、幸運な巡り合わせでBioClubとクマムシ研究所がコラボをすることになりました。6月、7月、8月の各月1日ずつの合計3日間、クマムシのワークショップを開催します。1日目にクマムシの採集と観察、2日目にクマムシの飼育、3日目に個人の自由研究を予定しています。詳細は以下のとおり。

BioClub クマムシ研究会 〜世界最強生物と一緒に最強バイオを身につけよう〜


プログラム(※内容は変更になる場合があります。)


第一回(6月26日(日)):クマムシの採取
1. 実験器具の基本操作を学ぶ
2. クマムシの基本情報を学ぶ


第二回(7月24日(日)):クマムシの飼育
1. 培地の作り方を学ぶ
2. クマムシの生態について学ぶ


第三回(8月28日(日)):クマムシを用いた自由研究
1. 自分でテーマを決める
2. 自分で実験を行う
3. 実験結果を分析・発表する


日時:6月26日(日)、7月24日(日)、8月28日(日)毎回10:00〜18:00
定員:12名
参加費:3日間で5500円(クマムシ研究所メンバーとむしマガ購読者は特別価格)
会場:FabCafe MTRL 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目22−7 道玄坂ピア2F


参加希望の方はBioClubのFBイベントページから参加登録してください。


クマムシの飼育が学べるワークショップは世界でも珍しい希少な機会。今後、BioClubで継続的に研究を進めることが可能になれば、専門家を出し抜くような研究成果が得られる可能性もあります。ぜひお越しください。


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『クマムシ研究日誌』、重版出来御礼。

クマムシ研究日誌: 地上最強生物に恋して


重版出来!(1) (ビッグコミックス)


ちょうど1年前に出版した『クマムシ研究日誌』(東海大学出版会)が重版されることになりました。『クマムシ博士の「最強生物」学講座」』(新潮社)に続き、これで単著は2作連続での重版。出版社や書店のみなさま、そして何よりも拙著をお買い上げいただいた方々に厚く御礼申し上げます。


本書の感想を書いていただいた方々にも感謝申し上げます。ここでその一部を紹介させていただきます。

研究対象に注ぐ〈無償の大きな愛〉に圧倒される。
読売新聞

いったい何回クマムシという単語が出てきているのだろうか。彼のクマムシに対する愛はとめどなく溢れてはこぼれ落ち、この本に散りばめられている。
バッタ博士 前野ウルド浩太郎 
砂漠のリアルムシキング

本書から伺える堀川氏の一連の考え方や行動力は、まさに起業家精神(アントレプレナーシップ)に基づいている。
academist代表 柴藤 亮介 
HONZ


柴藤さんと内藤さんとの対談もHONZで掲載されました。

honz.jp

今は作家とかミュージシャンも昔に比べると食えなくなって、イベントをこまめにやったりネットでうまくセルフプロデュースしたりしないとやっていけないとか言ったりするけれど、研究者もそういうものになっていくんじゃないだろうか。
pha
phaの日記


phaさんとも対談させていただきました。

www.gentosha.jp

同じ研究者という生き物として、さまざまな試練にさらされながらも研究を続けようと苦闘する氏の姿に親近感を覚えた
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甘ちゃんの研究者がだんだん鍛えられてプロになっていく過程はなかなか読ませる。
shorebird 進化心理学中心の書評など

調査対象の飼育システムを確立し、それを研究するだけのサンプル数を稼ぐことができるようにするまでのプロセスがすさまじい。
めもちょう タイの森から石川県へやってきた研究者の生活

研究者だから,つまらない文章だろうと思ったらとんでもない。

よぴきちさん(読書日記)


プチ文壇バー「月に吠える」のWebでも本書についてのインタビューをしてもらいました。


magazine.moonbark.net


Twitterでも多くの感想を寄せていただいています。



『クマムシ研究日誌』をはじめとした東海大学出版会の『フィールドの生物学シリーズ』は大型書店に置いてあるので、実際に手に取ってから購入を検討されたい方は、そのあたりを回っていただければと。以下の書店に置いてあることは確認済みです。


八重洲ブックセンター本店
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丸善丸の内本店
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丸善&ジュンク堂書店渋谷店
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ジュンク堂藤沢店
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丸善多摩センター店
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啓文堂書店 狛江店(実家のある狛江の書店さんに置いてもらいました)
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最後に、ソーシャル校正のよびかけに快くご参加いただいたみなさまに特別の御礼を申し上げます。どうも有り難うございました。


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多数の系外惑星はどのように認定されたか

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Image Credit: NASA Ames


昨日こちらに書いたように、2016年5月10日(日本時間は11日)、NASAが「ケプラーによる最新の発見」についての記者発表があった。結果から言うと、ケプラーの観測によりアーカイブされていた太陽系外惑星候補(Kepler object of interest (KOI))のうち一気に1284個について「候補」が外れ、太陽系外惑星と認定された。


Briefing materials: 1,284 Newly Validated Kepler Planets: NASA


Morton et al. 2016. False positive probabilties for all Kepler Objects of Interest: 1284 newly validated planets and 428 likely false positives. Astrophysical Journal


ここまで多くの系外惑星が認定されるとは、昨日の時点では私は考えていなかった。予想を超えた発表であった。


2009年の打ち上げ以降、これでケプラーが見つけた系外惑星は一気に2000を超えた。今回、なぜここまで多くの系外惑星が認定されたのか。これは、系外惑星候補から「候補」を外すプロセスの進展に起因している。


系外惑星が恒星の前を横切ると、恒星が減光する。もし恒星の減光期間が一定で、周期的に同程度の減光が観測されれば、その恒星の周りを惑星が回っていると推測できる(トランジット法)。


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Image Credit: NASA Ames


ケプラーはこのような対象を系外惑星候補としてストックする。そのあとで、この系外惑星候補に対してフォローアップをする。地上から系外惑星候補を詳細分析し、これらが確かに系外惑星なのか、あるいは二つの恒星による連星などによる偽陽性なのかを検証する。この方法だとひとつひとつの系外惑星候補に対して長期的な分析が必要だった。


今回、プリンストン大学のTimothy氏は、プログラミング技術により自動解析法を構築し、多数の系外惑星候補を解析することを可能にした。新しいモデルはフォローアップなしでケプラーからのデータのみで候補が惑星かどうか判断する。これまでに確認されている系外惑星と偽陽性のトランジットパターンと、系外惑星候補のうちに惑星もどきが含まれる確率のデータをもとに構築されている。すべての惑星候補に対して偽陽性確率が0から1のあいだで当てられ、このうち偽陽性確率が1%未満のものを系外惑星として認定する。


この方法により、一気に多数の系外惑星候補の解析が可能となり、今回の発表となったわけだ。ちなみに、今回新たに用いられた手法の制度は、他の研究グループの先行研究によって用いられたフォローアップの手法のそれと大きくは変わらなかったと主張している。


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Credits: NASA Ames/W. Stenzel; Princeton University/T. Morton


ケプラー以降の太陽系外惑星調査では、さらに多くの系外惑星候補がデータに入ってくると予想される。このとき、今回のような大量データを自動解析するシステムが威力を発揮するだろう。


さて、これまでに、液体の水が存在しうるハビタブルゾーンにある地球のサイズの2倍以下の系外惑星は12個が確認されていた。今回、この条件に当てはまる惑星が新たに9個も加えられ、合計で21個となった。


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Credits: NASA Ames/N. Batalha and W. Stenzel


ところで、昨日、私が行った会見予想に、以下の一文がある。

おそらくですが、ハビタブルゾーンにある地球型惑星が複数見つかった、という内容かもしれません。

NASAの「ケプラーによる最新の発見」を予想する:むしブロ


ということで、今回の予想はこれまでで一番苦戦したが、この部分については的中した。この調子で観測・解析が進めば、10年以内に地球とほぼ同条件の惑星が意外と近場で見つかる可能性もあるだろう。21世紀は宇宙生物学が隆盛を極めそうだ。


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NASA's Kepler Mission Announces Largest Collection of Planets Ever Discovered: NASA

NASAの「ケプラーによる最新の発見」を予想する

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Image Credit: NASA


2016年5月10日(日本時間は11日)、NASAが「ケプラーによる最新の発見」について記者発表します。


NASA to Announce Latest Kepler Discoveries During Media Teleconference: NASA


このようなアナウンスが出ると予想してみたくなるのがクマムシ博士です。近年は二回連続でNASAの会見内容を的中させています。


horikawad.hatenadiary.com

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今回、記者会見で発表される内容は、ケプラーによる新発見とのこと。ケプラーが、どのような発見をしたのか。ついに地球外生命体、それも宇宙人でも見つけたというのか。はたまたクマムシでも見つけたのか。


残念ながら、それはありえません。ケプラーのスペックでは、生命体やその痕跡をつかむことは不可能だからです。今回の発表はまちがいなく、系外惑星についてのアナウンスとなるでしょう。


ケプラーはNASAが打ち上げた宇宙望遠鏡。そのミッションをざっくり言うと、太陽系外の地球型惑星を探索することです。私たち地球生命体は宇宙でぼっちな存在なのか。それとも、宇宙には自分たちと同じような仲間がいるのか。ケプラーのミッションは、この宇宙生物学の大きな命題に挑むために欠かせません。


ケプラーは、光度測定器により、太陽系外の恒星を観測します。もし系外惑星が恒星の前を横切れば、そのときに恒星が薄暗くなります。恒星が暗くなる期間が一定で、さらに、周期的に同程度の輝度の低下が見られれば、その恒星の周りを惑星が回っていると推測できます。このような方法をトランジット法とよびます。


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Image Credit: NASA Ames


ケプラーのおかげで、これまでに太陽系外惑星が次々と発見されてきました。液体の水が存在しうるハビタブルゾーンにある地球型惑星も次々と見つかっています。天文学や宇宙生物学におけるケプラーの貢献は計り知れません。


それでは毎度恒例ですが、今回の記者発表内容を予測するにあたり、記者会見に登場するメンバーの専門分野を最大公約数的に絞り込みました。記者会見に登場するメンバーは以下の通り。


1. Paul Hertz(NASA本部の宇宙物理学部門ディレクター)
2. Charlie Sobeck(NASA Ames Research Centerのケプラーミッション・マネージャー)
3. Natalie Batalha(NASA Ames Research Centerのケプラーミッション・サイエンティスト)
4. Timothy Morton(Princeton Universityのアソシエイト・リサーチ・スカラー)


ここで、1.のHertzさんはNASA本部の偉い人なので、今回の研究内容には直接関係ありません。2.のSobeckさんはケプラーミッションを統括するやはり偉い人なので、この方の身辺を掘り起こしても研究内容と直接関係のあるファクツは見つかりそうにありません。


今回の会見発表内容に実質的にかかわっていそうなのは、3.のBatalhaさんと4.のMortonさんだと思われます。Batalhaさんは、ケプラーミッションで2011年にはじめて太陽系外の地球型惑星(Kepler-10b)を見つけた、この道のエキスパートです。Mortonさんは、ケプラーが取得したデータを解析するスペシャリストのようです。


さて、この二人の情報をさらに集めて今回の発表内容を予測しました。が、今回は特異的な情報をあまり得られなかったため、あまり予想を絞りこめませんでした。おそらくですが、ハビタブルゾーンにある地球型惑星が複数見つかった、という内容かもしれません。これが一つ目の可能性。個人的な希望的観測を含めれば、「これまでにもっとも生命が存在しうる条件の星が見つかった」という発表だと嬉しいのですが。


「今回、NASAが事前にアナウンスをして記者発表するのだから、きっと重大な発表に違いない」。そう思いたいのもやまやまですが、実際には、とりたてて騒ぐような発見ではないかもしれません。記者会見のアナウンスにも「重大な発見」とは書かれていませんしね。


さて、会見発表内容の二つ目の可能性として、昨年の「イメージダウン」を払拭するためのものが考えられます。


2015年、フランスやポルトガルの研究グループが、「ケプラーが発見した大惑星(Giant Planet)のうちの半数は実在しないだろう」とする研究発表を行いました。


Kepler’s Giant Exoplanet Candidates — Real or Not Real? : Sky and Telescope


彼らはケプラーにより選定された系外惑星候補を地上から観測・解析したところ、多数の偽陽性が見つかったと報告しています。とくに、恒星から近距離に位置する木星型惑星(ホット・ジュピター)を含む大惑星の半数は偽陽性であると主張。これに対し、今回の記者発表に出席するBatalhaさんとMortonさんは「ケプラーは系外惑星の見落としがないように”甘めに”候補を選定している」と反論しています。また、「大惑星ではないサイズの惑星についての偽陽性の頻度はそれほど高くない」とも主張しています。


この反論はもっともに聞こえます。ただ、パブリックイメージを気にするNASAは、このちょっとした騒動でついたマイナスイメージを挽回する目的もあり、今回の会見を開くのかもしれません。つまり、会見内容の二つ目の可能性として、「ケプラーにより選定された系外惑星候補には真の惑星の割合が高い。偽陽性はあいつらが言うほど多くなんかない」というものが挙げられます。今回のキーパーソンであるMortonさんのウェブにも、「系外惑星候補から「候補」を外す解析をしている」と書いてありますし、こちらの可能性はそれなりにありそうです。


ということで、今回のNASA会見予想でした。ちょっと穿った見方も入ってしまいましたが、実際の会見を楽しみに待ちたいと思います。


【参考書籍】

生命の星の条件を探る 阿部 豊 (著)


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※本記事は有料メルマガ「むしマガ」338号「NASAの「ケプラーによる最新の発見」を予想する」からの抜粋です。

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英語教師に英語力は必要か

日本人は英語の話題が好きだ。どの媒体でもかならず、英語に関する話題を頻繁に目にする。個人的には英語についての議論はあまり興味がないのでスルーするのだが、さきほど目にしたこの記事に書かれていた教師の英語力について、少しだけ気になった。


toianna.hatenablog.com


この記事は、英語教師のTOEIC平均スコアがわかる情報を適切に引用していない。実際の中学校と高校の英語教師の英語力は、どの程度なのだろうか。ちょっと調べてみたところ、簡単に国の調査報告を見つけることができた。平成26年度の調査によると、TOEIC730点以上を取得している割合は中学校英語教師で28.8%、高校英語教師で55.4%となっている。


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文部科学省「平成26年度 英語教育実施状況調査(中学校)の結果概要」より


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文部科学省「平成26年度 英語教育実施状況調査(高等学校)の結果概要」より


このデータを見るかぎり、中学校と高校の英語教師の能力はじゅうぶんとは言い難い。


・英語教師に高い英語力は必要か


だが実際のところ、英語教師にそこまでの(たとえばTOEIC900点以上)の英語力は本当に必要なのだろうか。


学校教育の目的は、ものごとを論理的に考える能力を養うことである。いろいろな教科を通して、この目的を達成することが学校教育の基本だ。英語という教科においては「英語」というひとつの言語を通して、この論理的思考力を鍛えてゆく。逆にいえば、題材は何でもよく、たとえば中国語やスワヒリ語でもよい。日本語を母国語とする生徒が、あるひとつの外国語について、その構造を理解してゆく過程が大事だ。


学校の英語教育についての議論を眺めていると、「論理的思考力を養うこと」と「英語をペラペラに喋れるようにすること」を混同している場合が多くみられる。中学校と高校の6年にわたり英語を学んでも英語が話せるようにならない、というのは、きわめて当たり前のことなのである。学校の英語教育は英会話教室のそれとは別物だと認識しなければならない。


・実用英語の能力を高めるには


この現実を把握した上で、実用的な英語を使えるようになるにはどうしたらよいだろうか。これにはまず、大きな前提条件があることを認識しなければならない。それは当たり前のことだが、学習者自身に切実なモチベーションがなければ、英語を使えるようにはならないということだ。英語そのものが好き、英語圏の文化に尋常ならざる憧れがある、英語をどうしても使わざるをえない状況にある、どうしても外国人と仲良くなりたい。こういった動機がなければ英語を使えるようにならない。子供はとくにそうだろう。


私の場合は大学生まで上述のような動機がまったくなく、高校三年生の最後に実施された英語のテストでは100点中8点程度だった。私が教わっていた英語教師は、ネイティブスピーカーと何の問題もなくコミュニケーションできるレベルの英語力をもっていたにもかかわらず、である。その後、私はクマムシ研究の道に入り、英語の文献を読んだりアメリカで留学生活をすることになり、結果としてサバイバルレベルの実用英語が身に付いた。


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ヨコヅナクマムシ


結局のところ、大事なのは本人のモチベーションなのである。中学校や高校で英語能力の高い教師を増やしたとしても、英語を使えるようになる子供はそこまで増えないだろう。


最後に、英語を使えるようにするために私が使用した基礎的な教材を紹介して、この記事を終えることにする。


まず、語彙について。これは例文がひじょうによくできているので、例文を暗記するとよい。


DUO 3.0


次に発音。発音記号を覚えると、スピーキングのみならず、リスニング力も確実に向上する。


英語耳[改訂・新CD版] 発音ができるとリスニングができる


これらが終わったら、まとまった文章をシャドーイングするとよい。


究極の英語学習法K/H System (入門編)


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クマムシの味を知る−−人類の偉大な飛躍

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図0. 無数のドゥジャルダンヤマクマムシ。


1. はじめに


人類が構築してきた文明のなかでも、食文化は、もっとも重要なカテゴリーのひとつを占める。ヒトの摂食行為は、生命活動に必要なエネルギーを確保するためだけのものではない。摂食行為にかかわる味覚、嗅覚、視覚。摂食の過程でこれらの感覚が統合・抽出される。調理や盛り付けの方法が開発されてきた理由の一端として、人類が摂食行為を通した感覚刺激によって得られる快楽を求めてきたことが挙げられるだろう。


我々の豊かな食文化を支えるもっとも基本的なパーツは、食材である。摂食行為に快楽を求めてきた人類は、多数の食材を開拓してきた。人類にとって未知の材料を新たな食材レパートリーに追加することは、食文化の土台を水平方向に伸長させ、食文化の総ボリュームを拡張する(図1)。


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図1. 食材のレパートリーは食文化を形成する基盤である。


すなわち、未知の食材の開拓は、食文化構築という人類の共同作業において、もっとも重要な役割を担う作業である。


クマムシは緩歩動物門に属する無脊椎動物であり、乾燥などの極限環境に対して高い耐性をもつことで知られる(図2)(資料1)


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図2. クマムシの一種、ドゥジャルダンヤマクマムシ。(Photo: Kazuharu Arakawa)


1773年に初めてクマムシの存在が記録されて以来(資料2)、人類が本生物を実食した報告はまだない。


クマムシは現在までに1200種以上が知られているが、どの種も体長は1mm以下でありる。本生物の味を知覚するためには、きわめて多数のクマムシを一度に食する必要がある。クマムシの大規模飼育は難しく、本生物のテイストを知覚するための高い障壁となっていた。だが、イギリスのSciento社がクマムシの一種であるドゥジャルダンヤマクマムシの飼育系を確立した(資料3)。さらに、慶応義塾大学クマムシ研究グループが本種の大規模飼育に成功し、今回の実食実験が可能となった(資料4)


慶応義塾大学クマムシ研究グループクマムシ研究所の共同プロジェクトである本研究は、クマムシの実食実験を遂行して本生物を新たな食材レパートリーに追加することで、人類の食文化を拡張させることを目的とする。


2. 方法


ドゥジャルダンヤマクマムシの飼育は慶応義塾大学クマムシ研究グループで行われた。生クロレラV-12(クロレラ工業株式会社)(資料6)を餌として添加した寒天培地上にクマムシを入れ、18ºCにて保温した。食材として使用する個体はいったんストックにするために乾燥した仮死状態である乾眠に移行させた。乾眠への移行には、相対湿度85%で48時間の乾燥処理を行った。合計でおよそ10万の乾眠個体を−20ºCにて保管した。


ドゥジャルダンヤマクマムシを活動状態に復帰させるため、実食実験の前日に乾眠個体に給水した。復活したドゥジャルダンヤマクマムシを顕微鏡で観察すると、体内にまだ餌と思われる緑色の内容物が確認された(図3)。


図3. ドゥジャルダンヤマクマムシの体内に確認できる緑色の内容物。(Photo: Daiki Horikawa)


体内に内容物がある状態では、実食を行っても正確なドゥジャルダンヤマクマムシのテイストを判別することはできない。そのため、内容物を排泄させるために、餌を含まない培地にて個体を20時間絶食させた(図4)。


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図4. ドゥジャルダンヤマクマムシが入った、餌の無い培地。(Photo: Daiki Horikawa)


絶食後に観察したところ、個体内の内容物はほぼ見られなかった。


実食実験には、活動状態の個体のみを用いた。活動状態の個体は培地表面に張り付く習性を利用し、培地に蒸留水を入れて浮遊した死亡個体をすすぎ落とした。その後、培地表面を洗瓶を使用して蒸留水を噴射し、培地表面に残っていた活動状態の個体を、ガラスシャーレ内に移した(図5)。


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図5. (上)ドゥジャルダンヤマクマムシが張り付いた培地。(中)培地表面を洗瓶を使用して蒸留水を噴射して個体を洗い流す。(下)培地を上半分だけ洗い流したため、この部分にドゥジャルダンヤマクマムシはいない。ドゥジャルダンヤマクマムシは培地の下半分にのみ残っている。(Photo: Daiki Horikawa and Nozomi Abe)


ガラスシャーレ内を顕微鏡で観察し、除去しきれなかった死亡個体と微小な不純物をガラスピペットで取り除き、活動状態の個体を新たなガラスシャーレに回収した(動画1, 図6)。



動画1. シャーレを回してクマムシを中心に集める。(Film: Daiki Horikawa)


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図6. 活動状態の個体のみをガラスシャーレに集めた。(Photo: Daiki Horikawa)


その後、1.5mlエッペンドルフチューブに蒸留水とともに集めた。およそ8万個体の活動状態個体のボリュームは、0.1ml相当であった。ドゥジャルダンヤマクマムシの体色は半透明の白色だが、多数集まると黄土色を呈する(図7)。


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図7. エッペンドルフチューブに回収したドゥジャルダンヤマクマムシ。


当初、ドゥジャルダンヤマクマムシを粉砕して"特別なスープ”とすることを考案していたが、破砕に使用する粉砕棒にクマムシの断片が付着することによるボリュームロスを回避するため、そのまま加熱した。加熱はヒートブロック内にて100ºCで30分間行った。加熱後は、ドゥジャルダンヤマクマムシの色やや濃くなったように見えた。


加熱したドゥジャルダンヤマクマムシをピペットマンにてチューブからスプーン(株式会社ファミリーマート製)に移行し、実食を行った(図8)。


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図8. (上)ピペットマンでドゥジャルダンヤマクマムシを移行する。(下)スプーンに移行されたドゥジャルダンヤマクマムシ。(Photo: Nobuaki Kono and Daiki Horikawa)


実食は、生命科学研究者のジョゼフィーヌ・ガリポン博士が担当した。口腔内にてドゥジャルダンヤマクマムシをじゅうぶんに粉砕し、テイスティングを実施した。テイストの評価は甘味、苦味、塩味、酸味、そしてうま味の有無を判別することで行った。また、テイストの近い既知の食材の想起を試みた。


3. 結果と考察


本研究において用いたドゥジャルダンヤマクマムシの市場価格は1個体あたりおよそ14円である(資料6)。実食に用いた8万個体はおよそ112万円に相当し、1gあたりの価格はおよそ2,240万円となる。最高級食材といわれるトリュフは1gあたり1,000円強であり*1、ダイヤモンドでも600万円ほどである(資料7)。永遠の輝きを放つ宝石よりも高価な本生物は経口投与され、一瞬のうちにその姿が確認できなくなった(図9)。


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図9. ガリポン博士の口腔内に消えゆく8万個体のドゥジャルダンヤマクマムシ。(Photo: Daiki Horikawa)


歯による本食材の咀嚼は効果的ではなかったため、口腔内にて舌と上顎をこすり合わせることで本食材を粉砕した。経口投与からおよそ30秒後、味覚の分析結果を言語化することが可能になった(最初はガリポン博士の母語であるフランス語で報告が行われ、次に日本語で行われた)。


甘味、苦味、塩味、酸味、そしてうま味は感じず、似たテイストの既知の食材はの食材は想起されなかった。あえて形容するのであれば、”池”や"魚類を飼育している水槽内の水”の匂いから想像する味に近い(ただし、ガリポン博士は幼少期に池の水を飲んだことがあるかもしれない、と証言している)。この風味の知覚は、十数時間にわたり保持された。


”池の味"という形容は、第三者が理解できる形からは遠いものかもしれない。ただし、ドゥジャルダンヤマクマムシの本来の生息地は池である(資料3)。また、本種は実験室内でも淡水環境で飼育されている。今後、池などの淡水環境に生息する生物の実食実験を行うことで、ドゥジャルダンヤマクマムシに近いテイストを有する食材が見出され、”隠れた食材圏(Shadow Foodsphere)"におけるテイスト系統樹が描かれることが期待される。


慶応義塾大学クマムシ研究グループクマムシ研究所による本研究によって、人類史上初となるクマムシの実食実験が行われたことにより本生物が食材レパートリーに加えられ、人類の食文化構築に寄与できた。ヒトのQOLを向上させる新規な生理活性物質がクマムシに含まれているかどうかは、今後、全代謝産物の網羅的解析(メタボローム)などで明らかになるかもしれない。現時点では、クマムシそのものをサステナブルに供給できる食材とするのは難しいが、仮に有用な生理活性物質がみい出されれば、化学的・生物学的に人工合成により、そのような物質を供給できるかもしれない。また、細胞培養系が確立されれば、将来的にはクマムシ細胞を使用した”人工肉”の開発も可能かもしれない。


1969年、アポロ11号により月面に人類で初めて降り立ったニール・アームストロングは"これは小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である"と言った。本研究による人類史上初となるクマムシ実食も、小さな一口であったが、人類にとっては偉大な飛躍であろう。食材としてのクマムシを活用するための研究活動はまだ始まったばかりであり、本分野の今後の隆盛を願うばかりである。


4. 謝辞


本研究のために犠牲となった多くのドゥジャルダンヤマクマムシたちに、哀悼と感謝の意を表する。


5. 参考資料


1. Horikawa DD. Anoxia: Paleontological Strategies and Evidence for Eukaryote Survival (Altenbach AV, Bernhard JM & Seckbach J, eds) Springer, Berlin, 2011.

2. 鈴木忠. クマムシ?!―小さな怪物. 岩波 科学ライブラリー, 2006.

3. Gabriel WN et al., Developmental Biology, 312: 545–559, 2007.

4. 私たちが飼育しているクマムシたちをご紹介! | クマムシ観察日記 - Kumamushi Diary

5. Horikawa DD et al., Astrobiology, 8:549-556, 2008.

6. Sciento: Item Information - Hypsibius dujardini. Water Bear culture

7. Top most expensive substances | Sciencedump


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クマムシ学研究会プログラム決定


2016年 4月10日(日曜日)、慶応義塾大学日吉キャンパスにてクマムシ学研究会を一般公開で開催します。


第一回クマムシ学研究会


一般聴講参加費は無料。一般聴講に参加される方は、こちらから事前登録をお願いします。


当日のプログラムはこちらです。

会場:慶応義塾大学日吉キャンパス第4校舎J19番教室

12:40 開場
13:00-13:05 開会の挨拶
13:05-14:15 セッション1

○辻本 惠
南極のクマムシのスゴいところ

○堀川大樹
凍っても死なないクマムシの謎

○吉田祐貴、堀川大樹、坂下哲哉、國枝武和、桑原宏和、豊田敦、片山俊明、小林泰彦、冨田勝、荒川和晴
ヨコヅナクマムシの乾眠関連遺伝子の網羅的同定へむけて

○稲留直紀
クマムシの窒息仮死についての研究

14:15-14:30 休憩
14:30-15:45 セッション2

○近藤小雪、久保健雄、國枝武和
クマムシの耐性準備に関わる分子メカニズム ~ヤマクマムシを用いた解析~

福田 恭子、仲宗根爽乃、桑原健太、野末馨、柴田今日子、大久保真理、森川作志、岡本晋一、垣口貴沙、米村重信、上杉健太郎、竹内晃久、鈴木芳生、○八田公平
極限環境耐性生物クマムシの細胞小器官レベルでの放射光mCT・光顕・電顕による統合(相関顕微鏡)3D解析

○佐藤健、大附裕也
研究経緯について及びヨコヅナクマムシのアルコール耐性について

○荒川和晴
クマムシ一匹からのマルチオミクス解析

15:45-16:00 休憩
16:00-16:55 セッション3

○松井透、石田観佳子
高知県産陸生クマムシ類と蘚苔類との関係

○藤本心太
異クマムシ綱フシクマムシ目の形態的多様性

○鈴木忠
ラームが見つけたクマムシをめぐって…3本トゲのオニクマムシ

16:55-17:05 休憩
17:05-18:00 セッション4

○杉浦健太
日吉マムシ谷に生息するクマムシとその生殖様式

○梅崎栄作
クマムシの歩行について

○Josephine Galipon
顕微鏡データに基づいた3D作品の構築

18:00 閉会の挨拶
18:30~ 懇親会(日吉HUB)


当日の会場ではクマムシさんぬいぐるみリアルクマムシぬいぐるみ
クロレラクマムシ書籍の販売も予定しています。


また、研究会終了後は会場近くのお店にて懇親会を開催いたします。クマムシ研究者や他の参加者との歓談をお楽しみください。

日時:2016年4月10日(日)18:30〜20:30
会場:HUB 慶應日吉店
住所:横浜市港北区日吉4-1-1 慶應義塾日吉キャンパス 協生館1F
参加費:お一人様3900円
内容:立食形式での各種料理バイキング、飲み放題付き
定員:50人

お申込みとお支払いはこちらからお願い致します。
※申込み締め切りは2016年3月31日(木)22:00です


クマムシ学研究会運営委員会一同、みなさまのご来場を心よりお待ちしております。


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「所さんの目がテン!」でクマムシ特集


2016年3月27日(日)の午前7時から「所さんの目がテン!」で「クマムシの科学」と題したクマムシの特集が放映されます。民放ではおそらく初となる、ひとつの番組まるごとクマムシ特集。


所さんの目がテン!


番組では、クマムシの採集や耐久実験を行ったり、そして全体の監修で協力させてもらいました。今回のクマムシ企画、この番組に出演している日本テレビアナウンサーの桝太一さんが中心になって実現。以前、このブログにはこんなコメントももらっていましたが、現実のものとなりましたね。


クマムシを研究している高校生の「脚ポンプ仮説」について - むしブロ

所さんの目がテンで、桝さんにこのクマムシ研究の特集をやって欲しい。

2015/11/01 17:54


一昨年、下北沢の書店でフジツボ貴婦人こと倉谷うららさんと桝さんのトークショーに遊びに行った時に桝さんとお会いし、これが縁となって今回の企画に関わらせていただくことになりました。


桝さんはもともとは生物学者を目指していた研究畑の方で、東大大学院でアサリの研究をしていました。今でも西表島のフィールドに出かけるほどの生物好き。ご自身の研究生活を綴った本もあります。ガチな方です。


理系アナ桝太一の 生物部な毎日 (岩波ジュニア新書)


番組制作スタッフの方々も熱心でしたし、よい番組に仕上がっているのではないかと思います。よろしければ、ご視聴ください。