クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

2011-01-01から1年間の記事一覧

新年のご挨拶

あけくま!

むしブロ+の過去記事ベスト5

ブログを書くようになっておよそ1年、更新頻度は低いものの最近は以前に比べて多くの方に訪れていただくようになりました。みなさんどうも有り難うございます。ブログを開設したときはアメリカにおり、あまり何も考えずにスタートさせたものの最初の半年間は…

ナショナルジオグラフィックで特集されました

ナショナルジオグラフィックのウェブサイトで私のインタビューが6回にわたり掲載されました。ネット上で初の顔出し。私自身のクマムシの研究について、その経緯やこれからのことについて語っています。10年前にクマムシと出会ったときのこと、そしてここフラ…

クマムシトリビア総集編

ヨコヅナクマムシの電子顕微鏡写真(撮影:堀川大樹 行弘文子) こんにちは、クマムシ研究者の堀川です。私はたまにTwitter(@horikawad)でクマムシトリビアをつぶやいているのですが、今回は新たに書き下ろしたトリビアも加え、総集編という形でお贈りしたいと…

ハダカデバネズミのキモカワイオンチャネル

Image from Wikimedia前回に引き続きハダカデバネズミの登場です。以下、前回のコピペ。キモカワほ乳類ランキング (むしブロ研究財団調査)で6年連続1位に輝いているハダカデバネズミ(裸出歯鼠)。写真でお分かりのように毛が無くてしわしわの皮膚に、にょっき…

ハダカデバネズミのキモカワ精子

Image from Wikimedia キモカワほ乳類ランキング (むしブロ研究財団調査)で6年連続1位に輝いているハダカデバネズミ(裸出歯鼠)。写真でお分かりのように毛が無くてしわしわの皮膚に、にょっきり飛び出した前歯の外見が非常にユニークでキュートです。変わっ…

コウモリを大量死させる「白い鼻病」

近年、コウモリの大量死が北アメリカでか起きています。「白い鼻病」にかかるのが原因だと考えられています。この白い鼻病はその名のの通り、鼻の周りが白くなるのが特徴です。 Image from Wikimedia この白い部分はGeomyces destructansというカビが増殖し…

日本に大量増殖したミュータント人間とその原因

ここ近年、あるミュータント(変異型)人間が日本で増殖している。このミュータントには、以下のような特徴がある。 1. 主に大都市で活動する。 2. とくに1月から4月にかけて活発に活動する。 3. 紺系の色を好む。 4. 従順である。 5. 前屈運動能力に長けてい…

人類絶滅を回避するために宇宙へ飛んだミニ人間

Image from Wikimedia 地球から他の惑星への移住は、人類絶滅を防ぐための大切な手段だ。もし来年、巨大隕石が地球に衝突したら? もし次の氷河期が、めちゃくちゃ辛かったら?ネアンデルタール人のように、我々も絶滅してしまうかもしれないし、そう考える…

人体一速い細胞は誰だ?!60兆分の1を決める戦い!

コロラドのデンバーで開かれているアメリカ細胞生物学会にて、世界初となる細胞レースが開催されました。 World's first cell race no small affair - Updated - December 03, 2011 70種類の系統の細胞たち*1が、ペトリ皿の上で競走している様子が以下の動画…

超危険ウィルスはどのようにして作られたか

Image from Wikimedia オランダ・エラスムス医学研究センターのRon Fouchier博士が、人に感染する恐れのある超危険ウィルスを作成したと話題になっています。このウィルスに感染すると、かなり高い確率で死に至ると予想されています。 Scientists Brace for …

バッタ博士の前野氏に関する前回記事のお詫び

前回の記事で、バッタ博士の前野氏のことを取り上げました。そしてその後、ご本人から、この記事が一部事実と異なるという指摘をいただいた。 逆襲のハカセ: 砂漠のリアルムシキング ご指摘によると、「サバクバッタは人を食べない」こと、「前野氏が食べら…

バッタに憑かれた男

Image credit: Kotaro Ould Maeno サバクバッタという、砂漠に生息する巨大バッタがいる。このサバクバッタ(Schistocerca gregaria)は、主にアフリカから中東およびアジアにかけて度々大発生し、穀物に甚大な被害を与える害虫である。 Image credit: Kotaro …

【リルログ寄稿】納豆菌はエイリアンだった!

納豆菌はエイリアンだった!リルログにも納豆菌の恐怖を伝える記事を寄稿しました。一人でも多くの人に、この恐ろしい真実を知ってほしいです。

みんな納豆菌を甘く見ない方がいい

image from Wikipedia もしあなたが、納豆菌のことを納豆作りのために必要なだけの貧弱な菌だと考えているなら、それは納豆菌のことをみくびっていると言わざるをえない。 納豆そのものや、納豆菌から産生されるナットウキナーゼが、健康増進作用を持つと代…

【書評】『マリス博士の奇想天外な人生』まさに奇人

マリス博士の奇想天外な人生 (ハヤカワ文庫 NF) 本書は、1993年にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法の確立への貢献によりノーベル化学賞を受賞した、キャリー・マリス博士の自伝的エッセイ集です。PCR法は特定のDNA配列を容易に増幅する方法であり、この方法の確…

傑出した研究成果を出すための8のポイント

Tips From the Top: Science Careers 2011年のノーベル賞受賞者へのインタビュー記事がScienceに載っていたので、読んでみました。ノーベル賞をもらうにはどんな心がけが必要かを、受賞者が答えています。インタビューを受けているノーベル賞受賞者は、以下…

【リルログ寄稿】科学の味覚

科学の味覚: リルログパリ市内で行われた科学イベントに出席してきました。科学とアートをつなぐ研究成果を表彰するイベントです。受賞対象となった「泡の研究」の映像が心地よかったです。

麗しき蘭にまつわる下世話なお話

花を買おうとしてネットを調べていたら、蘭が非常に高価なものだと改めて知りました。世界蘭展も非常に大規模な催し物ということも知り、なんとなくこの植物と人との間には深い世界が広がっている気がしたので、蘭についてちょっと調べたことをメモします。…

【書評】『現代免疫物語』

少し前になりますが、2011年のノーベル賞受賞者が発表され、ノーベル生理学医学賞には免疫学において大きな貢献を残した米仏の3氏が選ばれました。受賞対象となった自然免疫の分野でエクセレントな業績を残した大阪大学の審良静男教授が受賞されなかったのは…

【リルログ寄稿】ジュピター・イン・ザ・スカイ

ジュピター・イン・ザ・スカイ:リルログもし月の軌道上に木星があったらどう見えるのか?というシミュレーション動画。

幼虫をゾンビにしてドロドロにするウィルスの粋な生活史

寄生生物が自分にとって都合の良いように宿主の行動を操る現象は、古くから知られていました。このブログでも以前、アリをゾンビにして操るカビについて取り上げました。今回、マイマイガの幼虫に寄生するウィルスは、たった一つの遺伝子によって幼虫の行動…

シオマネキの大バサミはクーラーマシーンだった

via nakrnsm私は沖縄の西表島が大好きなのですが、この島の干潟で多くのシオマネキを見ることも、楽しみの一つです。シオマネキのオスは片方のはさみが不自然なほど大きく、もう片方は小くなっています。小さいはさみで砂をすくい餌を食べ、大きいはさみで「…

腐った卵の匂いで叶えるコールドスリープの夢

Photos via wseltzer ・腐った卵の匂いとその毒性温泉に行くと腐った卵のような匂いがすることがありますが、これは硫化水素(H2S)ガスの匂いです。硫化水素は毒性が高く、一定濃度以上の硫化水素を吸引すると意識を失い、死に至ります。温泉地、火山、下水道…

無重力ドリンク

無重力ネコに引き続き無重力でのドリンキング・ウォーター編です。まず一つめの動画。宙に浮いた水をそのまま吸い込み飲んでいきます。 そして二つ目。オルセン宇宙飛行士です。こちらは噴出される水を器用に口で受け止めて飲んでいます。良く訓練されている…

心臓を拍動させたまま輸送できるボックス

臓器疾患により臓器移植を必要とする人の数は、移植提供者(ドナー)のそれをはるかに上回り、多くの患者が長期間の待機を余儀無くされています。さらに、ドナーの臓器を受給者(レシピエント)に運ぶ際の臓器の短い"寿命"が大きな問題となっています。通常、ド…

無重力ネコ

ちょっと面白い動画を見つけました。 だいぶ昔にアメリカ空軍の航空宇宙医学部門によって行われた、ネコを使った無重力実験の模様です。 ネコが無重力状態でどのような反応をするか見ているようです。まず、ネコを重力のある状態で落下させ、きちんと立ち直…

NASAらが月や火星に設置用の新型原子力発電装置を開発

Image from Wikipedia これまでに行われてきた惑星探査やその他の宇宙開発活動において必要な電力は、燃料電池や太陽電池によってまかなわれてきました。ただ、これらの発電方法では電力供給が不安定であり、将来の火星移住計画など、人々が他惑星に定住した…

クマムシ集会・イン・パリ

去る2011年8月19日、パリにてクマムシ集会を開催しました。今回は、クマムシ集会のリポートをお届けします。(お店の許可を得て写真を撮影しています。) ★★★★★★★★★★★★ 【7:20 pm】 クマムシ集会の会場に到着。この時間でも、パリはまだ明るい。会場は、オペラ…

スーパー放射線耐性細菌デイノコッカス・ラジオデュランス

Wiredの記事などですでにご存知の方も多いかと思いますが、今回は放射性耐性細菌デイノッカス・ラジオデュランスを紹介します。 Copyright: Inserm U1001 ・発見1956年、アメリカのオレゴン農業試験場では、肉の缶詰を高線量のガンマ線を照射することで殺菌…