天才少年少女物語(第二話)
第一話の続き
(1ヶ月後)
湯川先生「はーい、みんな着席してー。今日で1学期も最後。明日から夏休みだけど、
ちゃんと計画を立てて夏休みの宿題は早めに終わらせるようにね」
生徒 「はぁーい」
湯川先生「それから、もうひとつお知らせがあります。この段ボールの中に
全教科の問題がふんだんに盛り込まれた「スペシャルドリル」があります。
夏休みのうちにやりたい人は取りにきてねー」
生徒 「えー、やりたくなーい」
湯川先生「やりたくない人はやらなくていいんだよ。
でもね、このドリルをすべてやった人には特典があります」
生徒 「とくてん?」
湯川先生「そう。夏休みの間にスペシャルドリルを完成した人は天才賞がもらえます」
生徒 「おおおーーー!!」
山中君 「えええーーー?!」
江崎さん「えええーーー?!」
湯川先生「そのかわり、このドリル200ページをすべてきちんとやって、
かつ夏休みの宿題も全部やった人だけだよ。それじゃ、
このドリルをやりたい人は前に取りにきてくださーい」
生徒 「はーい!!」
湯川先生「はい、押さない押さない!」
山中君 「なんでなんで?先生なんで??」
江崎さん「先生!こんなのおかしいと思います!」
湯川先生「(ほーらやっぱりきたよ・・・)何?山中君と江崎さん」
山中君 「天才賞ってクラスで成績トップの人しかもらえないはずでしょ?
ドリルやってきたらみんな天才賞って、ありえなくね??」
江崎さん「私もありえないと思います!」
湯川先生「あのね、これは教頭先生が・・・いや、ほら、やっぱり結果よりも努力を
重視することにしたの。かけっこでも足の速い人と遅い人がいるでしょ。
でも、3キロメートルの長距離走を走った人は、タイムに関係なく
みんなゴールしている。3キロメートルという過程を確実に走った。
これが大事なの」
山中君 「えーなんか納得いかないなー。2組と3組でもルールが変わったの?」
湯川先生「2組と3組ではスペシャルドリル制度はありません」
山中君 「やっぱりおかしいじゃん!なんで1組だけそんな天才賞を乱造する制度が
できたんだよ!」
湯川先生「山中君、教師に向かってその言葉遣いはやめなさい。1組は1組なの。
他のクラスとはルールが違うの。国が違えば法律だって違うでしょ?
それと同じなの」
山中君 「なーんか大人の理屈にだまされてる気がするんだよなー」
湯川先生「・・・・・・」
※この続きは有料メルマガ「むしマガ」(月額840円・初月無料)の231号で読むことができます。購読登録はこちらから。なお、この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在のものと一切無関係です。
【関連記事】