クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

天才少年少女物語(第一話)

(帝国市立第一小学校の3年1組。ある日の帰りの会)


チャイム「キーン コーン カーン コーン・・・」


湯川先生「はーい、みんな席について!今日は1学期前半の「あの賞」の受賞者が
     決定したから、今から発表しますよー!」


生徒  「えー?!もしかしてー?」


湯川先生「ふっふっふっ。そうよ。『天才賞』に選ばれた人を今から発表するの。
     そしてこれが(ゴソゴソ)・・・ジャジャーン!天才バッジよ!」


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生徒  「うわー!超ピカピカしててカッケー!!」


湯川先生「さーて、それでは発表するわよ。3年1組の1学期前半の天才賞は・・・
     山中君に決定!」


山中君 「よっしゃああああ!」


湯川先生「山中君、おめでとう。テストやドリル、本当によくできてたからね。
     はい、みんなも拍手!」


生徒  「パチパチパチ」
    「いいなー」
    「すげーなー」
    「やっぱ天才山中って言われるだけのことあるなー」


山中君 「へへ。まーオレがもらえると思ってたけどね!」


江崎さん「先生!」


湯川先生「なに?江崎さん」


江崎さん「山中君が天才賞っていうのはおかしいと思います!算数も国語もいつも
     私の方がテストでいい点とってるし!天才賞は私がふさわしいと
     思います!」


山中君 「はあ?理科と体育は俺の方が得意だろ!」


江崎さん「でも図工も私の方が得意だもん!あんたは絵がヘタでしょ!」


山中君 「なにおう!」


湯川先生「やめなさい、二人とも!江崎さん、確かにあなたも勉強がよくできる。
     先生ね、正直のところ、山中君と江崎さんのどちらに天才賞を
     あげるべきか悩んだのね。どちらも甲乙つけがたかったから」


江崎さん「・・・・・・」


湯川先生「本当にどちらも同じくらい優秀な成績だった。でも、天才賞はひとりに
     しかあげられないでしょ。江崎さんはこれをバネにして1学期後半に
     天才賞をもらえるように頑張ってほしいから、あえて今回は
     選ばなかったの。わかる?」


江崎さん「・・・はい」


湯川先生「それじゃ、今日はこれでおしまい。みなさん、さようなら」


生徒  「先生さようならー!」


★★★


(下校中)


小柴君 「山中ー!天才バッジさわらせてよー」


山中君 「しょうがないなー。ちょっとだけだよ」


小柴君 「おーー、めっちゃかっこいいな!オレも欲しいなー。でもなー。
     オレはお前みたいに天才じゃないからなー」


山中君 「お前のそういう謙虚なとこ、好きよ。誰かさんと違って」


小柴君 「でも、江崎の気持ちも分かるけどなー。あいつもすごい努力してるし
     頭いいし」


山中君 「でも性格が最悪。あいつ、結婚したくないタイプ、ナンバーワンだよ」


小柴君 「まーまー。天才賞はみんなの憧れだからさ。もらえれば
     スーパーヒーローじゃん。お前は選ばれた人間なんだから、
     あいつの気持ちももうちょっと考えなよ」


山中君 「そうか?」


小柴君 「そうだよ」


★★★


(3日後、江崎宅)


湯川先生「失礼します」


江崎母 「すみませんねぇ。わざわざ来ていただいて」


湯川先生「いえいえ。あのー、お子さんのご様子は・・・」


江崎母 「一体どういうつもりなんですか」


湯川先生「?!」


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