堀江貴文氏に学ぶ研究者としての生き方
6月23日の日曜日、堀江貴文さんが私のいるフランス・パリ第5大学の研究室まで、クマムシを見に遊びにきてくれた(クマムシの説明についてはこちら)。
堀江さんとはニュースサイトのハフィントンポスト関係者の懇親会の時にお会いしたのがきっかけで、今回の研究室見学へとつながった。堀江さんは顕微鏡でクマムシを熱心に覗きこんでいて、ずいぶんとクマムシを気に入ったご様子。
生物学の話も色々としたが、研究者を相手に話をしているような感覚だった。ライブドア時代にバイオベンチャーのユーグレナに投資をしたり、今もバイオ事業を考えていたりと、さすがにこの分野の知識も豊富だ。嬉しいことに、「クマムシの耐性について面白いことが分かったら一緒に何かしよう」というお話もいただいた。
現在、私はアカデミアにいる研究者としては珍しくキャラクタービジネスをしたり、有料メルマガの発行を通して、組織や政府に頼らず自力で研究費を調達する試みを行っている。これは、堀江さんから受けた影響が非常に大きい。
もう一度いう。政府の補助金なんて当てにする科学技術の発展なんてやめにしよう。: 六本木で働いていた元社長のアメブロ
堀江さんは夢を実現させるために、好きな宇宙開発事業に自らのお金を投資している。そこには、国に頼ろうという発想は皆無だ。これは、私がいるアカデミアの99%の研究者の考えと180º異なる。私自身も、もともとは他の大多数の研究者や同僚と同じような考えだったが、堀江さんの生き方を見ているうちに、自分でも何かやってみようという気持ちになった。
もちろん、政府は基礎研究に十分な予算を付けるべきだ。しかし、現実問題として、研究者が政治をコントロールて予算配分を変えることは難しい。さらに、ポスドク(博士号取得後に1〜3年の任期付で雇用される研究員)などの不安定な立場では、数年後に研究を続けていられるかどうかの保証すらない。組織や政府に頼るだけでは、研究者はときに大きなリスクを抱えることになる。
研究で夢を実現させたければ、自らの手で将来をを変えるしかない。そこで私は自分の研究対象であるクマムシをキャラクター化し、収益を出す試みを始めた。
また、堀江さんの有料メルマガの成功を見て、私も有料メルマガを発行するに至った。研究者が最新の科学研究成果を噛み砕いて面白おかしく伝える内容のメルマガで、収益についてはすでに損益分岐点を越えている。
これらの試みを始めてからはまだ日が浅いが、幸いなことに私の活動は各方面から支持を集めつつある。
堀川大樹さん「最強」のクマムシを「ゆるキャラ」に仕立てた: 朝日新聞
この活動が順調に進めば、近い将来、自らの生活費と研究費を確保して、世界中の好きな場所で好きな研究ができるようになる可能性も高い。これが実現すれば、研究者にとっては夢のような生活だ。
もちろん、研究活動の傍らでコンテンツを作って発信するのは大変だし、皆がうまく稼げるという保証もない。しかし私自身、この活動を通して様々な分野で活躍する人に会って刺激をもらえたりと、人生がすごく豊かになった。お金に換えられない経験もできるのだ。実際に、憧れていた堀江さんにもこうして会うことができた。
研究者もそうでない人も、自分のやりたいことをするために何かを発信してみるとよいと素直に思う。できないことを周りのせいにするよりも、自分で変わった方が早い。他人の目など気にせずに、とりあえず動き始めたらいい。堀江さんと話をしていて、改めてそう思った。
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