クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

夏の熱中教室のご案内

夏の熱中症教室って書きそうになった、それくらい暑すぎる2015年夏。このたび八谷和彦さんに任命されて、3331熱中教室(2015夏)
の講師人選をさせていただくことになりました。以下、概要です。

3331熱中教室(2015夏)


2014年夏、2015年冬に実施された「大人の集中講義」がまた帰ってきました。
「もしも私が学長になったら、この人の講座をぜひ開講したい!」という妄想を実現するこのイベント、第三回の講師人選を行う委員長は土曜日はクマムシ博士でおなじみの堀川大樹さん、日曜日は美術ライター・エディターの橋本麻里さんです。


「『なるほど、わからん』を楽しもう」はそのままに、先生方のディープで刺激的なお話を聞きたい人は土日に3331に集合です!!(副委員長 八谷和彦)


8月22日土曜日 ◯委員長あいさつ 堀川大樹(クマムシ博士)


21世紀は生命科学の世紀と言われます。これを表すかのように、21世紀に入ってからの生命科学の発展は凄まじいものがあり、社会を大きく変容させています。今回の熱中教室では、クマムシ博士が今もっとも気になる3名の生物学者に講義をしていただきます。合成生物学がご専門の谷内江望さんにはDNAを利用した最新技術をご紹介いただき、エキサイティングな分子生物学研究の最前線について熱く語っていただきます。ゲノムワイドアソシエーション解析がご専門の鎌谷洋一郎さんには遺伝子と病気の関連について、現在までの研究成果とともに、これらの研究知見から人々がどのように恩恵を受けていくかなど、社会との接点も含めてお話しいただきます。クマムシの生物学がご専門の鈴木忠さんには、道端のコケにいる「オニクマムシ」とよばれるクマムシを通して、ある生物に名前を与えるという生物学の根源的な議題について解説していただきます。他ではまず実現しないこの豪華ラインナップの講義を、どうぞお見逃しなく。(堀川大樹)


1限目(13時〜14時半)

谷内江 望(やちえのぞむ)
東京大学先端科学技術研究センター ・准教授


『DNAバーコードを利用した超高速生物学』
【講義内容】
本講義ではDNA分子構造の発見を契機としたDNA分子生物学隆盛の歴史60年を一気に走りながら解説し、人類が自在に操作し合成できるようになったDNA分子をバーコードとして利用して多様な細胞や分子の振る舞いを超高速に追跡する生物学について説明する。細胞内タンパク質間の相互作用を同定する遺伝学の手法や最近登場したゲノム編集技術などについて具体的に触れながら、一見小難しそうに見える生物学がシンプルなロジックと簡単な実験操作の組み合わせで成り立っていることを身近に感じて頂けるように努力して講義する。


《2限》2限目(15時〜16時半)

鎌谷 洋一郎(かまたによういちろう)
理化学研究所 統合生命医科学研究センター 統計解析研究チーム チームリーダー


『ヒトゲノムとありふれた病気の研究と社会実装の可能性について』
【講義内容】
ヒトのありふれた病気(common disease)とゲノムとの関係について、わかりやすく説明する試みです。スライドでの講義とさせていただきます。この10年間で、ヒトゲノムと糖尿病、気管支喘息、癌などといったありふれた病気の関係についての研究が大きく進みました。また、ヒトゲノム情報を扱う民間企業なども出現し、欧米ではゲノム情報の取り扱いについての法制化も進んでいます。ところが、肝心要の研究を進めてきた核となる研究者たちは、未だ社会実装に前向きではありません。その周辺について。


3限目(17 時〜18時半) 

鈴木 忠(すずきあつし)
慶應義塾大学医学部・准教授(生物学)
『クマムシ分類学:オニクマムシについて』


【講義内容】
オニクマムシは普通種として世界中に分布し、日本においてもクマムシ好きな小中学生たちがよく観察している。ところが、この普通種には正式な学名がいまだに付いていない。それはどういうことか?動物を命名するという行為およびクマムシ分類の現状を概説し、日本のオニクマムシが何者なのかを考える。


チケット数に限りがありますので、ぜひ早めのご購入を。なお、8月23日(土)は橋本麻里さんがこれまた素敵なお三方をお呼びしていますので、こちらも要チェックです。