クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

千葉県立中央博物館でクマムシ講演&観察会

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6月14日(日)に千葉県立中央博物館でクマムシ講演&観察会を開催します。

千葉県立中央博物館

13:00 から14:15までがクマムシ講義、14:30から16:00までがクマムシ観察会となっています。場所は千葉県立中央博物館の講堂/1階ホール。 当日申込先着150名(小学生以上)で参加費無料。近くの方は来てみてくださいね。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」295号「思考力を必要としなくなる時代に向けて」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 295【思考力を必要としなくなる時代に向けて】

2015年6月7日発行
目次

【1. はじめに】韓国旅行に行くなら

韓国で64人がMERSコロナウィルスに感染し、そのうち5人の死亡が確認された。韓国旅行を取りやめた観光客も多い。このウィルスに感染するリスクを考察。

【2. むしコラム「思考力を必要としなくなる時代に向けて」】
今は我々の思考力を使う機会がことごとく奪われている。確かにひとつひとつの情報を吟味していたらきりがない。しかしそれでも、考えることを放棄してはいけないと思う。

【3. おわりに「ゴールデン街から」】
ゴールデン街でクマムシ博士が何かするかもしれません。それは・・・

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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ベジタリアン・チーズに見る、バイオテクノロジーが道徳心を刺激する時代の幕開け。

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Photos courtesy of Biocurious


バイオテクノロジーが医療や食料生産に応用されるようになって久しい。遺伝子操作により、ヒトのホルモンを効率よく分泌する大腸菌が作られ、害虫に負けない農作物などが作られてきた。ただ、「人工」や「遺伝子組換」という単語に拒絶反応を示すナチュラル志向派も多い。科学技術の発展にともないたびたび起きてきた公害や薬害に対する印象から、あえて先端医療や遺伝子組換食品を避け、自然療法やオーガニック食材を好む層も一定数存在する。


最近のバイオテクノロジーは、そんなナチュラル志向だったり、道徳心の高い人々をターゲットに利用されるようになってきた。その顕著な例が、遺伝子改変酵母を用いて人工チーズを作ろうとする「ベジタリアン・チーズ」プロジェクトだろう。


このプロジェクトはカリフォルニアのベイエリアにあるバイオハッカースペースのCounter Culture LabsBiocuriousによって進められている。かれらは2014年6月にクラウドファンディングサイト「Indeegogo」で資金を募り、700人近くの支援者から3万7千USドルを集めた。


Real Vegan Cheese: Indeegogo


実は私もこのプロジェクトに支援していたりする。


このプロジェクトでは、酵母にウシのミルクの成分となるカゼインなどのタンパク質をコードする遺伝子を組み込んで、これらのタンパク質を生産しようと計画している。ベジタリアンの人のなかには、劣悪な飼育環におかれている家畜が生産したミルクから作られるチーズを食べたくない人もいるし、家畜を育てるために起こる環境破壊に対してネガティブな感情をもつ人もいる。もしもウシを使わずに人工的にチーズをつくることができれば、この懸念はなくなる。


酵母に入れる遺伝子はウシに由来するので、酵母からできるチーズもウシのミルクからできるそれと同一である。さらに酵母自体は遺伝子組換え生物だが、このチーズは酵母が作ったタンパク質だけが含まれるのでDNAフリーである。つまり、このベジタリアン・チーズ自体は遺伝子組換え食品にあたらない。遺伝子組換え食品嫌いの人も気にしなくてよいというわけだ。


もしもこのベジタリアン・チーズが生産可能になったとすれば、たとえこれが従来のチーズより高い値段であったとしても、ベジタリアンや、上述のような意識をもつ人たちがすすんで購入するはずだ。なにせ、大気汚染を懸念して、かなり割高な電気自動車を使用する人だっているくらいなのだから。もちろん、電気自動車もベジタリアン・チーズも、従来の自動車やチーズよりもコストダウンしていく可能性もじゅうぶんにあるが。


人工物や遺伝子組換えに拒否反応を示す人々を、遺伝子組換え技術でなだめる、という構図もなんだかおかしいように見えるが、バイオテクノロジーも単なる効率向上のみでなく、人々の道徳心を刺激して市場を拡大する方向にどんどんと使われ始めていくのではないだろうか。


【関連書籍】


バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!


【関連記事】

バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック

生物学はどこまで自由になれるのか?――DIYバイオの可能性

よいインターネット

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『クマムシ研究日誌』がようやく発売開始になりました。全国の大型書店の理工書コーナーに並んでいます。上の写真はジュンク堂書店藤沢店のもよう。『クマムシ博士の「最強生物」学講座』と一緒に並べてもらって嬉しい。


さっそく『クマムシ研究日誌』が書評サイト「HONZ」で紹介してもらいました。


『クマムシ研究日誌』研究で培われた、生きるための力 - HONZ


本書から伺える堀川氏の一連の考え方や行動力は、まさに起業家精神(アントレプレナーシップ)に基づいている。虫好きの人はもちろん、生き物にあまり興味がない人であったとしても、試行錯誤する堀川氏の研究哲学に接することで、何かしら示唆を得るところがあるはずだ。


レビュワーは研究系クラウドファンディングサイト「academist」代表の柴藤亮介さん。academistの取り組みについては、このブログでも以前紹介しました。


研究活動支援型クラウドファンディングサイトがオープン


柴藤さんとはそこまでの面識はないのですが、両方とも何かしらの活動をしていると、こういう形でお互いにお互いを評価するようになったりして、よいインターネットをしていると実感しますね。いずれacademistにお世話になることもあるかもしれないし、そのときはどうぞよろしくお願いします。


クマムシ研究日誌: 地上最強生物に恋して


みなさまにおかれましても『クマムシ研究日誌』を読了の際にはブログやSNS、はたまたアマゾンなどに感想を残していただけますと幸いです。クマムシ博士はとても喜びます。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」294号「自分で考えて判断することの難しさ」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 294【自分で考えて判断することの難しさ】

2015年5月31日発行
目次

【1. はじめに】クマムシ研究日誌発売開始

『クマムシ研究日誌』が発売開始。週末はクマムシや地球外生命体についてのイベントにも行ってきました。

【2. むしコラム「自分で考えて判断することの難しさ」】
人間は常に無数の情報を取り入れて適切な判断をしていかなくてはならない。自分で考えて判断するのは面倒なので、多くの人が判断基準を安易に他人に委ねてしまう。

【3. おわりに「親子出版」】
母親も本を出版しました。そのタイトルは・・・。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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ネイキッドロフトでトークイベント

6月3日(水)に久しぶりにトークイベントに登壇します。場所は、新大久保近くのネイキッドロフト。お笑い芸人のザ・ギースの尾関高文さんと、同じくお笑い芸人のキングオブコメディの高橋健一さんが主宰するイベントにゲストとして参加します。チケットは前売で1600円、当日で2000円。

ギース尾関・キングオブコメディ高橋のいろいろ教えてもらえませんか13


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OPEN 18:30 / START 19:30

予約¥1600/当日¥2000(共に飲食別)

※ネイキッドロフトweb予約にて4/16、16時半~受付致します。
※ご入場は予約番号順になります。

【出演】尾関高文(THE GEESE)/高橋健一(キングオブコメディ)


当日はひたすらクマムシについて話すと思います。たぶん。参加予約はこちらのフォームからどうぞ


もしかしたら当日は私のほかにもゲストが来るかもしれません。このイベントの前の回には高井研氏が来ていたようなので、今回は高井氏は来ないはず。ほっとします。ということで、お時間があればどうぞ遊びに来てくださいね。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」293号「ゲノム編集技術で細菌を感じやすくさせる」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 293【ゲノム編集技術で細菌を感じやすくさせる】

2015年5月24日発行
目次

【1. はじめに】ロボットクラウドバイオロジー研究所が実現か

2013年の分子生物学会イベント「2050年シンポジウム」で優勝した谷内江望さんのロボットクラウドバイオロジー研究所のコンセプトによく似たサービスがアメリカでローンチされました。その中身は一体。

【2. むしコラム「ゲノム編集技術で細菌を感じやすくさせる」】
ここのところぐいぐいとキているゲノム編集技術。今回はゲノム編集技術を薬剤耐性菌を攻撃する目的に使った例を紹介。

【3. おわりに「ゾマホンさん」】
ベナン共和国出身のゾマホンさんの活動について。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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『クマムシ研究日誌』発売開始

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フィールドの生物学シリーズ『クマムシ研究日誌』が製本されて送られてきました。四苦八苦しながら書いたものがこうして本というフォーマットとなって届くと、やはり嬉しいものですね。


本書が書店に並ぶのは早くて今週末、遅くても来週の頭になる見込みです。ちょっと小さい書店だと置かれないかもしれません。近くに大型書店がない場合は、アマゾンなどでお求めすれば確実でしょう。アマゾンからの注文はこちらからどうぞ。


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このフィールドの生物学シリーズは表紙のデザインがすべて同じだったのですが、今回の『クマムシ研究日誌』では特別に少しデザインが変わっています。微妙な違いなので、同シリーズの他の書籍と見比べてみてください。


【関連記事】

クマムシ本『クマムシ研究日誌』を出版します。

【書評】『テングザル―河と生きるサル』ボルネオの思い出

テングザル―河と生きるサル:松田 一希著 (フィールドの生物学7)


著者の松田一希氏は僕とは北海道大学大学院時代の同じ研究室の出身で、しかも同級生。松田氏は現在、京都大学で特定助教をしている。拙著『クマムシ研究日誌』は、彼が僕のことを東海大学出版会の編集者田志口さんにプッシュしてくれたことで、企画が持ち上がった。


余談だが、彼はイケメンでおしゃれさんでもあるので、女性向けファッション誌『VERY』が開催したイケダン(イケてるダンナ)コンテストでも400人の中からベスト6まで勝ち進んだ経歴ももつ。2016年には情熱大陸にも出演


松田氏は博士課程に進学後、テングザルの生態学研究をスタートさせた。霊長類のような大型哺乳類の生態調査は根気もいるし、データを集めるのもなかなか難しい。データをとりにくい研究なので、博士号をとるのも必然的に困難となる。非常にリスキーな研究テーマを選んでいるわけだが、裏を返せば、そこまでしてでも、彼はテングザルを追いかけたかった、ということだ。


テングザルはボルネオ島の河畔林に棲む。オスは天狗のような鼻をもつために、このような名前が付けられている。夜から朝方にかけては川辺ですごし、昼は森の中に入っていく。つまり、テングザルを追跡するには川上をボートで移動しながら観察するだけでなく、森の中に入っていくことも必要になる。きわめてタフな調査が要求されるが、そこは研究室のボスである東正剛教授の「パワー・エコロジー」の教えに従い、松田氏は突き進んでいた。


このようなパワー・エコロジーの実践により、彼はテングザルの詳細な行動パターンや食性を明らかにするだけでなく、霊長類で初めての記録となるテングザルの反芻行動を発見した。今や押しも押されもせぬテングザル研究の第一人者となっている。


海外を拠点とした生態学研究でたいせつなことは、実は野生生物と向き合う忍耐力だけではない。地元の住民たちといかに仲良くやっていけるかも、非常に大きな鍵となる。松田氏は流暢なマレーシア語を喋るが、これはすべて現地のマレーシア人とコミュニケーションをとりながら徐々に覚えていったのだそうだ。あくまでも対等な立場として、しかし時には舐められないように、うまく接してゆく。円滑な研究活動の遂行は、このようなコミュニケーション能力にも依存するのである。


さて、実は僕も5年ほど前に松田氏がテングザル調査をしているマレーシアのスカウ村を訪ねたことがある。スカウ村は本当に素朴な村で、そこにいた子ども達の目がとても澄んでいたことが印象に残っている。不注意に川の中に入って釣りをしていて、ワニに食べられてしまう人もいる。野外でランチを食べていると羽アリが多数ごはんに落ちてきて、注意していても食物がアリごと口の中に入ってしまう。そんな、ワイルドな場所だ。


乗り合いの車でサンダカンからスカウ村へ
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スカウ村のようす
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スカウ村を流れる川
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スカウ川の上をボートですいすいと進むと、熱帯林特有の甘い匂いがした。


ボート上の松田氏(右)とマレーシア人の助手さん(左)
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カワセミ
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テングザルじゃないサルたち
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ほどなくして運良く、僕らは川沿いの木々にたたずむテングザルを見つけることができた。


木の上で休むテングザル
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テングザルは思ったよりも落ち着いていて、あまりアクションがない。まあ、大型哺乳類はどれもだいたいそんなものなのだろう。


さらに幸運なことに、テングザルだけではなく、野生のボルネオゾウまで発見。


ボルネオゾウ
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ボルネオゾウにかなり近づくことができた。ただし、あまり近づきすぎると攻撃してくるので、一定の間合いをとらなければ危険だという。


そして、生きものとの遭遇はこれだけでは終わらなかった。野生のオランウータンまで見ることができたのだ。


オランウータン
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「ウォッォッォッォッ!」


吠えたのはオランウータンではなかった。松田氏だ。なんと、彼はオランウータンとコミュニケーションをとり始めたのだ。マレー語だけでなく、オランウータン語も堪能に操れるというわけだ。


いつの間にかこのコラムが僕のボルネオ探訪紀となってしまったが、とにかく本書はテングザルの生態だけでなく、ボルネオ情緒を知るにもうってつけの良書である。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」292号「南極クマムシツアー」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 292【南極クマムシツアー】

2015年5月17日発行
目次

【0. はじめに】もうすぐイタリア

来月下旬は三年に一度の国際クマムシシンポジウムがイタリアのモデナで開催されます。イタリアは伝統的にクマムシ研究が盛んで、今もモデナ大学のグループが幅広いトピックでクマムシ研究を精力的に進めています。イタリア料理も楽しみ。

【1. むしコラム「南極クマムシツアー」】
南極のクマムシについては1世紀以上にわたって調査されている。南極クマムシ研究の実態をレポート。

【2. 今週の一冊『テングザルー河と生きるサル』】
ボルネオでテングザルの研究に没頭した男の研究の記録。

【3. おわりに「新宿ゴールデン街ツアー」】
新宿ゴールデン街をはじめてめぐってきました。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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クマムシさんのLINEスタンプをつくってみた

今月のはじめに、クマムシさんのLINEスタンプがリリースされました。イラストはイラストレーターの阪本かもさんに描いていただきました。


クマムシさんスタンプ:LINEストア

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すでに多くの方に使っていただき、毎日1000個のクマムシさんスタンプが送信されています。ダウンロードしていただいたみなさま、有り難うございます。


今回のクマムシさんスタンプはLINEでの審査が3ヵ月以上かかりました。投稿論文のそれと同じくらいの期間ですね。でも、リジェクトもされずリバイズの要求もされず、一発アクセプトだったのでよかったです。中には審査に9ヵ月間かかったものもあったらしいし。


言い換えればそれだけLINEに申請されてくるスタンプが多いわけで。それを物語るデータがあります。LINEスタンプ検索で「クマムシ」と入れると、芸人クマムシのスタンプの他に本物のクマムシをモチーフにしたクマムシを含むスタンプがいくつかヒットします。


「ミジンコ」のスタンプも30個以上ありますね。こういうニッチなスタンプですら、これだけの数がある。クマムシさんのスタンプも、この無数のスタンプの渦の中に埋もれそう。


今回は阪本かもさんにイラストを描いてもらったのですが、ちょっと時間が作れたら自分でも何か作ってみたいですね。「イヤなかんじの博士スタンプ」とか。「進捗どうですか」「Nが足りないね」「その話の新規性はどこ?」などイライラして誰も買わないようなスタンプ。・・・やっぱりやめておこう。


あるスタンプが検索をとおして発見してもらうのは困難です。だけれども、そこそこの規模のコミュニティーであれば、そのコミュニティーの内輪で使い回すようなスタンプを趣味の延長線上で作ってもいいかなと思います。大学のサークルとか学会とか。制作のコストもかからないですしね。


というわけで、こちらのクマムシさんLINEスタンプをどうぞよろしくお願いします。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」291号「ゲノム編集がおこす社会変革(後編)」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 291【ゲノム編集がおこす社会変革(後編)】

2015年5月3日発行
目次

【0. はじめに】近況

先週から屋内に籠る生活を続けているため、この心地よい天気を満喫できずにもやもやしています。

【1. むしコラム「ゲノム編集がおこす社会変革(後編)」】
欲望という名の川がいったんひとつの方向に流れ出せば、止めるのは難しい。ゲノム編集技術は、パンドラの箱を開けてしまったのかもしれない。

【2. 今週の一冊『クマムシ研究日誌ー地上最強生物に恋してー』】
クマムシにかけた青春。クマムシ博士の研究日誌。

【3. おわりに「クマムシさんLINEスタンプ」】
クマムシさんのLINEスタンプがリリース。巷で好評です。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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クマムシ本『クマムシ研究日誌』を出版します。

5月下旬にクマムシ本が出ます。タイトルは『クマムシ研究日誌』。メルマガ「むしマガ」で連載していた同タイトルの原稿をベースにまとめたものです。すでにAmazonで予約受付を開始しています。


クマムシ研究日誌: 地上最強生物に恋して


前作のクマムシ博士の「最強生物」学講座ー私が愛した生きものたちーではクマムシの話が全体の3分の1ほどだったのに対し、『クマムシ研究日誌』は一冊まるごとクマムシの話。私がクマムシに出逢ってからこれまでの研究人生を時系列で追いつつ、初心者からマニア向けのクマムシ教養をつめこみました。


『クマムシ研究日誌』は怪作ぞろいの『フィールドの生物学シリーズ』の第15弾目として東海大学出版会から出版されます。このシリーズでの出版ということで、執筆中もプレッシャーがありましたが、なんとか出版までこぎ着けられてほっとしています。『クマムシ研究日誌』の目次は以下のとおり。

クマムシ研究日誌 
ー地上最強生物に恋してー


目次


はじめに

第1章 クマムシに出会うまで


型破り教授
クマムシとの出会い
クマムシとの遭遇
カーブのすっぽ抜けが真ん中やや高めに甘く入ってきた
【コラム】 クマムシとは
クマムシの圧力耐性
変な優越感
クマムシの酒
着手
クマムシを誰かにやらせようと思っていた
卒業研究

第2章 クマムシに没頭した青春の日々


パワーエコロジー
背中に深く突き刺さるナイフのような視線
運命のクマムシ
このクマムシ何のクマムシ気になるクマムシ
手なづけられたフェレットのように
大学院生としてやっていけるという自信が確信へと変わる夏
消えた学会発表資料
国際クマムシシンポジウム二〇〇三
【コラム】 人生最大のピンチ到来
クマムシと橋本聖子選手における共通点についての考察
ボゴールの奇跡
熱帯育ちの眠り姫たちに待っていた過酷な試練
クマムシを乾かそう
研究人生の転機
新天地
オニクマムシの飼育
オニクマムシの介護
【コラム】つくばライフ
ガンマ線照射施設に立ち入る
イオン線照射施設TIARA
クマムシ地獄
【コラム】つくばの異次元タイ料理店
飼い犬の鼻先をゆっくりと触れるように
岩のような塊となって肩にのしかかる落胆
最有力候補クマムシ
クマムシ・レボリューション
乾燥スケジュール異常なし
横綱級の乾燥耐性
命名「ヨコヅナクマムシ」
【コラム】乾燥耐性メカニズム
【コラム】乾燥すると縮まるクマムシの謎
宇宙生物科学会議とタコス
NASA進出への伏線
クマムシのなかまの発見と二度目の居候
【コラム】真っ白に燃え尽きるのか
クマムシゲノムプロジェクト始動
【コラム】乾眠クマムシの記憶

第3章 クマムシとNASAへ


学振の生殺し
九回の裏ツーアウトからの逆転サヨナラ
【コラム】アカデミアで研究者になるには
【コラム】余剰博士問題について
新天地2
【コラム】アメリカでの宿探し
クマムシ餌問題
【コラム】ジョン(John)
クマムシと宇宙生物学
【コラム】科学啓蒙に大切なこと

第4章 クマムシ研究所設立の夢


おもしろいことができれば、それでよい


あとがき


せっかくなので、フィールドの生物学シリーズの歴代の作品も紹介します。どれも新進気鋭の若手研究者たちが著した、熱い研究記です。


熱帯アジア動物記―フィールド野生動物学入門:松林 尚志著 (フィールドの生物学1)


サイチョウ―熱帯の森にタネをまく巨鳥:北村 俊平著 (フィールドの生物学2)


モグラ―見えないものへの探求心:川田 伸一郎著 (フィールドの生物学3)


虫をとおして森をみる―熱帯雨林の昆虫の多様性:岸本 圭子著 (フィールドの生物学4)


共生細菌の世界―したたかで巧みな宿主操作:成田 聡子著 (フィールドの生物学5)


右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化:細 将貴著 (フィールドの生物学6)


テングザル―河と生きるサル:松田 一希著 (フィールドの生物学7)


アリの巣をめぐる冒険―未踏の調査地は足下に:丸山 宗利著 (フィールドの生物学8)


孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生:前野・ウルド・浩太郎著 (フィールドの生物学9)


凹凸形の殻に隠された謎: 腕足動物の化石探訪:椎野 勇太著 (フィールドの生物学10)


野生のオランウータンを追いかけて―マレーシアに生きる世界最大の樹上生活者:金森 朝子著 (フィールドの生物学11)


クマが樹に登ると―クマからはじまる森のつながり:小池 伸介著 (フィールドの生物学12)


イマドキの動物ジャコウネコ: 真夜中の調査記:中島 啓裕著 (フィールドの生物学13)


裏山の奇人: 野にたゆたう博物学:小松 貴著 (フィールドの生物学14)


ではでは。


【関連記事】

クマムシ博士の「最強生物」学講座ー私が愛した生きものたち

【書評】『毒きのこ-世にもかわいい危険な生きもの』著者らの意図にまんまとはまる

毒きのこ-世にもかわいい危険な生きもの


菌類研究者の白水貴博士(美声)監修の本書は、毒きのこのみに焦点を当てて紹介している。きれいなきのこの写真に、多すぎず少なすぎない説明が付記されており、図鑑として眺めていても楽しい。


きのこは担子菌類のものがおもである。きのこの本体は菌糸で、きのこと指しているあの物体は胞子をつくって飛ばすためにつくられる子実体だ。毒きのこが生成する毒は捕食者から身を守るために発達したものかと思いきや、昆虫はふつうにこれらの毒きのこを食べるらしい。


毒きのこの消化酵素は他の生物では分解できないものを分解し、栄養源として吸収することができる。この強力に発達した消化酵素はヒトの腸の粘膜にダメージを与えて腹痛や下痢を引き起こす。身を守るためというよりは、消化能力を向上させた結果として毒になってしまったともいえる(ただ、毒きのこにはオオワライタケのように中枢神経に作用を及ぼし視覚障害、幻覚、精神錯乱をおこすものもあるので、こちらは上述のよう理由では説明できない)。


本書で紹介されている毒きのこの中でもとくに印象に残ったのが、ドクササコだ。

ドクササコ


食べた数日後、末端紅熱症といって、手足の先や鼻、男性器が腫れ、そこに、焼け火箸を刺されたような激痛が、なんと1か月以上も続きます。別名は、火傷のような痛みから「火傷菌」、その苦しみから「地獄もたし」。地獄のような苦しみで衰弱した例も。その上、有効な治療法はないといいます。


なんて危険で魅惑的な毒きのこだろうか。


毒きのこに統一した特徴はなく、見きわめるのは困難だ。毒性分が不明なきのこすらある。また、食用キノコとして親しまれていたきのこに中毒作用があることがつい最近になって判明した例もけっこうある。


菌類の種数は多く、未記載のきのこも無数にある。当然、まだ未知の毒きのこもたくさんあるという。クマムシ研究者の感覚からすると、きのこのように肉眼で見えるサイズのものは分類がひじょうに進んでいるものだと思っていた。きのこ研究もまだまだ奥が深そうだ。本書をながめていて、きのこを見る目が変わった。著者らの策略にまんまとはまったといったところだろうか。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」290号「ゲノム編集がおこす社会変革(前編)」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 290【ゲノム編集がおこす社会変革(前編)】

2015年4月29日発行
目次

【0. はじめに】ニコニコ超会議2015に行ってきた

2年ぶりのニコニコ超会議参加。非リ充の受け皿としてのニコニコ超会議についての考察。

【1. むしコラム「ゲノム編集がおこす社会変革(前編)」】
ゲノム編集テクノロジーの発展で人類の社会はどう変わっていくのか。今回はノーベル賞受賞が確実視されるゲノム編集テクノロジーのCRISPR/Cas9システムについて解説。

【2. 今週の一冊『毒きのこ-世にもかわいい危険な生きもの』】
かわいいけれど危険な毒きのこ。本書は毒きのこの魅力を巧みに見せる。

【3. おわりに「地球知的外生命体のかたち」】
地球外知的生命体がいたとしたら、それはどんなかたちでどんな文明をもつのか。こんな議論を真面目にしている研究者集団がいる。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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4/29にニコニコ生放送でクマムシ観察会を開催します

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4月29日(水)の18:00から、ニコニコのクマムシチャンネルでクマムシ観察生放送を行ないます。クマムシ博士の解説つき。


クマムシ観察会生放送: クマムシチャンネル


どんなクマムシが出てくるのか、楽しみ。


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さらに同日19:30からは乾眠状態のクマムシに水をかけて復活するか、そのようすを生中継。


【会員限定放送】神秘!クマムシ、乾眠から復活なるか?!: クマムシチャンネル


こちらはクマムシチャンネル会員限定放送。視聴するにはクマムシチャンネルの会員登録をよろしくお願いします。


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乾眠からの復活実験はほぼ100%成功するのですが、こればかりは蓋を開けてみないとわからないので、毎回毎回緊張します。


というわけで、大型連休のスタートはクマムシとともにお過ごしいただければ幸いです。

ABC朝日放送「ワンダーアース」にクマムシが出ます。

2015年4月29日(水)の14:00から4時間放送予定のABC朝日放送「ワンダーアース 地球のチカラ生き物のチカラ」にクマムシが出ます。


ワンダーアース 地球のチカラ生き物のチカラ: ABC朝日放送


私も芸人のミサイルマンと一緒にクマムシを観察したり、ストレス耐性の実験をしました。関西地方にお住まいの方はぜひご覧ください。


4月29日は18:00からと19:30から、ニコニコ生放送のクマムシチャンネルでもクマムシ観察会をします。


horikawad.hatenadiary.com


こちらもお楽しみいただければ幸いです。

共同研究者に「ギブ・ミー・マネー」と言う時代

先週はフランス人の知人一家がこちらに遊びにきました。この知人は、フランスで博士号を取得し、今はアメリカのワシントン大学でテニュアトラック助教をしている知人のアンソニー。そしてアンソニーの妻(台湾人)、子ども、妻のお母さん、そしてアンソニーの弟を加えたご一行が我が家と実家に遊びにきました。


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私の実家の桜に興奮し激写するアンソニー一家


アンソニーの専門はナノテクノロジーとバイオテクノロジーを融合した分野。植物体の中にナノファイバーを張り巡らせて、光合成効率を向上させることを目指しています。フランスからアメリカに移り、現地のトップ大学でテニュアトラック助教に就いているので、アカデミア的にはなかなかのエリートコースを歩んでいる彼。でも、研究環境は恵まれているものの、フランスとアメリカの研究文化の違いへの戸惑いもこぼしていました。


たとえば、同じ大学の中で別の研究室と行なう共同研究。あるデータを取るときに、共同研究先の別の研究室の機器を使わなければならない場合があります。しかしこのとき、共同研究であっても、その別の研究室での機器の使用料を払わなければならないそうです。


共同研究ということは、論文になれば著者陣のなかに共同研究先の研究者も入ることになります。つまり、共同研究者たちに自分のところの機器をどんどん使ってもらいデータを出してくれれば、論文になるし、自分の業績にもプラスになるわけです。ですから、日本でもフランスでも、通常は共同研究者に対して自分の研究室の機器使用料を請求することはありません。


憶測ですが、この機器課金の背景にはアメリカの独特な研究システムの影響があるものと思います。アメリカでは、各研究室は研究資金のほとんどを競争的研究費に依存しています。研究費を獲得できなければ研究員や大学院生を雇うことができず、機器や試薬も購入しづらくなります。それだけでなく、研究室の賃貸料も大学に払うことができなくなります。場合によっては、自らの給料すら払えなくなってしまう。


このようなわけで、機器の使用料など、課金できる機会があれば、共同研究者であろうと躊躇なく「ギブ・ミー・マネー」と言う研究者が出てくるのでしょう。もっとも、私がアメリカにいたときには周りにこのようなタイプの研究者はいなかったので、アンソニーの共同研究者はだいぶマイノリティーだと思いますが。それでも、アメリカ型の研究システムでは、今後このようなタイプの研究者がどんどん増えてきてもおかしくありません。


日本でも、大学の運営交付金を減らして競争的研究資金の獲得を研究者に競わせる方向へと向かっています。日本の研究者もえげつなく「ギブ・ミー・マネー」を連呼する時代がもうすぐ来るのかもしれません。


【追記】



ということで、アメリカでは昔から人によってはそういうタイプがいたようですね。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」289号「日本原理主義フランス人を通して見えたもの」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 289【日本原理主義フランス人を通して見えたもの】

2015年4月19日発行
目次

【0. はじめに】春の綱島温泉大宴会〜バッタ博士を迎えて

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久しぶりにバッタ博士を囲んでの宴会が執り行われました。綱島温泉、昭和情緒にあふれすぎて、そこが都会にあることを忘れそうになるほどでした。バッタ博士やメレ子さんらからのメッセージも掲載。

【1. むしコラム「日本原理主義フランス人を通して見えたもの」】
日本大好きフランス人の知人がやってきた。多様性から目をそらし、メディアなどにより単純化されたイメージを盲目的に信じることのこわさについて考察。

【2. Q&A『もう少し英語が上達したら・・・』】
中学生クマムシ博士からの質問。「○○がもう少し上達したらxxしよう」という考え方はやめておいた方がいいということ。

【3. おわりに「アリマニアの学生」】
アリマニアの慶應生。彼がとった意外な行動とは。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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【書評】『捏造の科学者 STAP細胞事件』科学界に横たわる問題を提起し続ける装置

捏造の科学者 STAP細胞事件:須田桃子


本書は毎日新聞記者の須田桃子氏によるSTAP細胞騒動の記録である。2015年の大宅壮一ノンフィクション賞にも選ばれている。


物語は、須田氏が笹井芳樹氏からのメールを受け取るところから始まる。須田桃子氏によるSTAP細胞騒動の記録である。物語は、須田氏と笹井芳樹氏とのメールのやりとりからはじまる。理研CDBから記者会見の招待を受けた須田氏が笹井氏に問い合わせたところ、笹井氏から会見への参加を強く勧められる。


STAP細胞論文発表の記者会見は、発見内容のインパクトの大きさに加えて、プロモーション要素も大きなものだった。熱狂する世間と科学界。しかし、その直後からSTAP細胞論文に数々の疑義が浮上する。須田氏らはSTAP細胞論文の主要著者である笹井氏、若山照彦氏、丹羽仁史氏、そして理研CDBセンター長の竹市雅俊氏に率直な疑問をぶつける。とくに、笹井氏とのメールのやりとりは分量も多く、生々しさが際立つ。


騒動の争点となった疑義の科学的な解説も秀逸だが、本書を通してもっとも感じるのは研究者たちの人間くささだ。科学や研究の世界では、ある事象に対しては私情を排して客観的かつ批判的に分析することが求められる。本件で責任的立場にあった理研CDBの研究者たちは、この能力がとくに優れていた。だが、どんなに優秀な研究者であっても、立場によっては科学哲学は二の次になりうることが、本件から浮き彫りになった。


STAP細胞論文に重大な疑義が見つかり、追試に成功していないにもかかわらず、細胞作製の詳細なプロトコールを発表したこと。STAP細胞やSTAP細胞から派生したとされる残存試料の解析は後回しにして、細胞作製の検証ばかりを優先したこと。彼らの説明は、科学的な論理が破綻しておいた。もしも彼らが当事者でなければ、このような判断や行動はしなかったことだろう。


本書は騒動の詳細を時系列順に追っており、よくまとまっている。ただし、ひとつ残念なのは、本件に対するネットの関わりについてあまり述べられていないことだ。


著者が大手新聞社の記者であるというポジションを考えれば、マスメディアのアクティビティーばかりに言及するのは仕方ないことかもしれない。しかし、STAP細胞論文や小保方氏の博士論文の疑義を見つけ出したのはネット上の人々であり、マスメディアもそれらの情報を頼りに報道をしていた部分も大きい。マスメディアから出た情報については媒体名を引用しているが、ネット上の情報については媒体名を記載せずに「ネット上」とひとくくりにするのは違和感を覚える。


須田氏自身も間違いなくTwitter上の研究者たちのつぶやきやPubPeer11jigen氏のブログ2ちゃんねる生物板などから情報を得ていたはずだ。本書では本件におけるネット上の各媒体が果たした役割についてあまり触れられておらず、そこには物足りなさを感じる。


とはいえ、STAP細胞騒動を本書ほど包括的に記載した本は他にないのも間違いない。研究分野間での熾烈な競争、保身に走る研究者や組織、世間と専門家との間の見識の乖離。STAP細胞騒動は無数の要因がその背景に存在し、そして、数えきれないほどの課題を残した。STAP細胞騒動を時系列順にまとめた本書は、これらの問題をこの先も提起し続ける装置として機能することだろう。


STAP細胞騒動における疑義や、解析結果の科学的な解説については、日経サイエンス2015年3月号「STAPの全貌」に詳しい。


日経サイエンス2015年3月号「STAPの全貌」


こちらも合わせて読むと、本騒動の核心をより深く理解できる。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」288号「熱気を帯びる地球外生命探査計画」の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 288【熱気を帯びる地球外生命探査計画】

2015年4月12日発行
目次

【0. はじめに】クマムシ受容体
世間でクマムシの認知度が上がっている。クマムシ受容体が人々に発現しているのだ。そのため、以前に比べるとクマムシに関する情報がより届きやすくなっている。

【1. むしコラム「熱気を帯びる地球外生命探査計画」】
NASAのチーフサイエンティストが「地球外生命の兆候を10年以内に見つける」と発言。宇宙探査には莫大な資金がかかるため、国民の理解が必要になる。日本でも地球外生命探査を実現するために、研究者たちはあの手この手で資金をつかもうとしている。

【2. 今週の一冊『捏造の科学者 STAP細胞事件』】
毎日新聞記者によるSTAP細胞騒動の記録。本書は、科学界に横たわる問題をこの先も提起し続ける装置として機能することだろう。

【3. おわりに「クマムシチャンネル」】
クマムシチャンネルでは今後、スペシャルゲストたちが続々と登場していく予定だ。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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線虫を食べるクマムシ

youtu.be


先日、線虫を丸呑みしているオニクマムシを発見した。オニクマムシは肉食で、通常はヒルガタワムシなどを飲み込むようにして食べる。だが、線虫を食べることはほとんどない。線虫は飲み込むには大きすぎるので、通常は食べられないからだ。線虫の体の側面から食べることもできない。でも、今回観察されたように、頭か尾ならば、線虫も口に入れることができる。


こういう捕食パターンは初めて見た。最初に見たときは、線虫の長さがこの3倍以上あった。ゆっくりと飲み込むようにして食べていき、この二日後には完全に食べ終わっていた。見慣れているクマムシでも、観察していると今回のような新しい発見もあって面白い。


【関連記事】

ナショジオ『クマムシ観察絵日記』一話〜二十話

クマムシが毎日新聞で取り上げられました

クマムシが2015年4月9日付けの朝刊で取り上げられました。


クマムシ:地球最強の多細胞生物 その生態と耐性の秘密
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最近は芸人のクマムシがブレイクしてクマムシの認知度が上がったせいか、本物のクマムシについて問い合わせをいただく機会が増えた気がします。


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こういう流れでクマムシの認知度が高まるのはよいことだし、一人でも多くの人にクマムシのことについて知ってほしいですね。