今後、帰国するべきかどうか。
東北大の教授の炎上騒動について、個人を攻撃するクレーマーや、クレーマーを煽動するまとめサイトが社会悪であるという見解を、先日のブログに掲載した。
この問題に関心のある人も多かったようで、昨日だけでこの記事には4万以上のアクセスがあった。私の意見に同意するコメントも多かっが、中には「twitterで世界に向けて発信する方が悪い」という意見もあった。いや、「世界に発信している」から「不当に大きな社会制裁を加え」てもよい、という理屈にはならないだろう。
さらには、「解雇や減給の措置であれば社会的な制裁だが、大学からの厳重注意は社会制裁ではない」というコメントもあった。いやいや、法を侵しているわけでもないのに自分のことが新聞沙汰になっているわけで、本人の精神的ダメージは甚大なものですよ。こういう炎上沙汰を例えるなら、「わるもの」とか「肉」とか「中」という文字をマジックでおでこに書かれた状態で檻の中に入れられ、街中で見せ物にされる感覚に近いだろう。
こういうコメントをする人は、自分がそういう立場になった時の状況を想像できないのだろう。そして、こういう感覚を持った人が多くいるので、この風潮も無くならない。そもそも、このようなコメントを残した人自体が匿名だし、実名で発信することがどれだけ割に合わないことか分からないのか、と思ってしまう。
いや、実は無意識にそれを理解しているからこそ、匿名で活動しているわけだ。もっと言えば、このような大義名分のように聞こえる理屈を作って、他者を攻撃することを正当化している人も少なくないかもしれない。
日本では「出る杭」=「目立つ個人」を嬉々としながら徹底的に叩く文化がある。インターネットが、この特徴的な文化を加速させる装置として働いている面は否めない。日本は食べものも美味しいし、先進的でユニークな考えをもつ人も多い。総合的に見て、とてもよい国だ。だが、今回の一件、そして私のブログ記事に寄せられるコメントを見て、母国に今後帰って暮らすべきかどうかという迷いが、私の中に生じている。
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