クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

クマムシの味を知るには

下の写真が何だか判るだろうかだろうか。ただのノイズではない。



少し拡大してみよう。これなら判るだろうか。けっして、コシヒカリではない。



さらに拡大する。



もうお判りだろう。



そう、クマムシである。一番最初の写真はただのノイズではなく、水中で無数のクマムシが戯れているようすだ。今回、10万匹のドゥジャルダンヤマクマムシを用意した。通常、クマムシをここまで集めるのは難しい。世界でもここまでの数のクマムシを増殖させる技術をもつのは、ここ慶応義塾大学クマムシ研究グループくらいだろう。



なぜ、今回、ここまでの数のクマムシを集めたのか。それは、クマムシの味を知るためである。クマムシは体長0.3ミリメートル程度の小さな生物だ。数匹を食べたところで、味はわからない。味を認知するためには、膨大な数のクマムシが必要なのだ。


では、なぜクマムシをあえて食する必要があるのか。それは、人類の食文化史における食材レパートリーに、新たにクマムシを加え、そのテイストがどのようなものか、何に近いのかをカテゴライズするためである。もちろん、私としては、この目的のために10万匹のクマムシが供されるのは心がいたむ。だが一方で、知的探求もきわめて重要な活動である。今回の実験が、クマムシ研究所が発足して初めてのプロジェクトである。



今回、10万匹のクマムシを粉砕し、200マイクロリットルの水とともに煮沸して「特別なスープ」とする。このスープの味を判定していただくのは、フランス出身のバイオ研究者、ジョゼフィーヌ・ガリポン博士である。本クマムシ実食実験は、2016年3月23日20:00からクマムシチャンネルにて生放送する(※こちらの放送は有料です。クマムシチャンネル会員は無料、非会員は324円が必要です)。


クマムシ10万匹を食べてみた:クマムシチャンネル


はたしてクマムシはどんな味がするのか。注意深く検証したい。


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