テクノロジー・リテラシーを意識しよう
私たちは、テクノロジーの発展により大きな恩恵を受けてきた。電気、自動車、医療、インターネット。これらのテクノロジーが存在しない世界など、とても想像できないだろう。私たちは自分の生活が少しでも便利なものを自然と選択し、その継続的な使用を無意識に行なう。まるで、水が高きから低きへ流れるように。行き過ぎた資本主義社会とテクノロジーの発達を否定して自然回帰を謳うヒッピーたちですら、マリファナをもつ手と反対の手には、iPhone6が握られていたりするほどだ。口先でいくら否定してみても、現代社会では誰もが無意識のうちにテクノロジーの恩恵を受けているのである。
実は先週、僕の知人夫婦の間で、facebook利用をめぐるトラブルがあった。夫から聞いた話では、おおむね以下のようなやり取りだったらしい。
妻「あなた、なんで私の投稿に「いいね!」を全然押さないの?!他の人には「いいね!」してるのに」
夫「いや、俺、夫婦間でいちいち「いいね!」押し合ったりするの、ちょっと変だと思うんだよね。だから押さ
ないんだよ」
妻「でも私はそっちの投稿にはいつも「いいね!」してるでしょ?それも嫌なの?」
夫「いやいや、別にそっちはこっちに「いいね!」してもいいよ。どう使おうと、使う人の自由なんだから」
妻「●●(二人の共通の友人夫婦)ちゃんたちだって、夫婦間で「いいね!」押し合ってるよ?あなたが私の投稿に「いいね!」押さないのは変だと思わない?」
夫「それは人それぞれでしょ。俺は配偶者に「いいね!」するのは変だと思うから。だいたい、いつも一緒に住んでるし、そっちがfacebookに投稿する内容も写真も、普段の生活の中で全部知ってるし見てるじゃん」
妻「いや、やっぱり夫婦間で「いいね!」しないのはおかしい」
夫「いちいち命令しないでくれよ。さっきも言ったけど、facebookをどう使うかはその人の自由でしょって。もういいわ。俺、facebookもう使わないから」
現在、夫の方は自分のfacebookアカウントを削除するか、妻を友だち登録解除してブロックするかを考えているとのことだ。この夫婦の関係がさらに悪化しないかが心配である。この身近で起きた問題からも分かるように、一定数の利用者にとっては、facebookはもはやただのウェブサービスのひとつではなく、だいじなだいじな生活の場となっているのである。言い換えれば、まんまとfacebook中毒患者にさせられたのだ。ドラッグが投与され続けるのと同じように、「いいね!」をもらうほどに、利用者の快感度は増す。この状況でもっとも「いいね!」と思っているのは、facebookとマーク・ザッカーバーグなのに。
テクノロジーは私たちの生活に欠かせない。だが、テクノロジーとの付き合い方を間違えると、うっかりとこちらが奴隷になってしまいかねない。人間はあくまでも主であり、テクノロジーは従でなければならない。人生の時間を無用に浪費しないためにも、自分の本当に大切な人たちを失わないためにも、私たちは常にテクノロジー・リテラシーを意識しておくべきだろう。
※本記事は有料メルマガ「むしマガ」281号テクノロジー・リテラシーを意識しよう】の一部です。
クマムシ博士のむしマガVol. 281【テクノロジー・リテラシーを意識しよう】
2015年3月1日発行
目次
【0. はじめに】学校のかたち
オンラインサイバー学校が開校する。テクノロジーの発展と潜在的な教育需要の高まりで、政府によって提供される教育システムが急速に揺らいでくるだろう。
【1. むしコラム「テクノロジー・リテラシーを意識しよう」全文】
テクノロジーは便利だが、テクノロジーの背後にある思惑を見抜けなければ奴隷になってしまう。テクノロジーのリテラシーを常に意識しておきたい。
【2. 移住するならこの国】
おすすめはマレーシア。東南アジア各国の中でも総合力トップ。
【3. おわりに】
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