クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

むしマガハイライト【Vol. 94, 95, 96】


☆━━━━ご挨拶

  こんばんは。12月最初のむしマガをお届けします。パリはすっかり寒くなり、外に出るのがつらいです。皆様もお体にはくれぐれもお気をつけ下さい。


 荒川和晴さんのインタビュー開始に伴い、むしマガの読者数がこの数日間で急増しています。本メルマガを新規に購読登録していただき、本日から読んでいただいている皆様、誠に有り難うございます。読者数が増えて嬉しい反面、他人のまわしで相撲をとっているような後ろめたさも若干ありますが、購読料に見合う良質なコンテンツをお届けできるよう努力していく所存でございます。


 ここで、改めましてこのむしマガとその著者についてちょっと説明させていただきます。まぐまぐでの公式ページでは、毎週月曜日にメルマガを配信することを表記していますが、実際には大体週3回くらいのペースでお届けしています。むしマガにはコラムやエッセイや対談などいくつかのコーナーがあり、原則、その各コーナーが週に1回ずつ配信されます。


 むしマガの内容はややクマムシに偏った部分もありますが、最近ではクマムシ以外にも、旬な科学ネタ、おもに生命科学の話題も扱っています。また、今号もそうですが、連載中のクマムシエッセイ「クマムシ研究日誌」ではクマムシに無関係なトピックも出てきます。読者の皆様からの質問やリクエストがあれば、それにもメルマガ上で返信もしています。


 このメルマガの著者、堀川大樹はフランス・パリ在住のクマムシ研究者です。神奈川大学の学部時代からクマムシの研究を始め、その後北海道大学農業生物資源研究所東京大学、アメリカのNASAなどを渡り歩いてきましたが、その間一貫してクマムシの極限環境耐性を研究してきました。研究の傍ら、趣味と社会実験を兼ねてメルマガやブログなどのメディアを通した発信もしています。


 さて、このメルマガは基本的に転送OKですので、もし周囲の方々の中にご興味を持っていただけそうな方がいましたら、ご遠慮無く転送いただけると幸いです。


 ということで、今月もむしマガをどうぞよろしくお願いいたします!


Vol. 94【むしコラム「火星でDNAをさがせ」】


 火星で有機物など生命の痕跡を探すべく活躍中のキュリオシティですが、火星でDNAのみを探すためのプロジェクトも現在進行中です。


 このプロジェクトはMITが中心となって進めており、SETG(The Search For Extraterrestrial Genomes)、つまり、地球外ゲノム探索プロジェクトと名付けられています。


 現在キュリオシティが行っている解析と異なるのは、SETGプロジェクトがターゲットをDNAのみに絞り込んでいる点と、そのDNAを発見するだけでなく、DNA上に書かれた遺伝暗号である塩基配列を読んで、そのデータを地球に送信するところです。


 では、なぜ彼らはDNAのみに対象を絞っているのでしょうか。


 DNAは、(少なくとも地球型生命体においては)生命の情報を司る物質、すなわち、生命の本質的な単位です。そのDNAがもし仮に火星で見つかれば、これは火星に生命がいる、あるいは過去にいたことを限りなく証明することに等しくなります。


 このような理由で、彼らはDNA一本に的を絞って、火星探査を行う計画を練っています......


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Vol. 95【荒川和晴インタビュー第1回「人はなぜ神を作るのか」】


荒川和晴氏については、下の関連記事もご参照ください。


超高校級とよばれたイケメンサイエンティストの野望


荒→荒川
堀→堀川


堀:まず、研究者になろうと思ったきっかけをお聞きしましょうかね。


荒:ええ。高校二年生頃のとき頃ですかね。、明確に意識し始めたのは。僕は子どものときはずっと宗教とか哲学に興味があって、そっちの研究をしたいと思っていたんですよ。で、その一環としてジャーナリズムにも興味を持っていて、中学生や高校生のときはずっとジャーナリズムに関心がありました。


堀:へ〜。そうだったんですか。


荒:ええ。でも、人生を全部曲げられたのは、これなんですよ。


堀:ん?


荒:瀬名秀明。パラサイト・イブ、中学から高校くらいの時に流行ったじゃないですか。これを読んでいて。あれっていわゆるSFだけじゃなくて研究の現場とか出てくるんですよね。そういうのが面白そうだなと思って色々と調べていたら、脳の研究が面白そうだな、と。


堀:脳。


荒:宗教とか哲学の問題って、結局のところ脳の問題に行き着くじゃないですか。で、脳を研究することによって僕が本当に知りたい宗教や哲学のことが掘り下げられるかなと考えたんですね。それができそうなところを探していたら、今のうちのボスの冨田ですけど、変なことを言っている人がいて。コンピューター上で細胞を作れるとか言っていて。


堀:ええ。


荒:その頃にちょうど、瀬名秀明さんのブレインバレーという本が出て、この本の中では脳を再現するようなコンピューターを作るシーンが出てくるんですけど、それがだんだん暴走するんです。ずっと、コンピュータで脳を再現するようなことができるんだろうな、と前から思っていました。足がかりとして細胞のモデリングとかシミュレーションとかができたら、将来そういう方向に行けるかなと考えるようになってきたんですね。


堀:宗教や哲学のどの部分に興味があったんですか?人間は何でこんなことを考えるのかな、とか、そういうところですか。


荒:あのー、ひとつにはすごく色んな文化があって、地理的に離れている条件があるのに、世界でほぼ一斉にどの文化でも神とか宗教という概念ができていますよね。その中で、もちろん影響を与え合っている部分もあると思うんですけど、それを抜きにしても、ほとんど同じ概念に行き着いているというところに非常に興味を持ったんですね。
 それは神様がいるからではなくて、端的に言ってしまえば、人間の脳がそういうものを作るような構造にあるということと、何か一定の社会システムができた時に、そういう存在を必要とするという部分が、人間の中に内在的にあると思うんですよ......


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Vol. 96【クマムシ研究日誌「つくばの異次元タイ料理店」】


 大学院博士後期課程1年目の夏から移り住んだ科学未来学園都市、つくば。


 つくばにいる時は、1日の大半を研究所で過ごしていたため、夜の外食タイムは唯一の楽しみだった。ちなみに、僕らは研究所の中でも数少ない学生ということで、ポスドクの先輩方には頻繁に夕食を奢ってもらったりしていた。特にNさんとMさん、いつも有り難うございました。


 さて、意外かもしれないが、つくばの外食産業のレベルはきわめて高い。つくばには外国人が多く住んでいるため、本場の多国籍料理の味を楽しむことができることが、その一因だ。特にインド料理、中華料理、韓国料理、タイ料理はレベルの高い店が多い。


 僕がつくばで、いや、日本で一番お気に入りだった伝説のタイ料理店がある。店の名前は「居酒屋礼子」。タイ料理店なのに「居酒屋礼子」。台湾人なのに名前が「インリン・オブ・ジョイトイ」なのと同じくらいインパクトファクターの高いネーミングである......


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