むしマガハイライト【Vol. 88, 89, 90】
むしマガでもたびたび登場するバッタ博士こと前野ウルド浩太郎博士の著書「孤独なバッタが群れるとき」が、11月20日に発売になります。
☆孤独なバッタが群れるとき:東海大学出版会
http://www.ajup-net.com/bd/isbn978-4-486-01848-3.html
目次だけでここまで本編を読むのが楽しみになってくるような本が、これまでにあったでしょうか。内容もきっとすごいことになっているはずです。そしてこの手の本で2000円というのは、普通は割高に感じてしまうのですが、本書に限っては2000円がものすごく割安に見えます。早く読みたいです。
Vol. 88【むしコラム「オンライン高等教育がもたらす未来」】
つい先日、田中眞紀子文部科学大臣による新設大学の認可と不認可をめぐるいざこざがありました。
☆真紀子大臣、大学不認可騒動で謝罪
http://goo.gl/RE4vK
少子化でほとんどの大学の経営状態が悪化する中、地方に新しい大学を新設しようとする動きが僕としてはとても理解できないのですが、きっと大学創立者たちは理想の学びの場を作ろうという高い志を持っているのでしょう。
これは大変立派なことなのですが、残念ながら、今起こりつつある教育のグローバル化を考えると、今回の騒動で焦点となった「新設大学の必要性」はとるに足らないものであると言わざるをえません。
アメリカではすでに多くの一流大学により、優秀な大学教授による講義の様子を無料で公開しています。iTunesなど大学名を検索すれば、山のように講義を見つけることができます。最近ではハーバード大学、MIT、カリフォルニア大学バークレー校などが共同で、オンライン教育のプラットフォーム作成に力を注いだりしています......
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鈴木忠さんによるオニクマムシ飼育法に習って、オニクマムシの飼育を始めた僕。当初、オニクマムシを飼育観察するのは楽しかったのだが、個体の数が増えるにつれて作業が大変になっていった。
まず第一に、オニクマムシは大食漢である。餌のヒルガタワムシを供給しても、すぐに食べ尽くしてしまうのだ。そのため、ワムシを培養する小型水槽をいくつも設置し、大量の餌を確保する必要があった。
ただ厄介なことに、このヒルガタワムシは水槽の内壁にぴったりとへばりついており、これを回収するのがなかなか難しい。最初は顕微鏡で水槽を覗きながらピペットでワムシを吸い取って回収していたが、この作業だけで数十分から1時間を要していた。
この悩みを前野氏の師匠であるバッタ博士の田中誠二さんに話したところ、バッタは二酸化炭素ガスで麻痺することができることを教えていただいた。田中さんの話に参考に、二酸化炭素ガスをワムシの水槽に吹き込んでみたところ、ワムシが麻痺して内壁から遊離することがわかった。
遊離してフリーになった状態のワムシは、内壁にくっついたワムシに比べ、ピペットで容易に回収できた。好きな女性に彼氏がいない(フリーの)場合の方が、彼氏がいる(くっついている)場合よりも、ゲットしやすいのと同じである。この方法により、その後のワムシの回収はいくぶん楽になった。
しかし、問題はまだあった......
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読者からのクマムシにまつわる様々な疑問に対して堀川が回答します。
◆ 質問:
クマムシは、油の中で生きられますか?ごま油とか、ガソリンとか、もしくは、もっとサラサラした水っぽい感じの、アロマで使われる精油の中などではどうなんだろう?とふと疑問に思いました。
油の中だと、たぶん乾燥できないから乾眠はできませんよね?仮に油の中で生きられたとしても、粘り気のある油の中で食物を取りに行くのはクマムシの筋力(?)的に難しいかなぁという気もするのですが…そうなると餓死でしょうか?(この場合、もし口元までクロレラを運んでやったら、案外生き続けられたりしますか?)
それ以前に、そもそも乾眠できない&酸素がないので、窒息してしまいます…?
◇ 回答:
油にも色々な種類があり、試したことの無い種類もたくさんあるので一概には言えませんが、僕が以前、高圧実験でクマムシを植物油のヒマシ油に浸したときはピンピン生きていました。
おっしゃるように、クマムシの周りの水を取り除いて油で置き換えると、脂は水に溶けないためクマムシの体から水が抜けることはないので、乾燥することはありません。そして、クマムシの周囲の油に酸素が十分にとけ込んだ状態であれば、呼吸もできるでしょう。
これは油に限らず、水に溶けない疎水性の液体であれば何でも当てはまります......
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