クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

悪魔を召還し、嫌がる相手を無理矢理犯す男

早いものでもう10月、すっかり秋に入りましたね。


秋といえば恋愛の季節。ということで、今回は男女間のラブにまつわるお話です。


・男女のかけひき


「彼氏が遊び人で、浮気ばかりして困る」


こんな話は教室でも職場でもワイドショーでもよく聞く話です。最近では、某球団の某若大将が20年前にしていた不倫が発覚し、話題になりました。


一方で、世の中には器量が良いのに彼氏のいない女性が多くいます。彼女らはモテないわけではなく、パートナーを選り好みするために付き合う人がい無い場合がほとんどと思われます。要するに、理想が高いのですね。


浮気性の男と、選り好みする女。


これは、性の進化の結果として生まれた、宿命的な性質なのです*1


この男女の違いは、何が原因なのでしょうか。その違いはずばり、生殖能力に関わる違いです。


・最適戦略


生物の生きる目的。それは、自分の遺伝子のコピーを増やすことです。


男は無数の精子を作れることができます。そんな男にとっては、できるだけ多くのメスと交尾して多くの子孫、つまり多数の遺伝子コピーを残す戦略がベストです。


一方、女の場合は生涯に作れる卵子の数が限られています。子育てが必要な動物では、女はさらにこのコストもかかります。つまり、女はできるだけ優秀な男の遺伝子を、自分の遺伝子とともに残すのがベストなのです*2。女は、男を選り好みする必要があるのですね。


男は質よりも数、女は数よりも質、という戦略をとっているわけです。そして、このような戦略の違いが原因で、男と女はいつも利害が対立しているのです。


・男女間戦争


その顕著な例は、アメンボでしょう。



交尾中のアメンボ This image is from Wikimedia.


アメンボのオスはメスに交尾をせまるとき、求愛の儀式もフォアプレイも何もなく、いきなり上に乗っかります。これはもう、ほとんどレイプですね。


オスは、メスになるべく強くしがみつけるように、触覚の形までを変形させています。この触覚をメスの眼にフックをかけるように引っ掛け、しがみつくのです。


メスのアメンボも黙ってはいません。しがみつくオスをぶっ飛ばすために、自分の脚を発達させたり、オスの触覚のフックから逃れやすい眼の形に変化させています。まさに、進化の過程でオフェンスとディフェンスの応酬をしているのです。


そしてメスは最終奥義ともいえる、強力なディフェンスシステムを発達させました。生殖器の入口に強固なシールドを作ったのです。このシールドは可動式で、生殖器の入口を自由自在に塞いだり露出することができます。


オスがいくら無理矢理レイプしようとしても、このシールドが生殖器の入口をガードしている限りは、オスは自分の生殖器を挿入することはできません。


メスのシールドの前に、なす術の無いオス。これで、メスの完全勝利に終わった......かに見えました。


・禁断のスイッチを押すオス


ところが、ああ、なんてことでしょうか。


オスは核ミサイルのスイッチを押すかのごとく、禁断の手段を使うことにしたのです。それは、世にも恐ろしい悪魔を召還することだったのです......。


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*1:今回の話は実際にヒトに当てはまるかは議論がありますが、ここでは話をわかりやすくするため、そういうことにしておきます。

*2:ここでいう優秀とは、生存能力と繁殖能力に長けている、という意味です。