クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

むしマガハイライト【Vol. 25, 26, 27】


☆━━━━━━善意の行方

 先日、部屋の整理をしていたら、いらない服や壊れたスーツケースが出てきました。これらをそのまま捨てるのはなんだか勿体ないし、かといってネットにオークションを出すのも面倒くさい。


 ということで、近所に住んでいるホームレスにあげることにしました。


 いらない服が入った壊れたスーツケースを引きずって近くの公園に行くと、1人の中年男性のホームレスがベンチで寝ていました。


 僕が近づいても起きないので、そのままベンチの横にスーツケースごと置いておきました。親がサンタクロースになりすまし、夜中にこっそり子どもの枕元にプレゼントを置くように。


 ちょっといいことしたような気分になり自宅に戻ってきたところで、洗濯物干ラックも処分しなければ行けないことに気付きました。


 これは違うホームレスにあげようと思い、自宅の目の前にある駅のガード下に向かいました。しかし、この日に限ってホームレスはいませんでした。


 どうせそのうちやってくるだろう、と思いラックをガードしたに置くと、缶ビールを片手にした上半身裸の身長185センチくらいのガタイの良い若者が声をかけてきました。


 僕はフランス語はほとんどわからないのですが、要するに金をくれとのことです。お金がないから恵んでほしい、というよりは、ソフトなカツアゲに近い感じです。


 このような若者に遭遇するのは珍しいことではなく、このようなシチュエーションに遭遇するたびに僕は日本語で


「ごめん、日本人だからフランス語はわからない」


 というフレーズを連呼します。このときもこのフレーズを言いながら立ち去ろうとしました。


 すると......<本編に続く>


Vol. 25【森山和道インタビューその2「僕らの役割は何?」】


森→森山
堀→堀川


堀: 今、クマムシさんという僕が作ったキャラクターをプロモーションしてるんですよ。これ、山内さんという方にクマムシさんのポストカードを作ってもらったんです。どうぞ。


森: クマムシさん?「乾眠なう」?こういうグッズも売ってるってことですか?


堀: いや、まだ売ってないですけど。プロモーションしている段階です。いわゆる、ゆるキャラです。これを作った理由というのは、人々に「かわいい」から入っていって科学に関心を持ってもらおうと。


森: この絵は誰が描いてるんですか?


堀: 私です。


森: そういうの、もともと得意なんですか?


堀: いや、そんなことないですよ。まあ、いろんなかわいいキャラクターを観察して、かわいさのポイントを抽出して作ったというか。


森: ああ、そういうのが得意なんですね。ようするにこうすればいいんだよね、みたいなのが。


堀: 研究と通じるところありますよね。つまり、過去に成功している例から、ポイントを抽出して試してみるというか。


森: そういう人は器用貧乏になりがちなので気をつけてください(笑)。


堀: ははは。


<本編に続く>


Vol. 26【クマムシ研究日誌: そう、西川くん。君だ。】


今回は、卒業研究の話に戻ろう。


 卒業研究のテーマで色々考えていたり、大学院受験の勉強などをしていたこともあり、卒業研究は実は、大学院受験の後の9月からスタートしたのだった。


 クマムシを自分で初めて採りに行ったのも、クマムシの乾燥方法を習ったのも、9〜10月である。つまり、卒業研究期間は実質的に3〜4ヶ月しかなかった。


 ここで改めて僕の卒業研究のテーマを紹介したい。研究テーマタイトルは「高酸素分圧環境がクマムシの生存に与える影響」である......


<本編に続く>


Vol. 27【クマムシトリビア:乾燥クマムシは何年生きられるか?その1】


読者からのクマムシにまつわる様々な疑問に対して堀川が回答します。


◆ 質問:


 クマムシは乾燥した仮死状態で何年くらい生きられるんですか?永久に生きられるんでしょうか?(その1)


◇ 回答:


 きました。「クマムシは永遠に生きられる」説の検証です。


 鈴木忠さんの書かれた本「クマムシ?!」にも、この部分について解説が書かれていすが、ここでもこの疑問に一通りお答えした後、さらに掘り下げたお話もしますね。

☆━━━━━━━━━━━━━━有名な120年伝説


 まず、有名な話として、コケの中で120年間乾眠状態だったクマムシが蘇った、というのがあります。博物館で120年間保存されていたコケに水をかけると、その中から出てきたクマムシが動き出した、というものです。


 この話は様々な文献に紹介されてきました。もちろんきちんとした、それも高名な研究者らによって書かれた論文に、です。


 僕も最初はこの「伝説」を信じていました......


<本編に続く>


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