アカデミストでクマムシチャンネル生放送
現在、academistにて開催中のクマムシ研究クラウドファンディング。残り期間がわずかになってきましたが、おかげさまでもうすぐセカンドゴールの300万円を達成しそうです。5月12日の21時より、同じくacademistにてクラウドファンディング挑戦中の慶應義塾大学のジョゼフィーヌ・ガリポン特任助教をゲストにクマムシチャンネル生放送をacademistのオフィスから行います。
ジョゼフィーヌ・ガリポン博士といえば、おそらく人類史上初めて大量のクマムシを食べた人。放送ではクマムシからその他研究のことまでなんでも聞いてください。
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NASAが発表した「太陽系の海に関する知見」について
Credit: NASA/JPL
現地時間2017年4月13日、NASAは土星の衛星エンセラダスから噴き出している間欠泉ガスから水素(H2)を検出したことを発表した。これは、エンセラダスの内部海底に熱水活動が存在し、生命が存在しうる環境が整っていることを示唆している。
エンセラダスは氷に覆われているが、その下には全球的に海が広がっていることが判明している。これは木星の衛星エウロパでも同じ。このような海は内部海という。エンセラダスの氷の裂け目からは間欠泉が宇宙空間まで吹き出しており、土星探査機カッシーニはしばしばこの中を通り過ぎながら質量分析器(Ion and Neutral Mass Spectrometer (INMS) )で組成分析を行ってきた。
カッシーニの分析により、これまでにエンセラダスの内部海には水の他に二酸化炭素、そして微量ながらアンモニアやメタンが含まれていることが2005年に発表されていた。また、カッシーニのダスト分析によりナノシリカが検出されたが、これは内部海の熱水活動の結果により生じていることが、地上実験の結果から示唆されていた。
今回検出された水素は、エンセラダスの内部海で熱水と海底岩石とが相互作用した結果として生じたものと思われる。分子状水素は、低い温度条件では自然には生成されにくいからだ。地球上の原始的なメタン菌は、光エネルギーのまったく届かない海底の高温環境で、水素を利用してエネルギーを取り出し、その結果としてメタンを生成する。エンセラダスからは微量だがメタンもすでに検出されているが、エンセラダスに生命体がいてもおかしくないよね、というのが今回の発表内容の意義。
いずれにしても、これでエンセラダス内部海でかんらん石の「蛇紋岩化作用」が起きているという直接的な証拠が得られた。化学反応場としては水素に富んだ還元的な環境を提供することになる。地球ではマントル(かんらん石)と海水が混ざり合う中央海嶺のロストシティフィールドや、日本だと白馬八方温泉などで蛇紋岩化由来の水素をエネルギー源にしている微生物が見つかっている。
ただ、これはすでに過去に誕生して進化した地球の生命が水素を食べて生きているということで、同様の環境が「生命を生み出すかどうか」については議論が必要だ。
カッシーニはもうすぐ運用が終了となる。運用の最後に土星に突っ込みながら最後のデータを取り、地球に送信する。引退するカッシーニには「もし土星周回軌道に声をかけるとしたら?」などと質問しないでほしい。
ちなみにもう一つの発表は木星の衛星エウロパから間欠泉がやっぱり吹き出しているよね、という確認作業のような内容。これはハッブル宇宙望遠鏡によるもの。NASAは2020年以降にエウロパのミッション「Europa Clipper」を予定しており、そのPRも今回の会見目的になっているのだろう。
Credit: NASA
ちなみに今回のNASA会見内容について、事前に予想して記事にしようと思っていたのだが、発表日時を勘違いしており間に合わなかった。こっちもクマムシの実験やら何やらで忙しいのである。
しかし今回していた予想について後出しでざっくりと説明すると、カッシーニが関わっているのでエンセラダスの間欠泉から海の成分を分析したものであることは簡単に想像がついた。問題は何が見つかったか、というところだったが、これがなかなか難しかった。何か生命の存在を示唆したり生命の部品になりうる有機物でも発見されたのかな、と思っていた。
そして今回は密かに代打も立てていた。東京工業大学研究員の藤島皓介さんと、慶應義塾大学大学院生の高萩航さんだ。この二人はエンセラダス関連の研究を行っており、今回のNASA発表で会見に参加した研究者らとも面識がある。
藤島皓介さん
高萩航さん
まさに、ブライアント級とブコビッチ級の助っ人である。ちなみに上述の今回の発見の解説も、藤島さんからいただいた意見が反映されている。
2人は間欠泉ガスから多量のメタンか高分子有機物が検出されたのではないか、という予想を立てていた。もしこの予想通りだったらかなりエキサイティングだったので、今回の結果はやや肩透かしを食らった感じが否めないが。
さて、実は我々は慶應義塾大学先端アストロバイオロジープロジェクトの構成員である。通年を通して学内外の学生たちはアストロバイオロジーの勉強会や研究プロジェクトを行っている。
たとえば高萩さんらは、エンセラダスの海底熱水環境を模擬したチャンバー内で岩石がアミノ酸生成にどう影響するかを調べている。また、藤島さんはエンセラダスの間欠泉からのサンプルリターンという壮大なプロジェクトを計画している。下はエンセラダスのサンプルリターンプロジェクトのイメージ動画。探査機に搭載したエアロゲルで、エンセラダスのサンプルを壊さないようにキャッチする様子が描かれている。
Enceladus from WOW inc on Vimeo.
昨年からは、慶應義塾大学先端アストロバイオロジープロジェクトはアストロバイオロジーの合宿「Keio Astrobiology Camp」を開催している。
この合宿では国内のアストロバイオロジストを講師として招き、高校生から大学院生までを対象に講義やワークショップを行っている。来年も開催予定なので、興味のある学生の方は以下のサイトを定期的にチェックしていただきたい。もちろん、入学希望者も大歓迎。
※本記事は有料メルマガ「むしマガ」381号「NASAが発表した「太陽系の海に関する知見」について」からの抜粋です。
【参考資料】
- 作者: 佐藤勝彦,縣秀彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2017/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
Cassini Ion and Neutral Mass Spectrometer: Enceladus Plume Composition and Structure
Ongoing hydrothermal activities with Enceladus
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-missions-provide-new-insights-into-ocean-worlds-in-our-solar-system:title=NASA Missions Provide New Insights into 'Ocean Worlds' in Our Solar System]
NASA会見予想について
NASAの会見発表時間、時差を読み違えて1日勘違いしていました。
最近バタバタしていて、このニュースの優先順位が低くなっていました。
楽しみにこのブログをチェックしていたみなさん、すみません。
あとで発見内容についての解説はアップする予定。
アストロバイオロジーのトークイベント開催
このブログでもたびたび話題にするアストロバイオロジー。今年はTRAPPIST-1の系外惑星系も話題になりました。はたして、この宇宙には地球外生命は存在するのか。存在するとすれば、それはどのようなものか。
そんなアストロバイオロジーのトークイベント、渋谷FabCafe MTRL4月11日(火)にて開催します。
登壇者はこちら。
藤島 皓介(東京工業大学地球生命研究所)
慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学大学院政策・メディア研究科博士課程早期修了、日本学術振興会海外特別研究員、NASA Ames研究所研究員を経て、現職。慶應義塾大学Advanced Astrobiology Projectを立ち上げる。研究対象は主に合成生物学を利用した生命の起源。2種類のポリマー(タンパク質とRNA)の起源と進化から地球生命を考える。またJAXA/JAMSTEC/慶應の研究者や学生らとともに土星衛星エンケラドスの生命探査に関連した基礎研究を行い、NASAでは将来の人類の火星移住をサポートするような有用微生物の研究に従事している。2016年WIRED Audi INNOVATION AWARD受賞。
柴藤亮介(アカデミスト)
アカデミスト株式会社代表取締役。2013年3月に首都大学東京博士後期課程を単位取得退学。研究アイデアや魅力を共有することで、資金や人材、情報を集め、研究が発展する世界観を実現するために、2014年4月に日本初の学術系クラウドファンディングサイト「academist」をリリースした。
クマムシ博士
北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程を修了。NASA Ames研究所研究員、パリ第5大学研究員などを経て、現職。オンラインバーチャル研究所『クマムシ博士のクマムシ研究所』所長や、クマムシキャラクター『クマムシさん』のグッズ製作などプロデューサーも務める。月間10万PVのブログ『むしブロ』ではアストロバイオロジーの話題も扱う。著書に『クマムシ博士の「最強生物」学講座』(新潮社)、『クマムシ研究日誌』(東海大学出版会)、『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』(日経ナショナルジオグラフィック社)。
藤島さんとは10年近くの付き合いですが、このようなトークイベントを一緒にするのは意外にも初めて。参加申し込み方法などの詳細はこちらからどうぞ。
みなさんのご来場をお待ちしております。
『リアルクマムシ飼育観察キット』をクラウドファンディングでゲットしよう
現在開催中のクラウドファンディング「最強生物クマムシの耐性の謎をゲノム編集で解明する!」が、おかげさまで第一目標だった200万円を超えたため、第二目標の300万円に向けて新リターンのプログラムを追加します。
新リターンの内容は、世界でも珍しい『リアルクマムシ飼育観察キット』。自宅で最強生物ヨコヅナクマムシを飼育し観察できるキットです。このリターンを購入できるのは先着5名様まで。ぜひクマムシを育てて増やして愛でてみてください。
『リアルクマムシ飼育観察キット』に入っているアイテムのラインナップは、以下のとおり。
1. 乾眠ヨコヅナクマムシ
乾眠しているヨコヅナクマムシを合計60匹をご提供します。20匹が入ったシャーレが3つ届きます。全部で3機。スーパーマリオでいうところの「×3」です。
シャーレの中の実際の乾眠ヨコヅナクマムシ20匹は、下の写真のようになっています(250倍で撮影)。
カラカラに干からびている乾眠ヨコヅナクマムシは、水ををかければ復活します。
下の動画のように、カラカラのクマムシが動き出す神秘的なようすをリアルタイムで観察できます。
まずは「×1」のシャーレにいるヨコヅナクマムシから復活させ、残りの「×2」と「x3」のシャーレは冷凍庫に保管しておきます。
もし「×1」のクマムシが全滅したら、「×2」のクマムシを、「×2」のクマムシも全滅してしまったら、「x3」のクマムシを復活させてください。
ところで、これらのヨコヅナクマムシは、クマムシ博士が自ら丹念に育てたメスたちです。
もちろん、ひとつひとつのシャーレにクマムシを入れて乾眠させる作業も、クマムシ博士が行います。すべては、ご支援をしていただいた、あなたのために。
2. 生クロレラ
ヨコヅナクマムシの飼育に欠かせないごはん、生クロレラ。この生クロレラは、クロレラ工業株式会社の生クロレラV-12です*1。
シャーレにこの生クロレラを付属のスポイトでかけます。うまくいけば、ヨコヅナクマムシは生クロレラを食べて育ち、卵を産んで増えていきます*2。
シャーレ内のクロレラ水は1週間に1度、スポイトで吸って捨てて、フレッシュな水と生クロレラに交換します。なお、生クロレラの消費期限は冷蔵庫で30日間ですが、本リターンの購入者には、6ヶ月間にわたり毎月生クロレラを郵送でお届けします。詳しい飼育のやり方は、付録の説明書をお読みください。
3. 双眼実体顕微鏡
体長0.4ミリメートル以下の小さなヨコヅナクマムシの観察に欠かせないのが、実体顕微鏡。本リターンには、クマムシの観察に最適な新日本通商株式会社の双眼実体顕微鏡がついてきます。2タイプの接眼レンズで、20倍あるいは40倍での観察が可能。
また、照明は上方からの落射光と下方からの透過光を切り替えることができます。
LEDライトなので、とてもクリアに観察しやすい。また、発熱がおこりにくいので、ステージ上にシャーレを置いても、クマムシへの熱の影響を抑えることができます。
さて、本リターンの気になる支援額は20万円。先着5名様まで。なお、本リターンは『クマムシ飼育観察キット』の他に、『サイン付き『クマムシへんてこ最強伝説』』『限定かんみんシロクマムシちゃんぬいぐるみS』『クマムシさんぬいぐるみL』『オンラインサロン『クマムシ研究所参加権』1年分』『論文謝辞にお名前掲載権』も含んだ価格です。
『サイン付き『クマムシへんてこ最強伝説』』『限定かんみんシロクマムシちゃんぬいぐるみS』『クマムシさんぬいぐるみL』
『オンラインサロン『クマムシ研究所参加権』1年分』
『論文謝辞にお名前掲載権』
これよりも上位のリターンプログラム『クマムシ博士とスペシャル研究者たちとのお食事権』にも、この『クマムシ飼育観察キット』はついてきます。こちらもあと1名の空きがあるので、お早めにどうぞ。
ぜひこの機会にクマムシブリーダーとなり、そして、クマムシ研究をご支援いただければ幸いです。購入はこちらからどうぞ。
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クラウドファンディング目標額達成とお食事同伴スペシャルゲストのお知らせ
学術系クラウドファンディングサイト「academist」3月2日に開始したクマムシ研究クラウドファンディングが、当初の目標額の200万円に達成しました。本クラウドファンディングにご支援いただいた200名を超える支援者の皆様に、厚く御礼申し上げます。
最強生物クマムシの耐性の謎をゲノム編集で解明する!:academist
これらのご支援をいただいたみなさま全員の力をお借りして、クマムシ研究を推進していきます。支援者全員がクマムシ研究チームの一員です。研究成果をご報告できる日を楽しみにしています。
10日間で200万円を達成したのは、「academist」で行ったクラウドファンディングのプロジェクトで、最速記録だそうです。予想を上回るスピードで第一目標を達成したため、セカンドゴールとして300万円を設定します。追加分の支援は、さらなる実験のための試薬などの購入に充てます。これにより実験回数を増やせれば、それだけ成功に近づくことができます。引き続きよろしくお願い致します。
今回の目玉リターンである12000円のクマムシ福袋(「クラウドファンディング限定かんみんシロクマムシちゃんぬいぐるみ」「クマムシさんLサイズぬいぐるみ」「サイン付クマムシへんてこ最強伝説」「サイエンスカフェ」)は限定100個がすべて完売してしまったので、同福袋を15000円(100個限定)でさらに提供させていただきます。
また、30万円の「クマムシ博士とお食事権」ですが、新たに追加スペシャル同伴ゲストが降臨することになりました。
それは、国立研究開発法人海洋研究開発機構深海・地殻内生物圏研究プログラム・プログラムディレクターにして、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞、チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー2012など数々の受賞歴に輝き、毒舌のダウンタウンから「口の悪いやっちゃな!」と評される、日本が世界に誇る微生物学者、天才(自称)高井研氏です。
高井氏についてご存じない方は、こちらをご参照ください。
これまでクマムシを目の敵にしてきた高井氏ですが、ちょっとした経緯があり、今回、高井氏のご厚意で、本クマムシ研究クラウドファンディングプロジェクトにご協力いただけることになりました。ご本人から、今回の参加に際し、以下のようメッセージもいただいています。
おう、クマムシ芸人!クラウドファンディング、調子いいのう!でもキミ、アレね。ちゃんと自分のブログでも研究計画のサイエンスな説明をしているのが、いいね。見直したわ。
オレ様も協力したる。お食事、一緒に出てもええで。ただし、購入者は20代女性限定な!がははは!!!
もちろん、20代女性でない方も大歓迎です。なお、20代女性以外の方が食事権を購入した場合は、華奢な早稲田大学先進理工学部の岩崎秀雄教授がギャルの装いで同席することになってしまうとか、しまわないとか。
さて、どうなってしまうのでしょうか。いずれにしても、なかなかないタイプの食事会になると思われるので、奇特な方にはぜひ本リターンにベットしていただければと思います。ちなみに、食事代は、こちらで持ちます。
近日中に、さらに魅力的な追加リターンも告知する予定なので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
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クマムシ研究クラウドファンディングの支援者が150名になりました
現在、クラウドファンディングサイト「academist」で、クマムシ研究プロジェクトの支援を募っています。
クラウドファンディング開始から5日間が経過し、ご支援いただいた方の数が151名になりました。目標達成率は86%に。この151名の皆さまに心より御礼申し上げます。
限定100個のクマムシ福袋リターン(「限定かんみんシロクマムシちゃんぬいぐるみS」「クマムシさんぬいぐるみL」「サイン付き『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』」「クマムシ博士サイエンスカフェ参加権」)は、なんとこの5日間で完売してしまいました。
そこで、クマムシ福袋と同じ内容のリターンを、さらに100個限定で追加しました。
こちらの価格は15,000円。初回の福袋よりも価格が高くなっていますが、それでもまだお得感はじゅうぶんにあります。初回の福袋をゲットし損ねた方は、こちらの購入をご検討ください。
なお、academistのサイトで使えるクレジットカードの種類が限られていますが、銀行振込も可能なので、 その場合はacademistの方( info@academist-cf.com )までご連絡ください。
それでは引き続きよろしくお願いいたします。
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3月8日にJ-WAVE TOKYO MORNING RADIOに出演します
3月8日(水)朝8時35分ごろから、J-WAVE TOKYO MORNING RADIOに出演します。
この番組に出るのは2013年以来。当日は六本木ヒルズから世界にクマムシを発信します。
クマムシ研究クラウドファンディングも142名ものサポーターの方から150万円以上のご支援をいただきました。
みなさま、どうも有難うございます。引き続きよろしくお願いします!
クマムシ研究クラウドファンディングの支援者が100名になりました
academistで行っているクマムシ研究クラウドファンディング、3月2日にスタートしてから3日間が経過し、ご支援いただいた方の数が100名になりました。
100名の皆さまに心より御礼申し上げます。
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クマムシ研究クラウドファンディングに2日間半で100万円のご支援をいただきました
3月2日にスタートしたクマムシ研究クラウドファンディングが、開始2日間半で100万円の支援が集まりました。
これで目標金額200万円に対し50%の達成率となりました。うーん、嬉しいですね。ご支援いただいた皆様、どうも有難うございます。
とくに限定100個の12000円のリターン、「限定かんみんシロクマムシちゃんぬいぐるみS」「クマムシさんぬいぐるみL」「サイン付き『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』」「クマムシ博士サイエンスカフェ参加権」のクマムシ福袋は、すでに67個が購入されています。残りは33個。あと2〜3日で完売する勢い。
たくさんのご支援の他にも、うれしいことに研究者の方や企業からもコンタクトをもらっています。ただ、目標達成をしなければこのプロジェクトは成立しないので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
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トトロの里、瑞穂町でクマムシ講演と観察会を開催。
2017年3月12日(日)、東京都瑞穂町の郷土資料館でクマムシ講演会とクマムシ観察会を行います。参加費無料、子ども大歓迎。瑞穂町は『となりのトトロ』の舞台といわれる狭山丘陵の西に位置する牧歌的な町。
この講演会、「人をダメにする超巨大クマムシさん」も特別に参加します。
定員110人ですので、参加申し込みはお早めに。場所や申し込み方法の詳細はこちら。
「最強生物クマムシを知ろう」
場所:東京都瑞穂町郷土資料館けやき館(多目的室・体験学習室)
開催日:2017年3月12日(日)
時間割:
12:30 開演
13:00〜14:00 講演
14:45~15:30 観察会定員:110人
申し込み方法:瑞穂町図書館にメール toshokan@town.mizuho.tokyo.jp か電話 042-557-5614 で予約
みなさんのご来場をお待ちしています。
クマムシ研究のクラウドファンディングを開催中です
このたび、クマムシ研究プロジェクトのクラウドファンディングを学術系クラウドファンディングサイト「academist」にて行います。
極限的乾燥、超低温、超高圧、高線量放射線、そして、宇宙空間の超真空。驚異的な環境にも耐えられるクマムシの強さの秘密をさぐるべく、今回、この生きものでのゲノム編集技術を確立して調べたい。ということで、クラウドファンディングを行うことになりました。ぜひとも皆さんとご一緒に、クマムシ研究を進めていきたいのです。
このクラウドファンディングは、ただの寄付ではありません。資金額に応じて、クマムシにゆかりのあるリターン(お返し)を用意しています。ここでしか入手できないクマムシグッズもあります。また、今回は、共同研究者も募集しています。ゲノム編集や遺伝子操作に明るく、クマムシ研究に興味のある研究者の方、お気軽に声をかけてください。
それでは、今回のクラウドファンディングについて、ちょっと詳しめに説明させていただきますね。
・クマムシの謎を探る冒険
通常、生物は乾燥してカラカラになったり、多量の放射線を浴びると、タンパク質やDNAといった細胞の部品が壊れてしまいます。部品が壊れて機能しなくなるということは、生物の死を意味します。ファミマで買ってきたくさやに水をかけても、残念ながらいつまでたっても生き返ることはありません。しかし、クマムシは、体がカラカラに乾燥しても水をかければ復活します。
また、多量の放射線を浴びても、生き続けることができます。つまり、クマムシには細胞の部品を守るような仕組みがあり、その秘密は生命の設計図であるDNAの遺伝子に隠されていると考えられます。
大学生の頃、私はクマムシにすっかり魅せられ、この生きものの研究を始めました。
ある生物を継続的、安定的に実験するためには、実験室で飼育することが不可欠です。ところが15年以上前の当時は、クマムシの基本的な生態もあまり分かっておらず、ほとんどの種類について、どんな餌を食べているかもわからず、飼育できる種類はほんどありませんでした。そこで、実験のためにわざわざ野外でクマムシを採集する必要がありました。
クマムシを実験生物として発展させるために、私は飼育のできる種類のクマムシを探しました。国内外から10種ほどのクマムシを採集し、それらのクマムシにさまざまな餌の候補を与えて、飼育できる種類を選別しました。
そして、餌として生クロレラを与えることで、札幌市から採集した1種類のクマムシを 繁殖させることに成功しました。この茶色いクマムシは、他の種類のクマムシに比べて乾燥や放射線への耐性がひときわ高いことが判明し、横綱級の強さをもつという意味で「ヨコヅナクマムシ」と名付けました。こうして、継続的に実験できるクマムシが得られたのです。
さらにヨコヅナクマムシの標準系統「YOKOZUNA-1」を作製し、東京大学や国立遺伝学研究所などとの共同研究で、この種の全ゲノムDNAの解読を行いました。その結果、ヨコヅナクマムシには1万数千個の遺伝子が見つかり、その中にクマムシ固有の新規遺伝子の存在が多数確認されました。
また、ヨコヅナクマムシには、乾燥耐性や放射線耐性にかかわる遺伝子の候補が、複数見つかってきました。これらの遺伝子から発現したタンパク質は、乾燥や放射線のダメージからヨコヅナクマムシの細胞を守る役割があると考えられています。ただし、これらのタンパク質が、どこまでヨコヅナクマムシの耐性に関与しているのかは、まだはっきりとわかっていません。
・ゲノム編集でクマムシの謎に迫る
耐性にかかわると考えられている遺伝子が、ヨコヅナクマムシの中で実際にどのような働きをもつかは、これらの遺伝子を壊すことで調べることができます。
ある遺伝子の機能を失わせた時に、もしヨコヅナクマムシの耐性が低下すれば、その遺伝子は耐性にかかわる重要な遺伝子であることが推定できるからです。しかしながら、クマムシの特定の遺伝子を操作する技術は、長い間開発されてきませんでした。
ところがここ数年、生物の遺伝子を改変する、ある革命的な技術が広まってきました。それは、将来にノーベル賞を受賞すると思われる「CRISPR-Cas9(クリスパーキャスナイン)システム」とよばれる、ゲノム編集技術です。
これまで、遺伝子改変は限られた生物でしかできませんでした。しかし、このゲノム編集技術CRISPR-Cas9システムを用いることで、今までに遺伝子操作が難しかった数多くの生物種を遺伝子改変することが可能になっています。
ゲノム編集でヨコヅナクマムシの遺伝子を改変して機能を失わせることで、実際に耐性に関わっている遺伝子レパートリーを特定しやすくなります。つまり、クマムシの常識外れの耐性能力の謎の解明に向けて、大きく前進するものと期待されます。
ただし、クマムシの実験システムはまだまだ未熟な部分もあり、目的達成のためには基本的な技術を段階的に確立していく必要があります。ゲノム編集では、クマムシの生殖巣に外来の 核酸などを注入し、産まれてくる子どもの遺伝子が改変されるかを確認する必要がありますが、この最初のステップをきちんと行うのも、まだ難しいのが現状です。
そこでゲノム編集技術確立のための最初のステップとして、まずは、 クマムシに核酸のmRNAをうまく注入できるかを検討するところから始めます。たとえば緑色蛍光タンパク質GFPを発現するmRNAを卵巣に注入し、産まれてくる子どもが蛍光を発するかを確認します。それと並行して、ゲノム編集技術CRISPR-Cas9システムを構成するCas9タンパク質とsgRNAもクマムシに注入し、遺伝子改変を起こせるかを検討していきます。
慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究室には、ヨコヅナクマムシの他にも、ドゥジャルダンヤマクマムシなど、数種類のクマムシがいます。ゲノム編集技術の確立に向けて、これらのクマムシも実験に用いる予定です。本研究室の荒川和晴特任准教授らの協力も得て、クマムシ研究を推進していきます。
・クマムシ研究は基礎研究
クマムシの耐性のメカニズムが分かってくれば、生鮮食品、血液、移植用臓器など、将来的な乾燥保存法にも応用できるかもしれません。もちろん、すぐに応用できるようになったり、必ず実現するとは限りません。しかし、このような基礎研究は、のちにどう化けるのかがわかりません。小さなクマムシも、大きな可能性を秘めているのです。
ぜひとも本研究のサポートをacademistこちらからお願いさせていただきたく思います。私どもの船に、一緒に乗ってみませんか?
・共同研究者の募集
また、今回のプロジェクトでは、共同研究者も募集しています。クマムシの実験システムはまだまだ未熟な部分もあり、目的達成のためには基本的な技術を段階的に確立していく必要があります。 まずは、 GFP発現mRNAをクマムシの卵巣に注入し、産まれてくる子どもが蛍光を発するかを確認し、それと並行してCas9タンパク質とsgRNAもクマムシに注入し、遺伝子改変を起こせるかを検討していきます。
遺伝子操作技術などに明るく、クマムシの研究にご興味のある研究者の方、ぜひともこちら(horikawadd@gmail.com)までコンタクトをいただければと思います。また、本プロジェクトにご興味のある企業の方からのご連絡も歓迎しています。
・オリジナルアイテムも。クマムシ研究サポートのリターン
今回、クマムシ研究に支援をいただいた方には、支援額に応じて以下のリターンを用意しました。どれも、クマムシにかかわるものばかりです。ここでしか入手できないクマムシアイテムもあります。
★1,000円
研究報告レポート(画像付き)
ご支援いただいた資金で進めた研究の進捗について、レポートにまとめてお送りいたします。ヨコヅナクマムシのオリジナル画像と一緒にお楽しみください。
★2,000円
クマムシさんCFオリジナルステッカー
研究報告レポート(画像付き)
ここでしか手に入らない、クマムシさんとacademistとのコラボ「クマムシさんCFオリジナルステッカー」をお送りします(デザインはまだ未定)。
★5,000円
CFオリジナルぬいぐるみ「かんみんシロクマムシちゃんSサイズ」
クマムシさんCFオリジナルステッカー
研究報告レポート(画像付き)
2000円のリターンに加えて、今回の目玉アイテム「かんみんシロクマムシちゃんSサイズぬいぐるみ」をお送りします(画像はサンプルです)。ここでしか手に入らない、プレミアムアイテムです。これよりも支援額の多いプランには、もれなくこの「かんみんシロクマムシちゃんSサイズぬいぐるみ」がついてきます。
★15,000円
クマムシさんLサイズぬいぐるみ(47cm)
クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説(サイン付き)
サイエンスカフェ参加券
CFオリジナルぬいぐるみ「かんみんシロクマムシちゃんSサイズ」
クマムシさんCFオリジナルステッカー
研究報告レポート(画像付き)
5,000円のリターンに加えて、サイエンスカフェ参加券、最近発刊した著書『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』(サイン付き)、そして大人気のクマムシさんLサイズぬいぐるみ(47cm)をお届けします。正直、クマムシさんLサイズぬいぐるみと書籍だけでも普通に買えば1万円をこえるので、このプランが一番お得感があると思います。100個限定リターンですので、お早めに。
★30,000円
オンラインサロン参加券(1年間)
クマムシさんLサイズぬいぐるみ(47cm)
クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説(サイン付き)
サイエンスカフェ参加券
CFオリジナルぬいぐるみ「かんみんシロクマムシちゃんSサイズ」
クマムシさんCFオリジナルステッカー
研究報告レポート(画像付き)
15,000円のリターンに加えて、オンラインサロン「クマムシ博士のクマムシ研究所」への参加券(1年間)をプレゼントします。現在はFacebookの限定グループで運営しており、研究者だけではなく、学生や社会人など、幅広い方々にご参加いただいています。クラウドファンディングを終えた後も、クマムシコミュニティで共に活動していきませんか?
★50,000円
論文謝辞にお名前掲載
オンラインサロン参加券(1年間)
クマムシさんLサイズぬいぐるみ(47cm)
クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説(サイン付き)
サイエンスカフェ参加券
CFオリジナルぬいぐるみ「かんみんシロクマムシちゃんSサイズ」
クマムシさんCFオリジナルステッカー
研究報告レポート(画像付き)
30,000円のリターンに加えて、本プロジェクトの論文が出版された暁には、謝辞にあなたのお名前を掲載いたします(かなり長い道のりで、実現する保証は100%ではありませんが、ぜひ長期スパンで応援していただけると嬉しいです)。
★100,000円
クマムシレクチャー参加券
論文謝辞にお名前掲載
オンラインサロン参加券(1年間)
クマムシさんLサイズぬいぐるみ(47cm)
クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説(サイン付き)
サイエンスカフェ参加券
CFオリジナルぬいぐるみ「かんみんシロクマムシちゃんSサイズ」
クマムシさんCFオリジナルステッカー
研究報告レポート(画像付き)
50,000円のリターンに加えて、クマムシ採取、観察、飼育のいろはを伝授する少人数レクチャーにご招待いたします。一口ご支援いただければ、ご家族でご参加いただいて構いません。
★300,000円
堀川とのお食事会(食事代含む)(注:写真はイメージです)
クマムシレクチャー参加券
論文謝辞にお名前掲載
オンラインサロン参加券(1年間)
クマムシさんLサイズぬいぐるみ(47cm)
クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説(サイン付き)
サイエンスカフェ参加券
CFオリジナルぬいぐるみ「かんみんシロクマムシちゃんSサイズ」
クマムシさんCFオリジナルステッカー
研究報告レポート(画像付き)
100,000円のリターンに加えて、堀川とのお食事会を設定させていただきます。クマムシ研究の最新動向から、クマムシを題材としたビジネスの話題、人生相談など、なんでも気軽に話しましょう。なお、親子でご参加いただける場合は、一組二人まで可能です。
その他の詳しい情報はぜひacademistのサイトでご確認ください。ご支援もこちらからどうぞ。なお、academistのサイトで使えるクレジットカードの種類が限られていますが、銀行振込も可能なので、 その場合はacademistの方( info@academist-cf.com )までご連絡ください。
というわけで、改めて研究サポートのほど、よろしくお願いいたします。
NHK『あさイチ』にクマムシと出ます
3月2日(木)のNHKの情報番組『あさイチ』にクマムシがちょこっと出てきます。慶應義塾大学先端生命科学研究所が取り上げられる中で、クマムシ研究グループも取材を受けました。8:15から9:00の間のどこかで出てくるようです。
クマムシとは関係ないですが、『あさイチ』アナウンサーの有働由美子さんといえば、シドニーオリンピック柔道男子100kg超級決勝の疑惑の判定後に涙を流しながら原稿を読んでいたのがとても印象に残っています。
- 作者: 堀川大樹,ナショナルジオグラフィック
- 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
クマムシールがついてくるクマムシ本新刊『クマムシ博士のクマムシへんてこ最強伝説』も好評発売中。よろしくまむしです。
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TRAPPIST-1の系外惑星群について、観測の背景や今後の展望
先日、NASAらが会見で発表したTRAPPIST-1の系外惑星群について、観測の背景や今後の展望について解説した記事を『iRONNA』に寄稿しました。
記事タイトルは私ではなく編集部がつけたので盛っているかんじですが、興味ある方はご一読ください。『iRONNA』ではTRAPPIST-1の系外惑星群について、福江翼さんや山岸明彦さんなど惑星科学やアストロバイオロジーの専門家も寄稿しているので、こちらもおすすめ。
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クマムシさんを預かっていただける書店さん募集
クマムシ本新刊『クマムシ博士のへんてこ最強伝説』が、全国の書店で並び始めました。今回のクマムシ本はゆるマニ系(ゆるくてマニアック系)。おまけでクマムシールもついてきます。
- 作者: 堀川大樹,ナショナルジオグラフィック
- 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アマゾンなどで予約注文をしていただいた方にも、そろそろ発送が始まるころですので、しばしの間クマムシさんを揉みながらお待ちください。
ところで今回は、全国の書店さんに、クマムシ博士と出版元のナショジオから、下記のとおりお願いがあります。
【全国の書店様】『クマムシ博士の クマムシへんてこ最強伝説』発売にあたり、「くまむしさんキーチェーン付きポップ」を準備いたしました。ご希望の書店さまは、本アカウント宛てにDMかメンション等でお知らせください。お待ちしております! https://t.co/JgeIkfmGBw pic.twitter.com/eJ05S9MpEV
— ナショナルジオグラフィック (@NatGeoMagJP) 2017年2月22日
クマムシさんの存在は書籍売上のみならず、店舗イメージアップにも貢献すると思われます。ということで、もし『クマムシ博士のへんてこ最強伝説』の販売に際し、クマムシさんキーチェーン付きポップを設置していただける書店さんは、ぜひナショジオのツイッターアカウントまでメンションかDMでご連絡ください。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
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