クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

【書評】『はみだす力』はみだすこと肯定しよう

以前からなんとなく気になっていた『はみだす力』という本を読みました。著者はアーティストで現在マサチューセッツ工科大学メディアラボ助教のスプツニ子!さん。


はみだす力:スプツニ子!


スプツニ子!さんを知ったのは割と最近で、人工知能学会の表紙に描かれた「掃除をする女性型アンドロイド」をめぐってTwitter上でご活躍?されているのを目の当たりにしたのがきっかけです。著者は男性に人工的に生理痛を味あわせるデバイスを作ったりしていたので、理系よりの方だとは思っていたのだけれど、両親が数学者でバリバリの理系出身ということを本書で知りました。


で、本書には著者が幼少期からいかに「普通」に対して抵抗があったかが書かれていて、自分の幼少期の頃とすごくだぶったのですね。途中から、ずっと感情移入しながら読んでいました。新しい環境に軽々と飛び込んでいける(ようにみえる)ところも、なかなか羨ましい。自分はまだまだだなぁ、と。


確かに、著者はもともと勉強ができたりバイリンガルだったりと、周囲の人に比べればある程度のアドバンテージがあったのは間違いないでしょう。でも、子どもの頃は周囲の普通に折り合いをつけられないと学校でもどこでも逆風をもろに受けるし、いくら能力が高くても、そこでつぶされていく場合もたくさんある。その中でうまく居場所や進むべき方向を見つけるのは、すごくエネルギーが要るわけです。ある意味、相当にあまのじゃくじゃないといけない。


そういう人と違ったことをするのは大きな摩擦も生むのだけれど、そこで萎縮せずに継続をしていると面白がってくれる人もちらほら現れてくれるものなんですよね。就職活動なんかだと「いかに周りに合わせられるか」が大事みたいだけれど、そこに「これじゃない感」を感じる就活生なんかは、どんどん逆振れしてはみだしていったらよいのではないでしょうか。その後の保証はできませんが、自分で納得して動ければ失敗しても得るものは大きいでしょう。なんとなく日々の生活にマンネリを感じている社会人にもおすすめの一冊です。


※本記事は有料メルマガ「むしマガ」284号「クリプトビオシスだけじゃないクマムシの休眠モード」】の一部です。

クマムシ博士のむしマガVol. 284【クリプトビオシスだけじゃないクマムシの休眠モード】

2015年3月22日発行
目次

【0. はじめに】書評
『はみだす力』:スプツニ子!

【1. むしコラム「クリプトビオシスだけじゃないクマムシの休眠モード」】
クマムシの環境耐性といえば、代謝を完全に停止するクリプトビオシスがよく知られている。しかし、クマムシの種類によっては、このクリプトビオシス以外にシスト状態というややマニアックなモードに入って悪環境をやり過ごすものもいる。

【2. おわりに】
メルマガで連載していた「クマムシ研究日誌」の書籍化まであと少し。本を書くことの難しさについて。

【料金(税込)】 1ヵ月840円(初回購読時、1ヶ月間無料) 【 発行周期 】 毎週

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