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クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

リスクを背負うことと空気を読まないことの大事さ


アカデミアで研究者が生き残る上でもっとも大切なこと。それは、業績を出すことである。メインとなる業績は、論文の質と数だ。それも、査読者による審査がある国際科学雑誌に掲載された論文である。そして、筆頭著者あるいは責任著者として発表した論文のみが主たる評価の対象となる。


もしも、自分がメインで研究を行っているプロジェクトが失敗すれば、論文を出せなくなる。論文が出せなければ、大学教員や研究所の研究員などのポストに就くことが難しくなる。結果として、短期間で確実に結果が出せそうな無難な研究テーマを選ぶ傾向が高まる。


小保方さんの場合、「ストレスを与えることで細胞が初期化する」という大胆な仮説を証明する研究を、大学院生のときに開始した。この研究テーマはきわめてリスクが高く、失敗すれば博士号も取れなくなってしまう。とてもではないが、学生が取り組むような研究テーマではない。


そして、もうひとつ重要なことは、小保方さんが空気を読まなかったことである。


当初、小保方さんはハーバード大学のバカンティ教授と一緒にこの研究テーマに取り組んでいた。しかし、共同研究者の若山照彦さんのインタビューを読むと、どうやら、当時の小保方さんの周囲の研究者らは、小保方さんの仮説を信じていなかったような節がある。


通常であれば、大学院生がその分野の著名研究者らに自分のテーマを否定されれば「自分の方が間違っている」と思うのが普通だろう。


それでも、小保方さんは周囲の空気を読まずに、自身の直感に従った。常識に囚われないことが研究では大事だというが、それを実践するのは本当に難しい。今回の例は、常識を捨て去ることの重要性を改めて認識させてくれる。


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