クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

むしマガハイライト【Vol. 91, 92, 93】


☆━━━━男女の力関係

 前回まで、日本のジェンダー観は演歌と金麦とおかあさんといっしょに象徴されており、これは世界でも珍しい特徴であることを説明してきました。


 このような社会の中では、バリバリ働きたい女性にとってはやりづらいところもありますし、能力や成果に対して正当な評価を得ることも難しくなります。このような女性は他の国に行った方が、よりまっとうな評価を受けられる場合も多いと思われます。


 さて、では女性全般にとって、本当に海外に行った方がベネフィットを得られるのでしょうか?
 

 確かに、外国に行った方が男性から表向きは扱われ方が丁寧ですし、色々と世話を焼いてくれるでしょう。ちやほやされることも多いでしょう。こちらが鳥肌の立つような甘い言葉もたくさん吐いて、いや、ささやいてくれます。


 しかし、です。経済的にはかなりドライな感覚を持っている男性が日本と比べて多いので、これには注意が必要です。


 どういうことか。その理由は、また次回。


Vol. 91【むしコラム「長生きハダカデバネズミのPPKの秘密」】


 巷ではすっかりと人気者になった、ハダカデバネズミという裸で出歯なネズミがいます。


☆【画像】ハダカデバネズミ
http://goo.gl/JRY7d


 この生き物はアフリカの地中にトンネルのような巣を作って暮らしています。なんともキモカワイイ動物なわけですが、この子は外見だけでなく生態も非常に変わっています。


 ハダカデバネズミはほ乳類ですが、コロニーに女王様と王様だけが繁殖し、まったくこどもを作らない働きネズミがいます。その中には「ふとん係」として子ネズミのふとんになる役をするものもいます。


 そして驚くことに、このサイズのほ乳類としては異例に長生きなのです。これまでに確認されているハダカデバネズミの最長寿命は、28歳です。マウスやラットの寿命がだいたい3年弱くらいなので、ハダカデバネズミがいかに長生きかがわかります。ハダカデバネズミには、がん細胞がほとんど発生しないことも知られています。


 ハダカデバネズミの長寿の秘密は、何なのでしょうか。一つの可能性として考えられるのが、この生き物には酸化ストレスに対する防御システムが発達しているのではないか、ということです。というのも、生体物質の酸化が老化を引き起こすという説が広く受け入れられているからです。体が酸化すると老化する、ということです。カットしたリンゴを放置すると黒ずんでいきますが、あれも酸化によるものです。


 ところが、ハダカデバネズミの体内の抗酸化活性や活性酸素種のレベルは、マウスなどに比べてあまり差がないことが分かってきました......


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Vol. 92【クマムシ研究日誌「つくば研究生活」】


 つくばといえば、様々な研究所が集まる研究都市である。JAXA産業技術総合研究所、国立環境研究所、農業生物資源研究所などなど、独立行政法人の研究所が建ち並ぶ。


 僕がつくばにいた2004年から2006年は、まだつくばエクスプレスも開通しておらず、つくばから他の場所に移動する際には、バス以外で公共の移動手段はなかった。いわば、つくばは陸の孤島であった。


 それを痛感したエピソードがある。2005年の正月、つくばから東京に行こうとした時のことだ。その日は朝から雪が降り積もり、バス停で待てど暮らせど東京駅行きのバスが来る気配がない。結局、その日はつくばから出ることを諦めざるをえなかった。それまで、比較的交通網の発達した場所にしか住んだことのなかった僕にとっては、なかなか新鮮な出来事だった。


 つくばは交通の便は不便だが、住み始めると案外心地良い場所であることに気付いた。もっとも、車を所持していることが前提だが。一通り最低限の物は市内で購入することができるし、街は清潔で道は広く、開放感がある。そして、人も多すぎず少なすぎずといった、ちょうど良い人口密度でストレスを感じることはほとんど無かった。


 つくばは人口密度は高くないのだが、さすがに研究都市だけあって、その辺の料理屋に入ると、かなりの高確率で研究者らしき人々に出くわす。JAXA産業技術総合研究所の研究者達はネームカードを首から下げていたりするので、すぐに分かる。そうでなくとも......


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Vol. 93【クマムシトリビア「空飛ぶクマムシ」】


読者からのクマムシにまつわる様々な疑問に対して堀川が回答します。


◆ 質問:


 クマムシは色んなところに住んでいますが、どのようにして移動しているんでしょうか?歩いて移動するのは遅い気がするし、水で流されながら移動しているんでしょうか?


◇ 回答:


  同じ種類のクマムシが地球のいたる場所にいたりと、クマムシの分布域は広範です。陸産のクマムシのことを考えた場合、海を泳いで渡ることはできないため、陸間の移動はかなり難しいでしょう。水で流されて移動するとしても、ある場所よりも標高の高い所に移動するのは難しくなります。


 では、クマムシはどのようにして、その分布域を広げているのでしょうか。


 それはずばり、風です。風に飛ばされることにより、移動しているのでしょう。


 クマムシが空中を舞っているところを捕らえられた記録はないため、この直接的な証拠はありません。しかし、クマムシが家屋の屋根やビルの屋上に生えたコケから見つかることもよくあり、風で飛ばされて移動していることを示す状況的は揃っています。


 乾眠したクマムシがホコリなどと一緒に風に舞い、はるか遠くに飛ばされ、着陸したところに運良く住処として適当なコケがあれば、そこに定着すると思われます。もちろん、餌もそこにちゃんとあることが前提です......


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