クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

バッタ博士によるバッタ本の目次がキてる件


写真: 前野ウルド浩太郎博士


このブログやメルマガでもたびたびフィーチャーし、コアなファンを獲得しつつあるバッタ博士・前野ウルド浩太郎氏が、11月20日にバッタの本を出版することになった。


孤独なバッタが群れるとき<サバクトビバッタの相変異と大発生>: 前野ウルド浩太郎 著 (東海大学出版)


338ページにもおよぶボリュームもさることながら、そのキてる目次が嫌でも目を引く。

目次


はじめに

第1章 運命との出逢い
一縷の望み
師匠との出逢い
サバクトビバッタとは?
黒い悪魔との闘い−絶望と希望の狭間に
相変異
 コラム バッタとイチゴ
 コラム バッタ注意報

第2章 黒き悪魔を生みだす血
白いバッタ
ホルモンで変身
授かりしテーマ
ホルモン注射
触角上の密林
論文の執筆
 コラム バッタのエサ換え
 コラム 伝統のイナゴの佃煮

第3章 代々伝わる悪魔の姿
相変異を支配するホルモン
補欠人生に終止符を
目を見開いて
代々伝わるミステリアス
 コラム バッタ飼育事情
消えた迷い
相蓄積のカラクリ
仮説の補強
 コラム:バッタ研究者の証

第4章 悪魔を生みだす謎の泡
常識の中の非常識
戦慄の泡説
疑惑の定説
揺らぎ始めた定説
定説の崩壊
逆襲のサイエンティスト
理論武装
打っておくべきは先手、秘めておくべきは奥の手
十三年にわたる見落とし
追撃
戦力外通告後の奇跡
飼育密度の切り替え実験
論争の果てに
束縛の卵
禁断の手法
真実は殻の中に
研究はアイデア勝負
 コラム 真実を追い求める研究者

第5章 バッタde遺伝学
紅のミュータント
バッタでメンデル
優劣の法則
分離の法則
隠された紅の証
消えたミュータント
独立の法則
バイオアッセイ
成長という名の試練

第6章 悪魔の卵
悪魔を生む刺激
Going my way 己の道へ
博士誕生
混み合いの感受期
感受期特定実験1 長期間の混み合いの影響
感受期特定実験2 短期間の混み合いの影響
混み合いの感受性のモデル
バイオアッセイの確立
壁の向こう側
混み合いが三つの刺激
バッタのGスポット
塗り潰し実験
切除実験
昔話「バッタの耳はどこにある?」
カバー実験
Physical Chemical factor 物理的もしくは化学的要因
最短の混み合い期間特定実験
こする回数
目隠しを君に
あの娘にタッチ
接触刺激の特定実験
育ちが違うバッタにも反応するのか?
異種にも反応するのか?
暗闇事件
孤独に陥る闇の中
闇に光を
光り輝く夜光塗料
不可能を可能にする魔法「ルミノーバ」
光るバッタ
光を感受する部位の特定実験
夢を信じて
体液の中に
ドロ沼
アゲハの誘惑
異常事態
カラクリだらけのホルモン仕掛け
セロトニン
 コラム 虫のマネをするファーブル
 コラム 一寸の虫にも五分の魂

第7章 相変異の生態学
なぜ子の大きさが違うのか?
力の差が出るとき
瞳を見つめれば
ルール違反の発育能力
掟破りの産卵能力
海を越えて
 コラム インディアンの住む森
国際学会
運河の孤島・バロ・コロラド島
 コラム 栄冠は手をすり抜けて
エサ質実験1 発育
エサ質実験2 成虫形態
エサ質実験3 産卵能力
切り倒すか、たたき倒すか
 コラム ミイラが寝ているその隙に
男たるもの
一皮むけるために
Dyar’s low ダイヤーの法則

第8章 性モザイクバッタ
奇妙なバッタ
オスにモテるがメスが好き
 コラム 図の美学

第9章 そしてフィールドへ・・・
バッタの故郷
夜にまぎれて
砂漠の道化師
バッタ狂の決意
旅立ちのとき
いざアフリカへ
ミッションという名の闘い
トゲの要塞
己の力を試すとき
決戦
喰うか、喰われるか
ウルド誕生
新たなる一歩
忘れられた自然
アフリカで研究するメリット
サバクトビバッタ研究を通して
伏兵どもが夢の中


あとがき


「黒き悪魔」「あの娘にタッチ」「Gスポット」など、およそ学術書らしからぬワードのオンパレードである。この目次を見るだけでも、本書が色々な意味で学術書の歴史を塗り替える一冊になることを確信できる。


*2012年11月14日追記
アマゾンでの購入はこちらから→孤独なバッタが群れるとき


読んで書評も書きました!→孤独なバッタが群れるとき


【関連サイト】

砂漠のリアルムシキング(前野博士のブログ)


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二人のバッタ博士が書いた本: 砂漠のリアルムシキング

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