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クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

あなどれない子ども向け図鑑

書評 科学・研究

この度、「ねぇ知ってる?大図鑑」という子ども向け図鑑にヨコヅナクマムシの画像を提供したのですが、この図鑑の出来映えが素晴らしいです。東京大学の國枝武和さんも魅力的なクマムシの画像を提供されています。



ねぇ知ってる?大図鑑
ねぇ知ってる?大図鑑


私は今までに様々な媒体に自分が撮影したクマムシの画像を提供してきましたが、この図鑑は私がこれまでに関わった媒体の中でも最高レベルの出来です。

図鑑の内容は人体、生き物、宇宙、テクノロジーなど幅広く扱っており、各豆知識について、ゆるキャラの豆しばが「ねぇ知ってる?」とナビゲートする流れにになっています。例えば、クマムシの項目では「ねぇ知ってる?電子レンジでチンしても死なない生き物がいるんだって。」といった具合です。

この図鑑、まず感心するのが、子どもの関心を惹き付けるように各項目のタイトルを工夫しているところです。上のクマムシの項目であれば、「地球上で最強の生き物、クマムシ。」とするのが通常のところを、「電子レンジでチンしても死なない生き物がいる」とすることで、子どもにとって具体的なイメージを描きやすくしています。

また、「ねぇ知ってる?〜なんだって。」というフレーズは子どもどうしでコミュニケーションする際に頻出するフレーズです。このように語りかけることで、親しみを持ちやすくしている効果もあるでしょう。

このようなフォーマット上の工夫も素晴らしいのですが、取り上げている内容も良く練られています。各項目にはいわゆる王道的なネタではなく、どちらかというとトリビア的なものをピックアップしている傾向があります。トリビアネタで子どもの関心を引き、それに関連する様々な基本知識を伝えるような仕掛けになっているのです。

例えば、「ねぇ知ってる?ウマは自分の正面が見えにくいんだって。」という項目には、草食動物と肉食動物の視野の違いとその適応的意義が説明されている他、猛禽類とヒトの眼にある視細胞の数の違い、昆虫は紫外線が見れることなど、各項目の周辺知識を掘り下げたところまで解説しています。

個人的に面白かった項目は、「コアラのごはんは1日4万円分」「新幹線は一般道路を使って運ぶ」「カニ飛び出し注意の道路標識がある」「ヒトは1日にペットボトル1本分の唾液が出る」などです。この図鑑、子ども向けと銘打っているものの、大人でも知らないような事項が満載なので十分楽しめます。

最近は子どもも大人もの理科離れや科学離れが加速しているためか、このような魅せる図鑑を作らなくてはならないのかもしれません。いずれにしても、この図鑑からは「何とかして科学の面白さを伝えたい」という作り手の気合いのようなものが伝わってきます。サイエンスコミュニケーションに携わる方にも、本図鑑の手法は大いに参考になると思います。