クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

2012年、地球外知的生命体が地球に飛来する?

ロシアのタブロイド紙Pravdaに、以下の記事が掲載されました。


2012年、巨大宇宙船が地球を襲う?


この記事によれば、現在、3機の巨大宇宙船が冥王星の軌道付近を飛行中で、2012年12月に地球に飛来するだろうという報告をSETI協会がアメリカ政府に密かに報告したとのこと。宇宙船のうち1機は長さが240kmで、他の2機はそれよりも小さいらしい。

この記事ではさらに、マヤ文明のカレンダーでは2012年の12月が最後になっていることから、これらの巨大宇宙船の飛来が人類の歴史に終止符を打つことをほのめかしています。

また、この記事では、実は月面には宇宙人の乗ったUFOから落下された人の遺体があった、とする噂などが引用されています。

この記事では、NASAは地球外知的生命体の存在を隠している!という論調をとっています。


で、私の見解ですが、「そんなわけないだろ」 です。


そもそも、この記事では宇宙船がHAARPシステムによって見つかったと書いていますが、このシステムではそんなこと分かるはずもありません。


ということで、結論としては、今回のはただのトンデモ記事ということです。

(ところで、なぜだか分かりませんが、ロシアの一部の人はこのHAARPシステムがとんでもないハイテク軍事装置だと勘違いしているようです。)

ちなみに、私はNASAにいる時に、SETI協会のプロジェクトにも関わっていました。SETIとはSearch for Extraterrestrial Intelligence (地球外知的生命の探索)の意味なのですが、SETI協会では微生物のような生命形態をとる地球外生命体の存在可能性についても調査しており、私もそのプロジェクトに関する研究に携わっていました。

もしも今回の記事で書かれているようなことが事実で、NASAやアメリカ政府がそれらのことについて認知しているのだとすれば、そんなちっぽけで知性もない微生物の探索なんて、ばからしくて予算をつける訳ありませんよね(笑)。

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念のため調べたら、SETI協会のTwitterアカウント上でも今回の件について否定していました。
当たり前ですが。

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