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クマムシ博士のむしブロ

クマムシ博士が綴るドライな日記

【書評】『バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!』DIYバイオムーブメントのすべてがここに

バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック! 先日も少し紹介した、これからのバイオ研究活動の動向がわかるエキサイティングな一冊。 ここ数年、アカデミアの外でバイオの研究を行う「バイオハッカー」がアメリカを中心に増加している。彼らの多くは改造…

アカデミアを卒業します

この4月をもって、パリ第5大学および仏医学衛生研究所との契約が終了します。これにてアカデミアでのキャリアを卒業し、晴れてフリーの研究者になります。ここでのフリーというのは精神的なフリーという意味で、厳密には法人に所属する民間の研究者という立…

クラウド査読により透明になるアカデミア

STAP細胞研究は残念な方向に進んでしまいました。この間もメルマガで色々と書いてきましたが、もうこの研究結果を擁護する研究者はほぼ皆無でしょう。私もだいぶ前に理研への寄附手続きの取り下げを申請し、受理されました。 小保方さんの博士論文の剽窃問題…

研究者が沈黙する理由

公開された研究論文のデータについて議論をするのは科学研究の営みの一部です。科学研究における発見は、論文として発表されればその発見の妥当性が完全に保証されたことになる、というわけではありません。吟味されながら、その研究結果の妥当性が評価され…

STAP細胞の研究論文内の不自然な画像データ【追記あり】

【追記1】2014.2.14.本記事で取り上げた、不自然と指摘されている画像の一部について、jpeg圧縮によるブロックノイズによるものとの指摘を多数いただきました。よって、当該箇所の画像とその記述を削除しました。読者、そして関係者のみなさまにお詫びいたし…

「博士メガネ男子論」にみる不器用理系男子の需要

マスコミの報道の中で小保方晴子さんが「リケジョ」と称されていることについて、議論が起きている。確かに、同様の報道の中で男性研究者が「リケダン」と呼ばれないことを考えると、ジェンダーを前に出した呼び方は適当でない。研究所のグループリーダに用…

STAP細胞と小保方さんは日本を変えうる

※当記事を発表後、STAP細胞研究の論文内のデータに不自然な箇所があることが指摘されはじめた。 STAP細胞の研究論文内の不自然な画像データ: むしブロ また、2014年2月14日時点での再現性はまだ確認されていない。これらの点もふまえて、当記事を読んでいた…

リスクを背負うことと空気を読まないことの大事さ

アカデミアで研究者が生き残る上でもっとも大切なこと。それは、業績を出すことである。メインとなる業績は、論文の質と数だ。それも、査読者による審査がある国際科学雑誌に掲載された論文である。そして、筆頭著者あるいは責任著者として発表した論文のみ…

「ストレスで細胞が初期化」の衝撃

酸などのストレスを与えることで細胞が初期化されるという、けっこう衝撃的な研究成果が理化学研究所らのグループにより発表された。 体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見: 理研プレスリリース「間違い」と言われ泣いた 新型万能細胞を開発…

乾いても死なない線虫のサポーターたち

・線虫シーエレガンス クマムシに比べると、肢もなくニョロニョロしていてあまり可愛くない線虫シーエレガンス(主観)。 シーエレガンス from Wikimedia だが、このシーエレガンスは生物学研究において非常に大きな役割をもっている。大腸菌を餌として爆発…

ヒルはクマムシよりも強いか

・ヒル ヌマエラビルというイシガメの体表に寄生するヒルが、−196ºCもの低温で凍っても生き延びることが分かった。東京海洋大学と農業生物資源研究所の研究グループの研究だ。 A leech capable of surviving exposure to extremely low temperatures: PLoS O…

貢がないオスの精子をブロックするクモ

メスにとってオスの選別はきわめて重要である。ガガンボモドキでは、オスがメスに貢ぐプレゼント餌のクオリティーと量により、交尾の受入れを判断する。 クモの一種、Pisaura mirabilisでも、オスは糸でぐるぐる巻きにした昆虫をプレゼントしてメスに渡す。…

再現性の無い研究論文を減らすにはどうすべきか

自然科学、とりわけ医学生物学系の多くの論文で再現性の無いことが問題になっている。製薬会社が行った追試では、実験結果が再現できなかった論文は70〜90%にまでのぼっているらしい。 NIH mulls rules for validating key results: NATURE | NEWS この問題…

博士のゆくえ:学振に振られても生きる

今年も、日本学術振興会特別研究員、通称学振の採用結果発表の季節がやってきた。twitterのタイムラインも、採択の合否で賑わっていた。 念のため、学振について少し説明しておく。学振は、博士課程の大学院生や、博士号を取得してから5年以内の博士が、生活…

昆虫研究界に新エースあらわる

昆虫は食材としてのポテンシャルが高く、昨今の昆虫食ムーブメントには目を見張るものがあることを以前書いた。 21世紀は昆虫食の世紀になるかもしれない 昆虫食が大衆化するためには、ディープではなくライトに攻めることが肝要だ。昆虫食というジャンル自…

やっぱり日本のアカデミアの将来は明るいかも

メルマガにもTwitterにも書いたのだけれど、ここでも少し書いておきます。 このブログでさんざんネタにさせてもらったバッタ博士が、京都大学の助教に就任されました。 少年の頃からの夢、叶いました。: 砂漠のリアルムシキング おめでとうございます。ネッ…

基礎研究における自由市場からの研究資金集めは経済の論理により捏造を生じやすくするか

研究者が独自に自由市場から研究資金を集めることについて書いた前回の記事には、予想以上に大きな反響があった。公的な資金に頼らずに研究者自らが動くとうこのアイディアについて、賛同するコメントが多く寄せられた。私の活動に触発されて下の科学ブログ…

堀江貴文氏に学ぶ研究者としての生き方

6月23日の日曜日、堀江貴文さんが私のいるフランス・パリ第5大学の研究室まで、クマムシを見に遊びにきてくれた(クマムシの説明についてはこちら)。 堀江さんとはニュースサイトのハフィントンポスト関係者の懇親会の時にお会いしたのがきっかけで、今回の…

遺伝子改変で鼻センされた蚊

吸血するネッタイシマカ image from Wikimedia commons 日本はこれから夏にかけて虫が元気いっぱいにあふれる季節である。虫好きにはたまらない季節が来るわけだが、虫好き人間でも嫌な虫はいる。蚊はそんな虫の代表だろう。 蚊の中には黄熱、デング熱などの…

クマムシの紫外線耐性能力が明らかに

Fig. 1 クマムシさん (イラスト: 阪本かも) 超低温、放射線、高圧、さらには宇宙空間の真空にも耐えられるタフなクマムシ。今回、私 (堀川) たちの研究グループにより、クマムシの紫外線耐性に関する研究報告がオンライン科学ジャーナルのPLoS Oneで発表され…

本日はむしの日!むしブロ+の虫記事ベストセレクション

本日6月4日はむしの日ですね。そこで今回はむしブロ+の記事の中からおすすめベスト5を紹介します。 5. パラサイト男子とその彼を体内に宿した女子の愛の物語 Image: Wikimedia 雌雄同体のワタフキカイガラムシのお話。この虫、メスの体内に宿っている精巣が…

森口氏がiPS細胞由来の心筋細胞を心筋症患者に移植したことを論文で発表

昨年の2012年、iPS細胞関連で話題となった森口尚史氏が論文を発表していた。論文内容は「iPS細胞由来の心筋細胞を心筋症患者に移植した」というもの。これは、昨年に森口氏が新聞社に語っていたのと同じ内容だ。 Moriguchi and Madson (2013) Autologous hum…

ニコニコ学会βのむしむし生放送に登壇しました

今さらのご報告ですが、さる2013年4月27日にニコニコ学会βの1セッション「むしむし生放送」でクマムシの研究について発表させていただきました。あれから1ヶ月経ってないのに、だいぶ前の出来事に感じられますね。 むしむし生放送: ニコニコ学会β (ニコニコ…

クマムシの育て方 (助手ガール編)

以前、このブログでクマムシの採集方法について書いた。今回は「クマムシを飼ってみたい」というマニアックな読者向けに、クマムシの飼育方法を伝授したい。 1000種類以上が知られているクマムシの中で、飼育できる種類はほんのわずかである。クマムシの生態…

21世紀は昆虫食の世紀になるかもしれない

2013年5月13日、国連食糧農業機関(FAO)は人類に昆虫を食すことを促す内容を記したレポートを発表した。 虫は未来の食糧源、国連FAOが報告書: AFPBB News 昆虫は栄養価が高い上に飼育による増殖効率がよく、食料として非常に高いポテンシャルを備えている。そ…

放射能をもつ細菌を投与した「体内被曝療法」で膵臓がんを治す

がんの撲滅は人類が直面しているあまりに大きすぎる課題だ。現代の日本では、がんは死因のトップとなっている。 数あるがんの種類の中でも、とりわけ膵臓がんはやっかいである。膵臓がんは全種類のがんの中で死亡原因が第4位となっている。膵臓がんは転移し…

地上最強の動物クマムシと人類

体長1ミリメートルにも満たない小さな体に4対の肢をもち、宇宙空間に放り出されても生存できる生きもの。それが私の研究対象、クマムシである。 ヨコヅナクマムシ (写真: 堀川大樹・行弘文子) クマムシは緩歩動物とよばれる分類体系上のグループに属しており…

パワーアップした遺伝子コレクター

私が発行する有料メルマガ「むしマガ」が、発行してちょうど1年が経過しました。有り難いことに、同業の研究者をはじめ、学生、出版関係者、主婦、作家、アルファブロガー、弁護士、アーティスト、経営者など、様々なバックグラウンドをもつ方に愛読いただい…

納豆菌の無差別テロ攻撃により人類滅亡までのカウントダウンがはじまった

「納豆菌は、地球侵略のために宇宙から飛来したエイリアンである」 私はこれまで、自らの身を危険にさらしながらも、この重大事実について告発し続けてきた。 みんな納豆菌を甘く見ない方がいいもう一度言う。みんな納豆菌を甘く見ない方がいい。 納豆菌の陰…

むしむし生放送のクラウドファンディングが目標金額に達しました

ニコニコ学会の「むしむし生放送」で呼びかけていたクラウドファンディングが、目標金額に達成しました。 「むしむし生放送〜昆虫大学サテライト」登壇博士たちの旅費とかを集めます! 当初、「こんなに集まるのかしら?」とかなり不安に思っていたのですが…

ニコニコ学会「むしむし生放送」に出演します

4月27日(土)に幕張メッセで行われるニコニコ学会の「むしむし生放送」に出演します。日本の学会で発表するの、久しぶりだ。 ニコニコ学会シンポジウム「むしむし生放送~昆虫大学サテライト」 他の登壇者はおなじみバッタ博士の前野ウルド浩太郎氏、好蟻性生…

ダイヤモンドで精子は元気になる

精子の荒ぶる運動性無くして、人類や動物の繁栄はありえない。そんな精子を元気にする方法が、最新の研究成果により提唱された。 Sperm Performance Better on Diamond than on Polystyrene: MSR Proceedings 精子を体外で活き活きと保つことは、とりわけ体…

研究者が自立して研究活動を続ける方法

本日の朝日新聞朝刊で、私の活動が紹介されました。それも、尊敬してやまないバッタ博士と同じコーナーで。光栄な限りだ。 堀川大樹さん「最強」のクマムシを「ゆるキャラ」に仕立てた: 朝日新聞 研究者がキャラクターグッズの販売や有料メルマガの発行を行…

【書評】『孤独なバッタが群れるとき』バッタ博士の青春

孤独なバッタが群れるとき: 前野ウルド浩太郎 著 (東海大学出版会) 本書は、バッタ博士こと前野ウルド浩太郎氏の初の著書である。前野氏については本ブログでもたびたび取り上げてきたので、ご存知の方も多いだろう。 バッタに憑かれた男バッタに憑かれた男…

不老不死の生き物と幹細胞

人類の夢、不老不死は、まだ現実のものとなっていない。しかし、自然界には、不老不死を実現した動物が存在する。 ヒドラはクラゲやイソギンチャクなどと同じ刺胞動物に属する、不老不死の動物だ。淡水環境に生息し、体長はおよそ1センチメートルほどで、頭…

2012年のむしブロ+5大ニュース

あっという間に今年も終わりですね。今年もむしブロ+をご覧いただいた皆様、どうも有り難うございました。あまりブログを頻繁に更新できなかったのですが、こうして1年を振り返ると色々ありましたね。ということで、2012年のむしブロ+的5大ニュースを取り…

ゆるふわ極限環境アニマル・ヒルガタワムシ

クマムシを採集しようと路上の干涸びたコケを持ち帰って水に浸して観察すると、その中からおびただしい数のヒルガタワムシに出くわすことが、よくある。クマムシが見つからず、ヒルガタワムシだけわんさか出てくるようなこともあり、そんなときは「ちぇっ、…

超高校級とよばれたイケメンサイエンティストの野望

世の中には天才児とよばれる子どもが稀に存在する。ゲノム解析ツールG-languageの開発者、慶應大学特任講師の荒川和晴氏も、少年時代にきっとそうよばれていたに違いない。 4台のスクリーンで解析作業をする荒川氏 (慶應大学湘南藤沢キャンパスにて) 研究室…

パラサイト男子とその彼を体内に宿した女子の愛の物語

我々ヒトの世界では男女という2つの性が存在するのが当たり前だが、世の中にはメスだけで繁殖する動物や、ひとつの体に雄と雌の両方の生殖機能をもつ雌雄同体の動物もいる。 雌雄同体の動物は、卵子と精子をつくることのできる生殖器官、卵精巣をもっている…

バッタ博士によるバッタ本の目次がキてる件

写真: 前野ウルド浩太郎博士 このブログやメルマガでもたびたびフィーチャーし、コアなファンを獲得しつつあるバッタ博士・前野ウルド浩太郎氏が、11月20日にバッタの本を出版することになった。 孤独なバッタが群れるとき<サバクトビバッタの相変異と大発…

科学報道に大切なこと

ある若手記者によって書かれた、科学報道に関する産経ニュースの記事が叩かれている。 科学取材…専門用語飛び交い理解不能の世界、頭が真っ白に: 産経ニュース 内容は、文系出身の若手記者が記事作成のために研究者の取材をするものの、研究者が話す専門用語…

リルログおすすめ記事

2011年1月から、ブログコミュニティー・リルログにてシーズン1からシーズン5までブログを書かせてもらいました。リルログは主にアートや音楽の世界で活躍する数十名のブロガーが各シーズンごとに入れ替わりながら記事を投稿するというユニークなブログコミュ…

バッタに憑かれた男との出会い

写真: 前野ウルド浩太郎博士 バッタに憑かれた男こと、バッタ博士の前野ウルド浩太郎氏がメレ山メレ子氏主催の昆虫大学に出演するらしい。 11/17(土)・18(日)神田の旧電機大校舎にて、虫の魅力をプロに学ぶイベント「昆虫大学」開講します!: メレンゲが…

iPS細胞のゆるキャラ「アイピーエスさいぼう君」

iPS細胞の作製で2012年のノーベル生理学医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授が、自身が所長を務める京大iPS細胞研究所の研究費不足をうったえている。 「研究スタッフをきちんと雇うには、マラソンを1年間に80回走らないといけない。人に優しい研究予…

研究者に一番必要なもの

いいかい、自国以外で研究者として生き残るのは本当に困難だ。最後までサバイバルする研究者に一番必要なものは何かわかるかい? 頭脳じゃない、そのクラスの研究者の頭脳はみんな同じくらい高いからね。 一番大切な事は、研究への情熱、一途の献身、毎日今…

悪魔を召還し、嫌がる相手を無理矢理犯す男

早いものでもう10月、すっかり秋に入りましたね。 秋といえば恋愛の季節。ということで、今回は男女間のラブにまつわるお話です。 ・男女のかけひき 「彼氏が遊び人で、浮気ばかりして困る」 こんな話は教室でも職場でもワイドショーでもよく聞く話です。最…

ヤマトシジミの奇形は原発の影響によるものなのか

原発や放射線関連の話題をブログで触れると面倒なことになるのでこの記事はメルマガに書こうと思ったが、社会的な意義を考えてやっぱりブログに書くことにした。 先日、琉球大学のグループにより、福島第一原子力発電所から飛散した放射性物質の影響によりヤ…

キュリオシティと火星生命探査の今後

キュリオシティ(Image credit: NASA) 2012年8月6日、火星探査機キュリオシティが火星に無事着陸しました。管制室で歓喜に沸くNASAの人々の姿がフィーチャーされ、キュリオシティのアクロバティックな火星着陸に人々が熱狂しました。 しかし、キュリオシテ…

EM菌こそ宇宙最強のエイリアンである

クマムシも納豆菌も驚愕の、トンデモない論文が大阪日日新聞に掲載されていた。 大阪ヒト元気録:大阪日日新聞 論文中では、EMボカシネットワークという研究組織がEM(Effective Microorganisms)を使用し、その有用性を示している。 そのEM菌の、恐るべき効能…

「やりたいことしかやりたくない」がいいね

サイエンスライター森山和道さんの科学ジャーナリズム論が、深い。 「問い続けることの面白さ」を見出す: moriyama.com ネットが普及して誰でもこのように世間に向けて気軽に情報発信ができるため、専門家と一般市民を仲介するジャーナリストを経由せずに、…